原子量がわかったところでmolにいってみようか。

 今回は、前回の続きになるので前回をお読みでない方はコチラをまずお読みくださいませ。

 さて、前回「原子量とは何なのか」を書きました。あわててはいけません。molがちゃんとわかるためには「原子量が何なのか」がわかる必要があるのです。「原子量とは、原子の質量を表す数字」で、単位は「g(グラム)」ではなく、「単位なし」であることを押さえていないという方は、誠に申し訳ありませんがコチラをまずしっかり読んでしっかり理解することを優先してください。

 ここでいよいよ「molって何なのよ?」という話に入ります。まず、¹²C原子(質量数12の炭素原子)に注目します。¹²Cの原子量は、定義からぴったり12になります。そして、その¹²Cを、たっっっっっっくさん集めてきて、12g(グラム)になるまで集めます。すると、6.02×10²³ 集まったところで、¹²C原子は12gになります(正確には6.02214076×10²³個)。

 そこで、「6.02×10²³ 個のことを1molと呼ぶことにする」のです。これは、「12個を1ダースと呼ぶ」のに似ています。そして、¹²C原子を1mol集めてくると、12gになるわけです。
 さてそれでは、原子量24の原子を1mol集めてくると、何グラムになりますか・・・?答えは24g(グラム)ですね。なぜならば、「原子量24」というのは、¹²C原子の2倍の質量であるということを意味し、¹²C原子1molを集めて12gならば、その2倍の質量の原子を1mol集めてきたら質量は2倍の24gになる、というわけです。

 同じ理屈で、原子量Mの原子を1mol集めてくると、Mグラムになります(←本当はM gと書いたほうがいいのでしょうが、マグネシウムとか重力とかに見えてしまうので、、、、、)「原子量Mの原子を1mol集めてくると、Mグラムになりますよ」はいここが大事なところ。<DEL>線引っ張っておきましょうね。</DEL>

 では問題です。「原子量Mの原子を2mol集めてくると、何グラムになるでしょう?」答えは「2Mグラム」です。理屈は簡単。「1ダースで12グラムのえんぴつは、2ダースで何グラムになるでしょう」というのと同じです。同じ重さのものをいくつか集めたら、純粋に「1個あたりの質量×個数」で全質量が求まりますからね。

以上をまとめると、

◎1molとは6.02×10²³のこと
◎mol×原子量=グラム

となります。

 この、「mol」を用いて原子や分子の個数を表したものを「物質量」と言います。このへん、原子量とか分子量とかと用語が紛らわしくなってきますよね。用語の紛らわしさは最初は戸惑いますが、慣れてくればそこまで大変ではないと思います。

 さて、molを使うメリットですが、まずは数値が比較的扱いやすい数字になるということが1つですね。18gの水が約1molに当たりますが、これを個数で表すと6.02×10²³個(602000000000000000000000 ←本当は2の後ろの0は0ではないのですが)という膨大な数字になりますから。「いやそれでも個数のほうがわかりやすくていいわ!」という人もいるのですが…。もう一つ。(純物質であれば、という前提がつきますが)「質量を測定すれば、それを分子量で割るだけでmolがわかる」というものがあります。これは、

mol×分子量=グラム  を変形すると グラム÷分子量=mol

となることからわかります。

 原子や分子の個数は膨大な数になります。1mol、すなわち6.02×10²³個を、数えることはほとんど不可能です。だって、10の23乗ですよ?数えられますか?・・・無理です。1秒に1個のペースで数えていった場合、100年でも全然足りない。もっと言いましょう。「億年」でも「兆年」でも足りません。原子の数を数えるのは不可能です!ということで、

「原子の数を知りたければ、グラムを測って原子量で割れ!」

ということになるのです。あ、これに6.02×10²³を掛けると、個数になります。

 なお、この6.02×10²³には「アボガドロ定数」という名前がついています。偉大にして悲運の科学者、アボガドロの名前が冠されています。アボガドロさんの物語は・・・別稿で書く・・・かな?

 補足:2019年に、アボガドロ定数の定義が改訂されました。それまでは「12グラムの¹²Cに含まれる原子の個数」で定義されていましたが、新しい定義では「6.02214076×10²³」という値そのものをアボガドロ定数の定義とすることになりました。この定義変更によって実用的に何か変化があるかというと、かなり専門的な話にならない限りほとんど無いと言ってよいと思います(間違ってたらだれかこっそり教えて←)。

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