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魔玉の紹介と実生について

はじめに

魔玉、それは2018年9月ごろに池袋西部の屋上で出会った植物の名前だ。
植物とは思えない質感、葉っぱなのかよくわからないカクカクとしたフォルム、中心部の紫〜ピンク色をした艶かしさ、一瞬で虜になり、すぐ連れて帰った。
当時の私は今ほど植物に詳しいわけではなく、リトープスなんて言葉も知らなければ、多肉植物の定義も曖昧で、冬の方が元気な多肉植物があることすら知らなかった。
これが、多肉沼への入り口だとは知らず…

これはうちの実生だが1番下のぐらいの大きさだったと思う。

紹介

原産地はナミビア、南アフリカ
ハナミズナ科 ラピダリア属マルガレタ(エ) もしくはマーガレッタ
和名:魔玉
冬型 花が咲くのは10〜11月
特徴 マッドな肌、つるつるしてる。
角ばった見た目、黄色い菊みたいな花が咲く。
正直言ってマイナーで多肉の書籍にほとんど情報がない。
メセン(ハナミズナ科)に含まれるが リトープス、コノフィツムとは属が違う。
1族1種でラピダリア属にはマルガレッタしかない。
ここ2年ほどで多肉のショップでは姿を見ることがある。価格帯は500〜1000円ぐらい。
選ぶ時は葉があまり伸びておらず、ぎゅっとしまったものを選ぶこと。

育て方

基本的には強い植物で日当たりはガンガンに当てて大丈夫、うちの大人の株は夏も雨に当たらないところで、外に出している。

水は成長期の秋から春にかけて、週に一度ほど、土がしっかり乾いているのを確認して、鉢から水が出るまであげる。
夏は昔はほぼあげていなかったが、シワシワになった時に、鉢から水が出るまでたっぷりあげている。日中はシワが寄っていても夜になるとシワがなくなることがあるため、観察が必要。
怖い時は断水でも問題ない。

割と寒さにも強いが日中は外に出すが、5℃を下回る時には室内に入れる。

実生から3年ほどで株が充実していれば冬に花を咲かせる。おそらく葉っぱが合計4枚ぐらいか。
花は枯れた後に萎れとれる様になるので、つけたままにする。

シワの目安はこれぐらい。


実生への挑戦

魔玉の魅惑に囚われた自分は、出逢ってからほぼ毎年実生してる。自分の魔玉との付き合いは、実生への挑戦と失敗の歴史だ。蒔いてはたくさんダメにしている。
初めて植物の実生にチャレンジしたのも魔玉だし、実生の方法や管理については魔玉から教わったことが多い。実生から開花、結実と植物の一生を自分で回せたことはかなり自信になった。本当にこの植物には感謝が絶えない。

略歴
①2018年 10粒
②2019年 20粒
③2020年 50粒
④2021年 20粒
⑤2024年 数えきれないほど蒔いた。
2022〜2023年は、株が増えすぎたため、やらなかった。
2024年以外は全部メルカリやヤフオクなどで手に入れたもので、2024年のものはうちで咲いたもの同士で交配させたものだ。

①2018年9月 10粒
最初の18年はあまりよく調べずに蒔いたため、発芽したが、何かしらの手違いで殺してしまった。鉢も駄温鉢を使っており、温度の低下、湿度の維持ができていなかったんだと思う。
ラップによる保湿はしていたと思う。
全滅

②2019年10月 20粒
プラ鉢、素焼きでやったがはずがどちらも発芽しなかった。
全く反応なかったので、の鮮度の問題か?


③2020年9月19日 50粒
プラステラ90に50粒バラっと蒔いた。
ラップで保温もしたし、光もできるだけ多めに当てた。
ただスタートの時点で、問題があり、
結局6つしか発芽しなかった。
通常、用土を濡らしてから、種を蒔くはずが、先に種を蒔いてしまった。
その後、下からの給水でなんとか!と思ってやったが、水により用土が浮き上がり、種が用土の中に落ちてしまった。
自分の引っ越しもあったが結局3株現在も生き残っている。
4年で花が咲いた。

実生で初めて花が咲いた。本体とのギャップがたまらない。

④2021年 10/2 20粒
プラステラ90、元肥にマグァンプ大粒を2粒、
メネデール希釈液使用と個人的なフル装備で蒔いた。
用土はずっとお世話になってる『さぼてん多肉植物用 の土』と鉢底に軽石のみ。
これがうまくハマったようで、大変よく育った。
増え過ぎて人に配ったが、うちにまだ8株残っている。

⑤2024年 5/13
2020年度のものと鶴仙園2018年に咲いたものがちょうど一緒のタイミングで咲いたので、交配チャレンジした。
無事に1〜2週間ほど結実し、小さな緑の実がついた。
その後12月から5月まで花殻?ごと引っ張って抜けるまでそのままにして実を熟させた。
経験から春蒔きよりも、秋蒔きの方がいいことはわかっていたが、取り蒔き(とってすぐの方が発芽率がいい)の法則に従って5月に実生した。
慣れてしまったためか、もしくは種が多過ぎたせいかわからないが、蒔き方の記録をとっていない…
プラステラ90に表土が赤玉土の微粒、下におそらく『さぼてん多肉植物の土』、底に日向土があると思われる。 苔が生えてこないことからマグァンプは入ってない(と思う)。

ついに受粉の時が来た。自家受粉はしないよう。
無事に結実し、小さいカボチャの様な実ができた。
花が枯れてもなお美しい。
約5ヶ月経った花殻。リトープスと同じで
、水につけると開くシステム。
水に10分ほどつけたもの。
小さな部屋になっているのがわかる。


魔玉の種、リトープスと同じで、ゴマの1/3ぐらいの大きさ。
(この画像だけうまく編集できなかった。)

5回の経験を踏まえて

個人的に魔玉の実生の仕方について、次に自分が蒔くとしたらどうするかを述べていこうと思う。
もちろんこれが最適!というわけではないだろうし、これは変だと思うところもあるだろう。
人によって環境も違うので、参考にしてもらえれば幸いだ。

・蒔く時期
時期は春蒔きよりも秋蒔きの方が安定して育てられると思う。夏を挟むと暑過ぎて成長が鈍る。

・用土
用土は1年以上その鉢で育てる予定で、
2024年の表土に赤玉微粒など細かい土、その下にさぼてん多肉植物の土、1番下に通気性をよくする日向土などの鉢底石を敷きたいと思う。
2021年の結果から、マグァンプも入れていいかなとは思う。あの時は2粒入れたと記載があった。

・鉢
個人的にはプラ鉢一択
素焼きと駄温鉢で1年を超えたことないため、経験則によるものだ。湿度管理、温度管理の面から言っても、プラ鉢が安定するのだろう。
30粒ほどなら自分はプラステラ90を選ぶ。

・蒔く前の処理
他の植物では、蒔く前にダコニール+メネデールで漬けたりするが、種がカビることは経験がないので不要と思う。土の熱湯消毒についてもお守りの様なもので、やりたいならするといい。

・水やり
1年は腰水管理でいいと思う。
少なくと本葉が出てきて、最初の葉が無くなるまでは水を切らしてはいけない。一気に萎れてしまう。

ちょうどいい例がないのだが、本葉が出かかっているこの状態で水を切るのは怖い。

・光
リトープスにも言えることだが、魔玉もどちらかというと光を欲しがる。気を抜くとすぐ立ち上がって、ひょろんとなる。
ただ表面が緑から赤に変色するまであげるとそのまま溶けていくことがあるので、その場合は注意が必要だ。
一個上の画像は光が強すぎる気がするが、蒔き過ぎたため、強い子だけ生き残ってもらおうと思っている。
日中は最大38000lxが当たる場所で育ってもらう。(12〜15時の窓越しの日光)
多分もっと弱くてもいいと思う。

・風
風については正直わからないところがある。
うちは常にサーキュレーターを回して風を動かす様にしている。

・温度
温度に関しては特に気にしたことがない。
実生の管理は常に室内で人間と同じ温度で生きてもらっている。都内の夏と冬で生き残る程度にはやっていけると思う。(多分)

・湿度
湿度に関しても特に気にしたことがない。
蒔きたてで、発芽が揃うまではラップをしているが、葉を出してからはラップは外して管理している。
特に霧吹きもしたことがない。
とにかく腰水だけは切らなさない様に管理した。

最後に

こんな感じだろうか。
いつのまにか実生の方法に偏ってしまった…
実生については光を当てて!水を切らさず!さえ守っていれば割と強いタイプの植物で、育てやすいと思う。大人の株は梅雨から水を控えたりするが、実生1年未満の株については水を上げ続けた方がいい。
正直、魔玉さんの魅力について語りきれた気はしていない。最初の双葉?のグミの様な形から、角張った本葉が出てくるところ、花が咲いても、咲いた後でさえも、魔玉は本当に魅力に溢れている。
少しでも魅力が伝わり、ひいてはあなたがその虜になってくれることを願う。


ちょっと最初の紹介が長かったので、実生簡易版を作ろうと思っている。
↓coming soon↓

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