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コロナ禍の保育・・・「非接触」を求められる中での「ふれあい」の重要さについての一思考

 はい、みなさんこんにちは!男性保育士のRyU先生です。

 今回は新型コロナ感染症による生活様式の変化を受けて、これから先の保育の在り方、その一部について考えていこうと思っています。

 記事の中で新型コロナに関する情報などについても多少なりと触れますので、各自でも公的機関や、自治体、雇用先のガイドラインなどしっかりと確認をして、正しい、新しい情報を得るようにしてください。

 さて、コロナの終息がまだ見えない中で、あまり遠くの未来を見つめても実りが少なそうです。なので、今回は少し先で予想しうること「子どもとの接触とふれあい」に焦点を当てていきます。

 結論、これからは感染症対策の徹底がコロナ終息以降も継続されることで、感染症対策による直接的な接触機会の軽減と共に、感染症予防に対する配慮が増えることでの間接的な接触機会の微減が起こります。また、「移したくない」、「移されたくない」などの保育者・児童双方の内的理由による接触機会の減少も起こり得ると考えています。

 こうした変化を以て、子どもとの接触を意識的に少なくすると共に、様々な理由によって無意識的に接触を避ける機会が増える「非接触型保育」が広がっていく可能性が少し先の未来にある様に思います。

 日々の子どもとの接触機会が僅かずつ減ることにより、コロナ以前の子どもと比較した際に、大人との触れ合いの経験が少なくなります。

 すると、成長や発達、特に情緒面での影響が出る可能性が無いと言い切れません。こうしたリスクの発生は視認が難しく、コロナ禍の今の子ども達の様子、そして子ども達の成長の過程を家庭でも保育施設や医療機関などでも注視して情報共有をしなければ影響の有無や大小を把握することができません。

 加えて、公的な機関の調査など含めて慎重な検証が望まれる問題の最中に、今の私たち、そして子ども達は直面しているのではないかと思うのです。

 もしかしたら悪影響があるのかもしれない・・・・・・という不安やリスクを少しでも減らす為に必要になるのは、感染リスクを減らす「接触機会の減少」を押し進めつつも同時に「ふれあい遊び」の充実を図ることにあると考えています。

 これは日々の自然な触れ合いと共に、感染症対策を強化した上での活動の一つとしての「ふれあい遊び」の充実を図ることで、接触機会の減少分を意識的に補う必要があると考えるからです。特に未就学児、中でも乳児に対して必要性が高いのではないかと思います。

 記事の中では、ふれあい遊びをする際の留意点なども考察していこうと思います。よければ皆さんも、記事を読みながら「接触機会」と「ふれあい遊び」、そしてこれから先の保育について一緒に考えてみてくださいね。

マスクの意味が変化したコロナ禍

 本筋に入る前に少し新型コロナ感染症に関する、これまでの情報(2021/05/04時点)を整理していきます。

 新型コロナ感染症が認知されてから1年以上が経ちましたが、未だ世界はおろか日本でも猛威を振るっています。それに伴い、日ごろの感染症対策に関するマナーやモラル、生活様式も緩やかに変化しましたし、現在進行形でも変化は続いています。

 中でも個人的に、殊更に変化を遂げたと感じるものはマスク着用の意味です。

〇コロナ禍以前は感染”予防策”の一つだった

 コロナ禍以前は、マスクは「感染予防策」の一つであり、他者からウイルスを取り込んで感染しないように、身を守ることがマスクを着用する主な理由だったように思います。(勿論、元から医学や感染症などに関心を持っていた人は感染拡大防止の観点を持っていた方もいらっしゃったと思います)

 また他方、感染症に罹った人が、症状のある時から潜伏期間の間に限定して「感染拡大」を防ぐ為に付けるべきものだと考えられていたように思います。インフルエンザ流行期などは、ワクチンは多くの人が打つものの、予防策としてマスクを着用する人は、感染対策の意識が高い人に見られたものではないでしょうか。

〇コロナ禍以降から感染拡大”防止”策に

 コロナ禍となり「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」も経験した今では、マスクは”症状が無い場合でもウイルスを保持している可能性がある”ので、人と接する際にマスクは「感染拡大防止」の為に付けなければならないものになりました。

 元々は”自分が感染症に罹ってしまった時に移さない為”、もしくは感染症の季節に”自分が感染しないように”つけていたマスクが、症状はなくてもウイルスを保持している可能性を皆が意識して、”他者に感染させないように必要に応じてつけるもの”になりました。「マスク」という一つのツールにおきた、こうした認識の大きな変化と言うのは、とても珍しく、とても大きな変化だったと思います。

 個人の中で何かを経験した時、ある物に対してこれまでと認識が変化する。ということは、多くはなくても誰もが経験しているかと思います。しかし、日本国民・・・・・・もしかしたら世界の人々の認識がほぼ同時期に、これほど大きく変容することは滅多にないことでしょう。

 実感がなかなか湧きにくいものですが、私たちの想像をはるかに超えるとてつもなく大きな転換期を私たちは経験したのかもしれませんね。

新型コロナの現状を軽くおさらい
(2021/05/04時点)

 それでは、新型コロナウイルスの現状について認識を合わせる為に、軽くおさらいをしていこうと思います。

 基本的には政府と住んでいる自治体の発表を参考にしていますが、医師会や有識者のコメンテーターの発言なども混ざってしまっている部分が多少なりと在ると思いますので、申し訳ないのですが予めご了承頂いた上で読み進めてください。

 昨年の新型コロナウイルスは、「高齢者や基礎疾患を持っている人が重症化リスクが高く、12歳以下の子どもではほとんど感染が見られない」とされていました。

 保育士目線でいくと、初めは未知の部分も多く、乳幼児にもマスクを着用させる必要があるのか?と混乱する時期がありましたが、すぐ後に小児科学会などの提言や、コロナの実態が解明される中で、子どもの感染は少なく重症化もしにくいので、呼吸器に起因するリスクを天秤にかけて、マスクを着用する必要性はないと結論付けられました。

 今も乳幼児に関しては、「基本的にはマスクはせず、高齢者や基礎疾患を持った人と長時間同じ空間で過ごす際には必要に応じて着用しましょう」とされているかと思います。

〇変異株の情報を注視、対策を継続して子どもを守る

 新型コロナウイルスの解明が進み、具体的な対策が打ち出され、人々の行動変容・・・・・・「マスク着用、手洗いうがいの徹底や手指消毒、3密(密)閉、密集、密接)の回避、4人以上の会食の回避、ソーシャルディスタンスの確保など」が浸透して落ち着いてくると、ウイルスならではの変異株が表に出始めました。

 変異株は世界中で確認されており、今年の初めは(おそらく)「ブラジル株」や「イギリス株」などが日本に入ってきて注目されていました。今は「大阪株」、「東京株」と呼ばれるようになり日本国内で新たに変異したものや、変異したウイルスが更に変異をした「二重変異株」という言葉も聞こえてくるようになっています。

 変異株の性格・特徴は多様です。正確には理解できていないので細かな説明はしませんが、従来種と比較して「感染リスクが高い」、「感染者から出るウイルス量が多い」、「重症化リスクが高い」、「若年層でも感染しやすい」、「ワクチンへの耐性を持っている」など、それぞれ、また複合した特徴を持つものが脅威として認識されるようです。

 勿論、突然変異による特徴の変化なので、逆に弱い変異をしているものもあるはずですが、脅威度は低いので報道されたり議論されたりすることはありませんが、ウイルスを正しく恐れる為には、こうした知識もあった方が個人的には良いのかなと思っています。

 今のところ変異株は感染力や重症化リスクが上がっているものが確認されていますが、もしかしたらこれから先「子どもにも感染力が高い」ものや、「子どもの重症化リスクが高い」ものが現れないとは誰にも言い切れません。

 これは、コロナだけではなく感染症全般に言えることですが、感染が少し落ち着いたから、もう安心!ということはありません。
 ウイルスは突然変異をして再び猛威を振るう可能性が常にあるものだと頭に置いておきましょう。

 また、これまでの感染症の歴史の中でワクチンの開発後に、ワクチンに抗体を持つ変異が起きたこともあるので、ワクチンを打てさえすれば完全に安心ということもありません。

 ではどのようにして脅威から身を守るのかと言えば、日ごろからの感染症対策と、有効なワクチンの接種、そして新しく更新されていく正しい情報を常に注視していくということになるのだと思います。

 特にお子さんのいるママパパや、保育者や教師は、大切な子ども達の為に情報収集と対策そして評価・改善を怠ってはいけません。


 とはいえ、現在見られるウイルスは若年層(成人)への感染リスクが高い種のものはあっても、保育の対象となるような幼い子ども達に関しては重症化のリスクの高いものは未だ確認されていないようですね。

 集団感染に関しても、今のところ大きなクラスターが保育施設等で起きたという報道は見かけません(2021/05/04時点で筆者は1回だけニュースで観た気がしますが、職員の感染が主で園児は少なかったように記憶しています)。

 なので、今すぐに子ども達をどうにか保護しなくては!子どもとの接触は危険だ!明日からは子ども達の為にも接触しないように保育しなければ!という様な極端な対策は必要なさそうです。

 恐らく多くの保育施設が日ごろから行っている「手洗いうがいの励行」や「玩具の消毒殺菌」、「換気」をこまめに行う、「室内の温度や湿度の調節」、「衣服の枚数の調整」などを継続することが大事で、また、そうした努力を継続していくしかないのかなと思います。

保育施設における接触機会について

 戦うべき敵の姿を確認したところで、保育施設における「接触機会」について考えていこうと思います。

 簡単に言えば、「子どもに触れる」、「子どもとスキンシップを図る」、「子どもから触れられる」、「子ども同士で触れ合う」といった、もしも誰かがウイルスを補修していた際に、感染リスクが高まる接触のことです。

 とりあえず思いつくものを羅列して、そこからそれぞれを分析していきます。

〇保育施設における子どもとの接触機会

・検温、触診
・生活の中での自然なスキンシップ
・あやす、なだめる
・トイレ介助
・食事・おやつ介助
・着替え介助
・手洗い場での指導
・活動内での必要なスキンシップ
・トラブルの仲裁
・病児の介助
 などなど・・・・・・

 上の様に、ざっと思いついたものを並べてみました。「スキンシップ」に関しては、子どもから求めてくる自然なものと、活動によって手を繋いだり、リレーの様に共有のバトンを手渡しするなど活動上必要な接触とに分けています。

コロナ以前と渦中で変化したもの

  コロナによって保育施設では沢山の変化がありました。接触機会にあげた検温に関しては、以前であれば脇下での検温がほとんどだったと思いますが、今では多くの施設で、おでこから少し離して機器を構えてセンサーによって体温を検知する「非接触型の体温計」が用いられるようになったのではないでしょうか?

 施設運営者からすれば買い替えのコストが急に現れた形(こうした感染対策に必要な物品に関しての公的な支援はあったのでしょうか?)になりますが。

 日々、各児童に対して2~3回実施する検温なので、効率化の観点や、感染症や感染の可能性のある皮膚疾患などのリスク減少の観点から、従来型の体温計を使いまわすよりも、非接触型へ移行したことでのメリットは大きかったのではないかと思います。

 非接触型の体温計はコロナだけに有用なわけでなく、子どもの突然の発熱の際にも、診察前の不確定なウイルスを保持している状態での接触を避けられるので、感染力の高い疾患であったとしても感染が広がりにくくなり、子ども達の安全に着実に繋がっているので保育者としても安心なんですよね。

保育士による触診の必要性

 次に登園時や午睡明け、夕方の子どもの様子、時には様子の変化が見られる子どもの状態を把握する為の行為である「視診」と「触診」についてです。幼児クラスであれば簡単な「問診」も含まれるのかなと思います。

 視診による怪我や顔色、表情、しぐさなどの確認はいわずもがな、触れることでの体温の急な上昇を感知したり、何かしらの理由で傷はなくても痛みを訴える場合など、触診によって見えやすくなる症状・状態というのは少なからずあります。見ていただけでは見逃してしまう子どもの変化を捕らえるには、個人的には保育士による「触診」も同様に重要だと考えています。

 保育士は怪我や病気に関しては素人です。当たり前なことですが、幾ら知識があっても子どもの状態を見て怪我や病気の診断を下すことはできないです。
 ですが、医師や看護師の様に専門的な知識や経験がないからこそ、見ただけ、子どもの言葉を聞いただけでは、その時の子どもの状態を把握するには不足があると思うのです。

 正しい処置をしてあげる為にも、様子や情報を保護者や、必要によっては園長先生や、当該児童のかかりつけ医に伝える為にも、「視診」、「問診」「触診」が必用だと考えています。

 また最も大事なのは、子どもの様子から「緊急性の判断」をしなければならない点にあります。怪我や体調によっては、すぐに保護者に連絡を入れて、かかりつけの病院に向かう必要も出てきますから、そうした緊急性の判断を下す為には、視診や問診だけでは測れない、触れてみた時の保育者自身の感覚や、子どもの様子や異変箇所の反応などを観察・確認する行為が必用になると思うからです。

各種介助における接触について

 次に各種介助における接触について考えていきます。これは年齢や個人個人によって配慮が異なるので難しい部分ではありますが、どの場合においても完全に接触を失くすことは難しそうです。

 例えば乳児の食事介助などでは、本人用のスプーンと介助用のスプーンがありますが、子どもに介助用スプーンに触れさせないのは絶対としても、担当児の次の行動の為に食事介助を他の職員に引き継ぐ場合、また新しい介助用スプーンを用意したり、そのまま使うのであればアルコールティッシュなどで柄の消毒を行う必要が出てきます。

 柄の部分を直接的に子どもの口に入れることはありませんが、先に介助していた保育者が何かしらの感染症に罹ってしまっていた場合に、スプーンを引き継いだことで感染リスクが発生するケースも無いとは言い切れません。

 ですが、ここまで厳重にしてしまっては保育中のあらゆる行動に軽微なリスクは存在するので、身動きがとりにくくなってしまいます。また、感染対策に注力してしまったが為に、子どもの活動を止めたりしてしまっては本末転倒な場合もあるでしょう。

 こうしたリスクの低いケースに関しては、園毎にガイドラインを決めていくのが最も効率的かなと思います。保育者毎に代えのスプーンを使う、同じスプーンでも消毒をしてから他の保育者に渡す、食事介助の際にはゴム手袋等を使用する、など施設の人員や食器の数など、出来る範囲の中で努力をしていければ良いのではないでしょうか。

 着替えやトイレの介助では接触は避けられません。なので、介助前後には手洗い、手指消毒を徹底するしかありませんね。

〇排泄物にウイルスは含まれるか?

 ノロウイルスを代表とする、感染症の中には患者の排泄物や吐しゃ物(うんちや吐き戻しなど)にウイルスが含まれているものがあります。新型コロナウイルスの感染経路に関しては、「飛沫」と「接触」が主と言われていますが、糞便や吐しゃ物にもウイルスが含まれているのかについて、まだ正確な解析に至っていないようです。

 保育施設などであれば、トイレ介助で糞便の処理をする際には手袋の着用、処理の工夫、処理後の手洗いなど徹底しているかと思います。

 もしも排泄物にウイルスが含まれているとしたら「糞口感染」のリスクが生じるので、児童用便器に蓋があれば必ず弁を流す際には蓋を閉めるようにしましょう。もし蓋が無ければ、便の排泄後には便座を消毒してから次の児童を座らせるといった対処も必要になるかもしれませんね。


 子ども達の成長の過程で、様々部分で介助の必要性はあり、介助では接触は避けられないものです。なので、接触機会を減らす工夫はしつつ、介助の前後で忙しさに負けずに清潔を保つ努力をしていくのが良いのでしょう。

活動上必要な接触

 次に考えていきたいのは、活動の中で発生する必要な接触機会についてです。具体的には、「ふれあい遊び」や、組体操などの「他児と協力して行う遊び」、「遊具や用具を共有する遊び」などです。

 少し特殊なケースですが「上がり目、下がり目」のような、他者の顔や身体に触れて遊ぶものについては、少なくとも感染力の高い感染症が流行している期間には選択肢から除外するべきだと思います。

 また間接的な接触が生じる遊具や用具の共有に関しては、遊びの最中に物を掴んだ手で顔付近を触らないことを周知しながら、遊んだ後にはすぐに手洗いうがい・手指消毒を行うことでリスクを低くする必要性があるかと思います。

 ただし、園外の公園など公共の遊具などは不特定多数が触っているものなので、どうしても自分の顔付近を触ってしまう0~2歳児クラスなどに関しては相当に注意を払うか、十分な対処を保障することができない環境にあるのであれば、感染症が収まるまでは公共の遊具や用具は使わないのが安全かと思います。

 ふれあうことは避けるべきか?

 最後に生活の中での自然なふれあいについて考えます。

 大人でも触れ合い、スキンシップを取ることで安心したり、幸せな気持ちになったりします。人にとってスキンシップが大切なことは、わざわざ改めて言葉にしなくても皆が感じていることですね。

 子ども達にとってのスキンシップは同じ理由でもとても大切です。しかし、子ども達にとってのスキンシップは精神的充足感とは、一線を画して「成長」や「発達」の助けでもあり、また、必要十分なスキンシップによってのみ「愛着」が形成されることが分かっており、「ふれあう」ことが子どもにとってどれほど重要な行為なのかが分かります。

 たまたま手を伸ばした先に触れる、自分の意思で手を伸ばして触れる、大切な人に触られる、お友だちと触れ合う・・・・・・そうした経験を重ねていく中で、子ども達は自分の身体を認識したり、他者を認識したり、信頼関係を作ることができるのです。

 結論からすれば、子どもから「ふれあい」を奪うことはできません。ですが、ふれあいの機会を作るということは、単純に接触機会をわざわざ作ることでもあります。必要不可欠だけれど、リスクが伴うのであれば、リスクを出来るだけ減らして行うしかありませんね。次項では、どのようにして「ふれあい」の機会を安全に設けることが出来るのかを考えていきます。

 「ふれあい」を担保する為に求められる配慮とは?

 子どもにとっての「ふれあい」とは、語弊を含むことを承知で言うなれば「成長と発達に親密に繋がり、社会性を築くのを促す行為」と言えます。

 そうなると必然的に、保育者は子ども達の「ふれあい」の機会を担保する責任があります。また、預かっている子ども達に感染症を蔓延させてはいけないという責務も同時に担っています。

 自然なコミュニケーションとしての「ふれあい」が、無意識的にも意識的にも制限されるかもしれない状況の中で、子ども達の「ふれあい」の経験を減らさない為には、活動の中で「ふれあい」の機会を設けていくことが求められます。

 しかし、設定保育に「ふれあい遊び」を追加しようとする時に、感染リスクを度外視することはできません。感染リスクを極力抑えながら、ふれあい遊びを楽しむには、どのような配慮が必要でしょうか?

 活動中の留意点と、活動前後の準備と後処理も含め以下の様な配慮ができるのではないかと思います。

・保育者自身が日頃から感染対策を徹底する
・家庭と連携して子どもの感染対策をしていく
・活動で使う部屋を予め十分に換気をする
・活動する部屋に移動する前に子ども含め手洗いをする
・マスクの着用とマスクを触らない様に指導
・活動後には手洗いうがい
・その後の子どもの様子を観察

 日頃からの感染対策は大前提

 もう当たり前になっている人も多いかもしれませんが、まず何よりも保育者と子どもに感染者がいないであろうという状況を作ることが大切です。症状の有無に関わらず、感染者がそもそも居なければ感染拡大は起きません。

 その為には、活動の前日だけ感染対策を徹底しても意味がありません。日頃から、家庭も含めて、保育者も子ども達も、そして保護者家族も感染対策をしていることは安心した保育に直結しています。それを実現する為の、正しい情報の周知や、家庭での過ごし方の指導なども保育者に求められることの一つだと考えています。

 活動においての環境設定では部屋の換気から始まっている

 健康な状態であればリスクは相当に低いですが、毎日PCR検査や抗体検査を行うことはできないので、無症状の感染者がいるかもしれません。なので、活動する部屋は予め換気をしておき、ウイルスが少ない活動場所を作ります。

 児童施設で注意したいのは、換気を徹底するあまりに室温が上がり過ぎたり、下がり過ぎたりして子どもに影響が出てしまわない様にすることです。換気についてのガイドラインを確認しながら、十分な換気と共に子ども達が活動しやすい室温・湿度になるようにしましょう。室温の調整が環境や時間的に難しい場合には、活動前に子ども達の衣服を調整するのも効果的だと思います。

〇十分に換気ができているかを確認するには?

 保育施設では日頃から換気をする習慣があるかもしれません。ですが、換気の頻度や時間によっては「これで十分に換気できたんだろうか?」、「こんなに室温が変わるほど窓を開けておく必要があったの?」という疑問が沸くことがあるのではないでしょうか?

 換気の目安は、「部屋の広さ」と「その場に居る人数」によって「換気する方法」によって時間や頻度が変化するそうです。

 なので、単純に「1時間に15分ずつ窓を開ける(換気扇を強める)」換気を行っても、その部屋や人数によっては十分な換気が行えないこともあれば、人数が少ないのでもっと短い時間でも十分な換気ができることもあります。

 検索をすると、ある程度の計算式のようなものを見ることはできるのですが、「部屋の広さ」と「人数」は分かっても、正直クラスに備え付けられている「換気扇(または換気装置)」や「窓の解放できる広さ」による「空気の換気量」なんて知りませんよね。

 なので、十分な換気ができているのかをCO2モニター(二酸化炭素濃度計測器)を使って確認する方法が注目されつつあります。

 あくまでも室内の「二酸化炭素の量」を計測する為の機器なので「ウイルスの有無」や「ウイルスの量」を計測することはできません。

 室内の二酸化炭素の量によって何が分かるかと言うと、室内で空気が滞っているかどうかになります。
 空気が滞ればウイルスはその場に多く、長く居る為に繁殖が容易になりますね。なので、二酸化炭素量を計測することで、部屋の空気が滞らない程度に換気を行うことで、ウイルスが繁殖する前に空気を入れ替えることができるようになるということです。

 このように視覚的に、数値として換気の必要性を調べたり十分な換気ができたかという確認ができると保育者としても安心できます。

活動前後の手洗いうがい

 換気の十分な部屋で活動をするのに、保育者や子どもがそのまま入ってしまったら、もしかしたらウイルスを持ち込んでしまうかもしれません。なので、換気された部屋に移動する前に元の部屋で手洗いをしていきます。

 また活動後はその部屋で手洗いうがいをして、また元の部屋に戻る様にすれば、何もせずに部屋の行き来をするよりも、ウイルスが部屋の中で増殖する機会を減らすことができます。

保育者はマスクを着用、年長児との異年齢交流の可能性

 先にも書いた通り、乳幼児に関しては、マスクによって呼吸器系に負担をかけてしまうなどのリスクもありますし、そもそも乳児ではマスクを効果的に付け続けることは難しいので、施設内でのマスクの着用は必要ないと個人的には考えています。

 なので、ふれあい遊びの中では保育者のみがマスクをするだけにして、より徹底するのであればその時に新しいマスクに換えると、果があるのではないかなと思います。

 また、机上の話ではあるのですが、年長児さんを「ふれあい遊び」の活動に招いて、その時だけ年長児にはマスクをしてもらって、小さい子とふれあう時間を設けることも良いのではないかと思います。

 ただし、限定的な機会で短時間とは言え、わざわざ子ども同士が接触する時間を作ることになるので、市や保健所に確認をしたり、園の嘱託医に意見をもらうことでの安全性を測ったり、いざ実行する場合にはそれぞれの保護者に活動への参加の確認をする必要も出てくることかもしれません。
 筆者はすでに現場を離れてしまっているので、今の現場におけるコロナ感染対策や、保育という活動でのモラルに従ってください。

感染対策をしつつ十分に「ふれあう」機会を

 新型コロナが流行したことで、日々の生活様式や、感染対策における認識の変容が起き、保育現場でも沢山の改善・対策があったことと思います。

 過度に恐れて、子ども達の掛け替えのない活動を制限することはできません。逆に、適切に恐れないことで、子ども達に感染リスクの高い活動をさせることもあってはなりません。

 感染リスクを出来る限り低くする工夫をしながらも、子ども達の遊びや活動、生活、「楽しい」を担保することは本当に大変なことだと思います。

 これは個人の考えに過ぎませんが、コロナウイルスによって混乱し、対策に駆けまわったことで、保育施設の(保育施設だけではありませんが)感染症対策のレベルは以前とは比べようもない程に上がりました。それと共に、「接触することによる感染リスク」が、子どもとのふれあいや接触を減少させてしまったのではないかとも考えています。

 「ふれあい」は子ども達の成長や発達、社会性にまで影響を与えるもので、「ふれあう機会」が目に見えて減少することによる影響というものは、ずと先にならないと分かりません。

 もしかしたら、コロナを経験した子どもと、「それ以前の私たち」や、「コロナ以後の子ども達」との成長や発達に何の差も出てこないかもしれません。

 でも、もしかしたら、目に見えて何か影響が出てくることを完全に否定することもできないのです。

 そんな、「もしかしたらのリスクや影響」に目を向けることが出来るかどうかで、不確定にも起こるかもしれない悪影響を少しでも少なくすることができるかもしれないのだ。と考えると、保育者や保護者の今の行動にはどれほどの責任が詰め込まれているのでしょうか?

 今回の一思考では、感染症対策としての非接触の重要性と、「ふれあう」という行為の持つ重要性、それを担保する為に保育者ができることを考えてみました。

 あくまでも机上の空論ではあるかもしれません。ですが、こうした色んなリスクを考えること、対策を講じていくことはとても重要なことに変わりはありません。

 長い文章を読み終えたあなたが、どのようなリスクを考えるのか、職場に持ち込んで議論をするのも良いと思いますし、あくまでも個人的な思考に留めるのも良いと思います。だって、もしかしたらこのまま子ども達にはあまり大きな影響は無く落ち着いていく未来もあるのでしょうから。


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保育士りゅう先生

 保育士りゅう先生(「RyU先生」で子育てに関する記事の執筆を依頼を受けてしていました)

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 現在は現場を離れて、元々したかったママパパの心のケアや、保育士の心のケアをしていけるように自身のHP『保育士りゅう先生のあそびば!まなびば!』を作成・運営しています。

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