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自粛と補償はセットなのか?

COVID19によって経済が停滞している昨今、政府の対応も人々の耳目を集めています。緊急事態宣言が全国に拡大された今、無関係でいられる人は少ないのではないでしょうか。

特に心配なのが人々の自粛の影響をモロにうける観光業、飲食業です。Twitterなどでは数カ月の自粛で倒産するぐらいなら、コロナ以前の問題なんじゃないかと言った声や、給付ではなく融資で対応すべきとの声が少なからず聞かれます。

まず、日本の現状を数値で把握してみたいと思います。


日本企業の資金繰りの状況

下記は財務省が公表している法人企業統計調査からの抜粋です。

コメント 2020-05-03 143224

調査全体でみると手元流動性は15%前後で推移しており、売上高の2カ月弱の現預金等を保有していることを示しています。なにも手当てせずに数カ月売上がたたないと、多くの企業の経営状況は悪化し、資金繰りができなくて倒産する会社が増えることが予想できます。

もう少し細かい資料を経済産業省が公表していましたので紹介します。

これは最新の日本の状況をまとめてくれているので、興味のある方は元資料にもぜひ目を通してください。中国との取引量が減少して業績が悪化している状況が解ると思います。

コメント 2020-05-03 144215


特に着目していただきたいのは、多くの企業が不安を抱えている資金繰りです。宿泊業・飲食サービス業を営む多くの企業は半年で資金繰りが悪化しますし、小規模の宿泊業は3カ月で資金繰りが悪化するという結果になっています。もちろんこれは平均なので、余裕がある企業は給付等がなくても生き残るでしょうし、逆に体力がない企業は1~2カ月で困窮するでしょう。

COVID19の影響によって2月頃から影響は出始めているので、既に3カ月が経過しています。緊急事態宣言によって人々の自粛の動きは加速していますし、宣言が解除されても客足がすぐに戻ることはないでしょう。これから夏にかけて深刻な状況がどんどん顕在化してくることが予想されます。


自粛と補償はセットなのか?

仮に休業要請をしない・自粛を求めない場合には、公的融資の拡大などで対応するのはアリだと思います。感染症の拡大の有無に関わらず、多くの企業が倒産しており、各企業は自社の経営責任を負っているからです。

しかし、休業要請・自粛を求めるということは、政府という国家権力が企業の自由な経済活動を制約するということです。十分な損失補償は難しいにせよ、一定の上限を設けた補償を迅速行うことは必要だと思います。


個人に置き換えて考えてみましょう。

あなたの住んでいるエリアは感染者が増えているため、自宅待機してください(これはあくまでお願いであり強制ではありません)。

働かないと収入は入りませんが、銀行にお金が余っているでしょう?それを使って生活してください(とりあえず一カ月を予定しています)。あくまでお願いですので生活の保障はしません。いい消費者金融がいるので紹介しましょう。感染の不安があれば布マスクを2枚あげます。不安がパッと消えるでしょう。

(一か月後)

一部の人がお願いを守ってくれないので、思ったような効果が出ていません。もう一カ月延ばします(こうしてジワジワと預貯金が無くなってきます)。

毎月毎月家賃や社会保険料の請求はきます。養っている家族に一定の生活費も与えなければいけません。

こんな状況で自粛できるでしょうか。感染拡大を防止するための休業要請であれば、実効性を上げるためにも自粛と給付はセットで議論すべきだったと思います。


緊急事態宣言より少し遅れて、2020年5月1日より持続化給付金の申請が開始しました。このような給付金や助成金などの制度と自己資金・融資をうまく組み合わせて活用し、この危機を一つでも多くの企業が乗り切れることを祈っています。





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