見出し画像

まな板の上の鯉

最後にいつ使ったかも思い出せないような言葉が急に出てきたのは、
滞在先に鯉がいるからだけではないだろう。

こちらでは毎日アーユルヴェーダの治療が行われている。
薬や鍼のような典型的な“治療“の他に、食事やマッサージも含まれる。
これはアビヤンガと言われるオイルマッサージの話。

最初は大きな木枠の鏡の前に座るよう促される。
頭からオイルを垂らされ、髪の毛ごとグワシグワシとかき回されるようなマッサージが続く。
日本で体験したことのあるヘッドマッサージとは全然違う何か。

そもそもパンツ(下着)の上に布を1枚巻いただけの姿で部屋に入るのだが、
頭、肩とマッサージが終わると、その唯一の布をはだけさせられる。
上裸の自分が大きな鏡に写されるという衝撃体験。
鏡の木枠には、ご丁寧に真っ赤なハイビスカスが並んでいるという滑稽さ。

動揺が隠しきれない私を置いて、座ったまま背中のマッサージが始まる。
パンツも下げられて半ケツ状態にされたまま、腰までのマッサージ。
“Ok, madam!"
胸を隠すタイミングも見つからないまま、次はベットに仰向けになるよう促される。

寝転んだら顔やデコルテのマッサージ。
敢えてフェイシャルと言わないのはやはり、イメージが相当異なりそうだからである。
頭同様、インド料理店で嗅いだことのありそうな香りのオイルで、撫で回してくれる。
スパイスのような、ドライフルーツのような。

それが終わると、何と部屋にもう1人入場してくる。
驚く暇もなく、右と左から全く同じ動きで脚のマッサージが始まる。
全身でペットボトル1本分くらい使ってそうな勢いで、
ダバダバとオイルをかけながらのマッサージ。

「マッサージオイルがつくので、汚れてもよいパンツを2枚以上持ってきてください」
と予約時のメールには書いてあった。
とはいえ、日本のマッサージの感覚で
「言うてそんなにでしょ」とタカを括っていた自分がいた。
マージーでベッタベタwww
油分という意味でも臭いという意味でも、捨てる前提のものを用意することを強くお勧めするw

そして再び布をとられ文字通りパンツ一丁になる。
このタイミングである。“まな板の上の鯉“という言葉を思い出したのはw
驚く間もなく左右からのオイルマッサージ。
2人の両手が上下左右に動き回る。
もう恥ずかしいとか思うことが馬鹿馬鹿しくなってくる。

横向き(左右)、背面とマッサージは続き、
半ケツ(というかこの頃には限りなく全ケツw)ながらもリラックスに近い心境になってきたところに、
暖かくて手ではない何かが足元から順にリズミカルに当てられて終了。
(あとでこれがハーブボールというやつだったと知る)

"Madam, finish!"
2人から満足げな笑顔を向けられると、
もはやありがとう以外の気持ちを忘れるから不思議。

異文化体験は続く。

のんびり気ままに更新します^^