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医療分野のDX化に期待

最近よく目にする横文字のひとつがDX(デジタルトランスフォーメーション)。どんな業種においても「その技術抜きに未来はない」と思わせるほど重要性は高まり、かなり浸透してきたようです。あっという間で、「着いていくのが大変だー」との嘆きの声もよく耳にします。実は、私もそのひとりなんですが……。そんな私でも、医療分野に関しては「もっとスピードアップして欲しい」と、心の底から願っています。

私は熊本市長を退職してから、あらためて熊本県内の実情を肌で感じようと、何度もくまなくまわりました。阿蘇や天草などの勇壮な自然が特色でもあるのですが、その一方では、中山間地あり、山の奥深い集落あり、離島ありという現実。地元の方が自嘲気味に『陸の孤島』と語るようなへき地は点在し、そのエリアは確実に広がっていることを実感しました。各地で話を聞くと、医師不足が共通する深刻な課題。高度な医療が必要となる高齢者などは、住み慣れた地を離れざるを得なくなったり、出産においても、母胎に緊急事態が生じたときのリスクを考えると「ここでは産みたくても産めない」と、切実に訴えられもしました。

医療分野のDX化が進めば、それらの問題がかなり改善されるのではと期待しています。先ほどの妊娠・出産のケースでも、電子カルテの共有やオンラインで高解像度の画像診断ができるようになれば、母胎の状況がよりリアルに把握できるようになり、きっと安心安全な出産にもつながるでしょう。

また、リウマチの専門医はかなり少ないようですが、3Dの画像を使うことで、オンラインの遠隔診療でも正確な症状を把握することができるようになります。私の祖母は生前に関節リウマチを患っていて、関節の腫れや変形と、刺すような痛みに悩まされ続けていました。現在では早期に適切な医療を受ければ、進行を遅らせることは十分に可能とのことで、やはり期待されます。リウマチに限らず、不足しがちな専門医を広範囲で活かせるという点でも、DX化を急がなければならないと思います。

DXとはつなぐ技術だと思っています。在宅医療、地域医療連携、介護や保健との連携による地域包括ケアの構築等々、以前からの医療分野における課題もつなぐこと。これまでなかなか進まなかったこれらの課題を、解決に向けて強く後押しをしてくれることでしょう。DX化によって、諦めが希望に変わるかもしれませんね。

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