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地域のつむぎ手の家づくり|暮らすことを最大限楽しくする遊べる庭<vol.6/GLAM’PLAN:愛知県常滑市>

【連載について】“地域のつむぎ手の家づくり”って、なに?
家づくりをおこなう住宅会社には、全国一律で同じ住宅を建てる大規模な会社や、各地方でその土地の気候に合った住宅を建てる小規模な会社など、さまざまな種類のつくり手がいます。その中でも、その地域ならではの特色や、そこで暮らすおもしろい人々のことを知り尽くし、家をつくるだけでなく「人々をつなぎ、暮らしごと地域を豊かにする」取り組みもおこなう住宅会社がたくさん存在します。
この連載では、住宅業界のプロ向けメディアである新建ハウジングだからこそ知る「地域のつむぎ手」を担う住宅会社をピックアップ。地域での暮らしづくりの様子をそっと覗かせてもらい、風景写真とともにお届けします。

今回の<地域のつむぎ手>は・・・


コロナ禍の暮らしのなかで、「おうち時間」を楽しむための“庭”が注目されています。一つひとつの家族のライフスタイルに寄り添う家づくりが得意な地域の工務店は、庭の提案も得意です。今回は、コロナ以前から「家族が遊べる庭、楽しむ庭」を家づくりにあわせて積極的に提案してきた愛知県常滑市の工務店・GLAM’PLAN(グランプラン)の庭活用術を紹介します。

季節を問わず庭で遊びつくす!
暮らすことが楽しくなる家づくり

デザイン性に優れる高性能な住宅を自然素材をふんだんに用いてつくる同社は、「暮らすことが最大限、楽しくなる家づくり」を追求しています。創業から4年、社員4人の少人数体制で、ほとんど宣伝広告費をかけないにもかかわらず、予約待ちの“行列状態”が続く人気工務店です。

“チェロキー”のような家に
社長の坪井誠(つぼい・まこと)さんが「暮らすことが楽しくなる家づくり」を目指す原点には“車”があります。数年前に自分の古いジープ・チェロキーにスタッフを乗せてドライブ旅行に出掛けたところ、若いスタッフたちから「運転させてほしい」という声が相次ぎ、坪井さんは結局、「帰りはほとんど自分で運転せずに済んだ」ほどだったそうです。

ところが、そのあとに購入したトヨタ・プリウスでドライブをしたときのスタッフの反応はチェロキーの時とは全く異なるものでした。「運転してみたい」という声は一切出ることなく、振動や音の小さな車内で「みんな、すやすや眠っていた」(坪井さん)。この対照的な反応に坪井さんは衝撃を受けました。「どちらも移動手段であることには変わりはないし、プリウスは静かで燃費もよく素晴らしい車。でも、僕はせっかく家をつくるなら、“面白そうだから運転してみたい”と乗っている人が感じるチェロキーのような、暮らす人が“楽しみたい”と自然に動き出すような家をつくろうと決めたんです」と坪井さんは話します(写真)。

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お父さんが孤独にならない
ベストな「バーベキュー動線」提案

コロナ禍のなかで、「庭を活用しよう、楽しもう」というブームが広がりを見せていますが、ただ、ウッドデッキをつくって、バーベキューセットを用意すればいいともとれる傾向に坪井さんは苦言を呈します。「例えばバーベキューをしたとしても、小さい子どもは15分ぐらいでお腹いっぱいになり何もないと退屈で家に入ってしまう。そうすると必然的にお母さんも子どもについていくことになり、お父さんが1人寂しく後片付けをすることになります。このとき、セットを仕舞う場所がすごく離れていたりすると、お父さんは孤独なのと面倒くさいのとで、もうバーベキューなんかするもんかと思ってしまうんです」と坪井さんは笑います。

そこでGLAM’PLANでは、家事動線のように、準備も片付けもしやすい「バーベキュー動線」のようなものを、あらかじめ考えて、きちんと住まい手に提案しているそうです。

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ポータプルプロジェクターで
焚き火囲みインスタント上映会

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そんな坪井さんの自宅を見ると、庭にはバーベキューのために、それぞれ石でつくられた焚き火台やベンチ兼テーブル、イスが常設されていて出し入れをする必要がありません。「火をおこして、網を敷いたり串刺しにして焼くだけ。石は出しっぱなしでも劣化しないし、暴風でも吹き飛ばないし最強ですよ」と坪井さんは説明します。石のベンチやイスは広葉樹の近くに配置することで、木陰になる夏は座るとひんやりと冷たく、葉が落ちる冬は日を浴びて温かい。庭の一角に設置されている白い板は、スマートフォンをつなぐことができるバッテリータイプのポータブルプロジェクターで、映画やYouTube動画などを投影できるスクリーンです。インスタント上映会で、小さな子どもたちも退屈せず、家族の団らんを楽しむことができます。そのほか、坪井さん自作のボルダリングウォールまで、つくられています。ですが、これについては「素人(自分)がコース設計もせずに適当につくったので、難しすぎて攻略できないのが失敗だった」とのこと。

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ウッドデッキはリビング前に
坪井邸の1階のリビングの前面にせり出す広いウッドデッキには、自作のアウトドアキッチンも設置されており、バーベキューの食材の下ごしらえなどもできます。リビングはコンクリートの土間になっていて、窓を開放すればウッドデッキと一体的な空間として活用することも可能です。坪井さんは、ウッドデッキは「リビングと連続させて設置するのが望ましい」とアドバイスします。そのため、2階リビングの場合は「ウッドデッキもリビングの前の2階に十分なスペース(できれば8畳ぐらいの広さ)を確保して設置するのがベスト」だそうです。「火が出ないコンロや七輪などでバーベキューを楽しむこともできる。2階リビングなのに、普通の部屋がある1階の前にウッドデッキを設けても、間違いなく使わなくなってしまいます」と坪井さんは指摘します。

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1階リビング前のウッドデッキのほかに、坪井邸の屋上には、屋根が架けられた外部空間があり、そこからは伊勢湾を望むことができます。つり下げたハンモックに揺られ、お酒を飲みながら景色を堪能するのは「至福の時間」。坪井さんは「美しい景色や眺望は無料なのに暮らしの満足度を飛躍的に高めることがきる無敵のアイテムです」と話します。

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ただ楽で快適であることが
真の豊かさではない

「家族で暮らしを楽しむことは、子どもたちの教育面でも良い影響を及ぼします。子どもたちのなかに『なんでもやってみたい』という積極性を芽生えさせるんです」と坪井さんは持論を語ります。坪井ファミリーは、コロナ禍のさなかの昨年のゴールデンウィーク中、その前の年につくった小屋に続き、庭の木にツリーハウスをつくってしまいました。「なんとなくやってみようと思い立って始めたんですが、やればできるもんですね」と坪井さん。小さな子どもたちも、大工の祖父(坪井さんの父親)の手助けを受けながら、一生懸命、作業を手伝ったそうです。

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「コロナ禍のなかで、真の豊かさは、ただ楽で快適であることではないと人々が気づき始めたのだとしたら、それは歓迎すべき価値観の変化だと思う」と坪井さんは受け止めています。これからも「やりたい、面白そうと感じさせるような家や庭を提供し続けたい。もしも、炊事も掃除も洗濯も合理的にこなすことで楽をするのではなく、いつの間にかポジティブに楽しんでいるような暮らしを生み出せたら、それこそが究極のライフスタイルではないだろうか」と理想を思い描きます。

GLAM’PLANは昨年4月、本社を置く常滑市に隣接する美浜町の伊勢湾を間近に望む海岸沿いの敷地に、新たな拠点をオープンしました。オフホワイトのドーム型の外観や海に対面するガラス張りのファサードが人目を引きます。坪井さんは、ここをワクワク・ドキドキの発信基地としながら、「暮らすことが楽しくなる家」を、より多くの人たちに届けていきたいと考えています。

文:新建ハウジング編集長 関卓実
写真:GLAM’PLAN提供


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