読書記録


①変な家 雨穴
途中までネット記事か何かで見かけて読み、続きが気になったため購入。
前半で主人公たちがかなり勝手な憶測をして盛り上がっているので、いやいや実際そんなわけないでしょ、と思いながらもなんだか気になってしまう、この辺の話の運びはなかなかうまいと思う。
しかし残念ながら前半の盛り上がりを越えることはなく、全体としてはやや尻すぼみな印象。
後半は特にミステリ慣れしている読者にとっては、え、仕掛けそれだけなの?とやや期待外れの内容で、もう少し前半の都市伝説を生かした展開にしてほしかった。
個人的にはほっこり系エンド+軽めのぞわっと要素あり、のホラーはあまり好きではない。ここまで記述していて思ったが、本作はそもそもホラーでもミステリでもなく、都市伝説を題材としたエンタメ小説と捉えるべきかもしれない。
タイトルの変な家というのは、前半で話のきっかけとなった家の間取りのことだけでなく、登場する一族全体のことも暗に示しているのだろうか。いずれにしても、なんだか変な家の間取りから、そこにあえて住んでいる人たちを、ゆがんだ不気味な家族として読者に想像させるのは面白いなと思った。

②パプリカ 筒井康隆
面白くて一気に読んでしまった。かなり前の作品だが、出てくる装置には古さのないSF。最後の方の敵があまりにも荒唐無稽なところと、こういう話に出てくる女性が娼婦になりがちなところについては何とも言えないけれど、夢と現の境界がなくなっていくような展開だから、現実味は必要ないのかもしれない。
死後も悪霊のように通りすがりの他人の夢に侵入してその人を発狂させる存在となる、というような、あるいは虐殺器官のような終わり方を想像していたが、そうではなく、きちんと救いがあるタイプのSFだったのがやや意外だった。

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