開歌-かいか-、CYNHN、PIGGS……アイドルディスクレビュー:Vol.3(7/19〜7/25)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第3回。今週取り上げるのは「開歌-かいか-」「CYNHN」「PIGGS」3組のアイドルグループです。

・開歌-かいか-『サン・マナ・パーニャ!/Blue Fantasia』(7月20日リリース)

5月4日に開催された 2 周年記念単独公演「皐月歌」にて、アイドルとして最後のステージにたった百岡古宵。5人体制から4人体制へと新たに舵をとった開歌-かいか-が新体制後初めてリリースしたのが『サン・マナ・パーニャ!/Blue Fantasia』だ。4人の新たな門出を祝福するかのような幸福感に満ちたサンバ調のリズムが新しい「サン・マナ・パーニャ!」は、思わず口ずさんでしまうほど聴いていて心地いい。「Blue Fantasia」は堂島孝平のカバーで、5月4日に配信シングルとしてリリースされていたものをシングルとして再録。百岡がリードボーカルを務めたラスト曲という余韻も残るなか、4人が紡ぎあげてきたグループとしての真価も感じられる。まだまだ成長途中の彼女たちではあるが、すでにアイドルとしての度量が感じられる快作。

・CYNHN『AOAWASE』(7月21日リリース)

青をグループの基調としつつ、アイドルという枠組みでは決して収まらない表現の体系を追求してきたCYNHNの新シングル『AOAWASE』。悩みに寄り添いながらも自分らしさを貫く現在のCYNHNを映し出したかのような温かくも力強いアンセムたり得る楽曲となっている。そのなかで水のようにしなやかにそして流麗に舞い踊るダンスは唯一無二の魅力。表面上は空色に澄んでいる海でも、深まれば深まるほどに濃い青色へと変化していく。「正しい色合いなんて興味ない」と切り捨てるメッセージは様々な“青”へと変化し続けるCYNHN自身を表しているようにも感じる。そんな色彩の揺らぎは青色をグループカラーとするCYNHN自らのアイデンティティとも重なるものだろう。

・PIGGS『VISITOR』(7月21日リリース)

2021年4月13日に方向性の違いによりUMIが脱退。プー・ルイ、CHIYO-P、SHELLME、BAN-BANの4人でPIGGSとしてスタートを切るという困難に見舞われながらも、オリコントップ10入りを果たした前作『T.A.K.O』から3ヶ月で新作『VISITOR』をリリースした。相変わらず尖りに尖った骨太なロックサウンドが響き渡る「Piggy」。表題曲の「VISITOR」にあるシンセのうねるアレンジと吐き捨てるようなボーカルこそPIGGSたる所以だろう。軽快なギターとドラムが鳴り響く「LINK EMOTION」は一転して比較的ライトな質感。アグレッシブなロックを湛えたサウンドと洪水のように流れ込む怒涛のボーカリズムが全方位的に発揮された安定のPIGGSクオリティだ。


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