森
ドラえもんから手渡されお年玉 少年の目に星枯木にぶつかって 狸ではないとこだわる枯野かな どなりつつカミナリさんが掃き納む ドラえもんの二の腕ゆたか寒時雨 枯葉手に3の口して立ちつくす テレレテレレテレレではない大晦日 人と猫同じ瞳の炬燵かな ユニコーンのお産手伝う御来光 鼻赤きコピーロボット冬日和 おしっこにふたりは冬の山に入る ボーナスに手渡されたり変な笛 しばれたる二人羽織のケンタウルス 冬銀河ぜんぜん効かぬ空気砲 冬満月とどめと叫ぶドラえも
セーターが暖簾を割ってコンバンハ まなざしの棟梁のごと大根むく 白滝のおまけ一本おでん汁 箸先の磁肌に軽きおでんかな 好きなものだけ好きなだけおでん汁 油紙解きほどく夜のシュトーレン
爽やかに赤絨毯を横切りぬ 四カ国語で禁じられ秋日和 赤ひとすじ快速で過ぐ芋畑 赤い針0に戻って南京豆 さつまいもでもスーパーになるマリオ
つま先が白線をゆく阿波おどり うなだれてうなじの太き日輪草 牛串が顔を引っぱり大花火
冬あたたか三倍速で手をふられ 冬の日を焼き上がるシュバイネハクセ つやのある口ややひらき古暦 冬の灯にホールケーキの半々に 四コマ目吹き出しのない暦果つ 順繰りに席つめられていくおでん 浜辺美波沢口靖子暦果つ 冬木立よりも大きいまたあした
上ずって盛り上がってますか小春 前輪がぎりぎり銀杏を避ける 玉杓子おでんのかたちなぞるごと (赤)HOTEL(青)クリスタル冬めける 髪の根をつめたい指の入れらるる 小水の湯気ひとりぼっちのひとへ 回廊に揃ひて凍てし責道具 泣きだした顔顔顔の大縄跳
唇に人差し指のさはやかに 秋の水オールの白くあらわれて 秋の日を等分にする加工肉 白線の踏むたび白し阿波おどり 桃の香をのぞきこむように抱いた 冷やかにウィドマンシュテッテン構造 誇らしく十月の啄木の文 藁塚がクロード・モネを待っている
朝凪の犬の高さで聞く話 みんみんと子供が振りし万国旗 夏雲の先を指差すボランティア 書家とゆく町一番の涼しさへ 深々と影折れ曲がる夏の昼 緑陰に開場を待つ霊と人 猿酒を掬ひし右の頬の泥 夏見上ぐ輪になって死体になって
手あそびのまだ眠そうに日輪草 首のよきところを握り扇風機 垂直に皿が置かれて川床涼み 中継の2秒遅れて夏着干す 直球のすこし見えてくるナイター なりたいとAIが答える小暑 パイナップル串をななめにしたたるる ユーミンのかたちにひらく揚花火