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米銀行決算は先行きに懸念残す 人件費高騰が収益を圧迫

JPモルガン・チェースが14日朝に発表した決算は業績の先行きに懸念を残した。

2021年10~12月期決算
売上高  292億5700万㌦(0.03%減) 市場予想297億8000万㌦
1株利益   3.33㌦(前年同期は3.79㌦) 市場予想3.01㌦

1株利益は市場予想を上回ったが、貸倒引当金の取り崩しを除くと2.86㌦にとどまる。ジェイミー・ダイモンCEOはかねて「会計上の利益は事業収益として重視しない」と述べており、その観点からは期待を下回った。

市場の懸念をかき立てたのは決算説明会でのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)の次の発言だ。

「今後1~2年間は、逆風が追い風を上回る可能性が高いため、投下資本利益率(return on capital)は目標(17%)をやや下回る収益になると予想している」

人件費の上昇が逆風

逆風とは主に人件費の高騰だ。バーナムCFOはこう説明している。

「労働市場が厳しいのは事実だし、多少の賃金インフレがあるのも事実だ。我々にとって重要なのは優秀な人材を引きつけ、維持し、業績に応じて競争力のある報酬を支払うことだ」

長期金利の上昇や景気拡大による貸し出しの伸びが業績を押し上げると市場はみていたが、思わぬ逆風が吹いているわけだ。

ゴールドマンにも売り波及

14日の米株式市場でJPモルガン株は一時6%強下落した。同業のゴールドマン・サックスにも売りが波及し、ダウ平均を押し下げる要因になっている。

同じく14日朝に21年10~12月期決算を発表したシティグループも売上高、1株利益とも市場予想を上回った。ただ、純利益が前年同期比26%減ったのが嫌気され、14日の株価は一時4%下げた。

米主要企業の決算発表の先陣を切った大手銀行決算だが、期待外れだったと市場では受け止められている。



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