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初期衝動の話

ある展示で、大学生くらいの若い人たちのアニメーション作品を観た。あまり展示の内容を調べずに行ったのだが、幼い頃に家の近くの大学の学祭で色んな作品をワクワクしながら観ていたのを思い出した。楽しい時間を過ごせた。

私の隣の席には野生のノイズ音楽家が座っていた。彼は自らも生み出す側の人間だけあって辛口である。曰く「展開なんかいらんねん!初期衝動でちゃっとやれ!」ということである。それはもちろん学生に向けての言葉であったが、私はなぜか「すいません…」と謝っていた。

謝っていたのは生理的反射などではなく思い当たる節があったからだ。
私は写真を撮るのが好きで、ここ数年は職場のパートさんや旅行先の写真を冊子にしている。ZINEと言ってもいいだろう。
作るにあたって、写真の選定をしたりフォーマットを考えたりするのだが、考えれば考えるほど失速していって、思い立ったヤル気がしぼんでいくことが多々ある。
それは結局、初期衝動を活かせていないのだ。野生のノイズ音楽家が言うことが突き刺さるわけである。

いろいろ考え出すと手が止まる。それ以前に手を動かす前に止まってしまうこともある。衝動は激しいようで柔らかく繊細なもののようだ。

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