RYU

経営コンサルタント。ビジョニング・パートナーズ株式会社代表。コンサルティング歴27年。…

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経営コンサルタント。ビジョニング・パートナーズ株式会社代表。コンサルティング歴27年。リクルートにて8年間勤務後、大手外資系コンサルティング会社に転身。2009年に起業。趣味ピアノとピラティス  公式サイトhttps://www.visioningpartners.com/

最近の記事

AIに対する向き合い方・つき合い方

前稿「ChatGPTの衝撃」では、AIの劇的な進化について言及した。 これからAIは、私たちの身近な存在になっていく。私たちはAIとどのように向き合い、どのようにつき合っていくのがよいだろうか。考察してみよう。 AIを排除することはできない AIは、とてつもなく学習能力の高い幼児のようなものだ。学習期間中は、あきらか間違いと分かる回答やピントの外れた返答が返ってくる。それは、まさに幼児が失敗することと変わらない。AIに対し、その間違いを正すことで二度と同じ間違いはしなくな

    • ChatGPTの衝撃

      AIの進化が凄まじいことを見せつけられた。2022年11月に公開されたChatGPTである。公開後わずか2か月で、ChatGPTのアクティブユーザー数は世界で1億人を超えた(*1)。Instagramが1億人ユーザーに達するのに2年半を要したことを踏まえれば、その反響の大きさが分かる。 ChatGPTとは何か ChatGPTの解説はネット上に数多くあるので、ここでは詳細な説明は割愛するが、要はチャットボット(人間とコンピューターとのやり取りを人間同士の会話のように言語化す

      • ジョブホッパーではスキルは上がらない

        ジョブホッパーとは、短期間に転職を繰り返す人たちのことだ。雇用流動性の高い外資系企業やベンチャー系企業では、よく見かける人材だ。ジョブホッパーに共通しているのは、みんなそれなりにコミュニケーション力があって、それなりに有能だ。 転職を繰り返すことはキャリア形成の一つである。しかしジョブホッパーの人たちは、ジョブホッパーになりたくて転職を繰り返しているわけではない。結果としてジョブホッパーになっているという背景がある。 ジョブホッパーは華麗なる転職族 採用活動に関わっている

        • 概念化する力 - コンセプチュアルスキルを養う

          日常で起こっていること、見聞きしていることは、全て具体的な事象だ。それらの具体的な事象を、汎用的かつ一般的に使えるよう抽象的な言語にすること、それを概念化という。哲学者や言語学者にとって概念化は必須のスキルだが、ビジネスにおいてもそのスキルは極めて有効だ。 概念化という言葉を知らずとも、そして意識をせずとも、実践の場でその力を発揮しているビジネスプレイヤーは至るところにいる。では、概念化できるスキルを持つ人たちは、どんなことができるのだろうか。解説していくことにしよう。 概

        AIに対する向き合い方・つき合い方

          イノベーションが励起する時の条件

          前稿では、日本で生まれたイノベーションの事例を挙げた。いずれもユニークだ。過去の常識を覆し、新たな時代の常識を持ち込んでいる。イノベーションは世に放たれたのち、励起した高エネルギー状態となって社会と人々に影響を与えているわけだが、これらのイノベーションの成り立ちを分析していくと、いくつかの共通した特徴が見いだせる。イノベーションが励起して、高いエネルギー状態を保ち続けるための条件、それを解説していこう。 強力なリーダーシップ イノベーションは、常に人間の営みから生じる。共

          イノベーションが励起する時の条件

          日本発のイノベーションを掘り起こす

          前回の寄稿で筆者は、漠然と使われているイノベーションの定義について、解説を行った。筆者が定義するイノベーションとは以下の通りだ。 ・社会に対し過去の価値観や常識を変える革新的な製品・サービス・技術・ビジネスモデル ・結果として、新しい市場が創出される、もしくは既存市場の構造が大きく変わること 今回、上記の定義に該当するイノベーション事例を挙げてみた。歴史を振り返ってみると、イノベーションの事例は豊富にあるが、体感できるよう誰もが知っている内容に絞り込んでいる。どのようなもの

          日本発のイノベーションを掘り起こす

          日本発のイノベーションを掘り起こす

          前回の寄稿で筆者は、漠然と使われているイノベーションの定義について、解説を行った。筆者が定義するイノベーションとは以下の通りだ。 ・社会に対し過去の価値観や常識を変える革新的な製品・サービス・技術・ビジネスモデル ・結果として、新しい市場が創出される、もしくは既存市場の構造が大きく変わること 今回、上記の定義に該当するイノベーション事例を挙げてみた。歴史を振り返ってみると、イノベーションの事例は豊富にあるが、体感できるよう誰もが知っている内容に絞り込んでいる。どのようなもの

          日本発のイノベーションを掘り起こす

          日本ではイノベーションは生まれない、これは本当なのか?

          GAFA(*1)やテスラの台頭により、世界市場における日本企業の低迷が叫ばれて久しい。その原因は日本でイノベーションが生まれないからだと、識者やメディアが語っている。確かに世界のトップを走る企業群の収益規模や時価総額を比較すると、日本企業の地位が落ちているのは確かだ。しかし、だからと言ってイノベーションが生まれないと結論づけるのは短絡的ではないだろうか。そもそもイノベーションは生まれないということ自体が、本当のことなのだろうか? イノベーションの定義 まず、イノベーション

          日本ではイノベーションは生まれない、これは本当なのか?

          意識が変わる 行動が変わる

          社員の意識と行動を変えたい。やる気をもって取り組んでもらいたい。モチベーションを高めたい。積極的にチャレンジしてほしい。 これらの想いは、組織の上に立つ中間管理職、役員、そして経営者が常日頃から考え、そして悩み続けていることだ。数人レベルの小さな組織であれば、個別対話によって、部下の社員たちの意識と行動を変えていけるかもしれない。しかし数十人、数百人、数千人規模の組織となると、対話だけでは不可能だ。社員一人一人、多種多様な価値観を持っているのだから。 自社のビジネスが成熟期を

          意識が変わる 行動が変わる

          改革プロジェクトを組み立てる時に最初に考えておくこと

          DX(デジタルトランスフォーメーション)という時流に乗って、改革プロジェクトを立ち上げる企業は数多くある。 事業の行き詰まり、旧態依然とした仕事のやり方、新事業が生まれてこない企業文化、停滞する生産性、スピード感のない意思決定プロセス、不公正な人事評価制度、等々。見直すべきテーマは様々だ。 改革プロジェクトは基本的に全社に影響するテーマとなるため、経営者や事業責任者自らが旗を振ることになる。その際、最初に頭の整理をしておくとよいことを紹介していこう。 改革とは、何かを変える

          改革プロジェクトを組み立てる時に最初に考えておくこと

          合理と不合理の狭間にこそ、経営の妙味がある

          企業経営の本質は、合理性の追求にある。 しかし、そこに介在するのは不完全な人間だ。不完全である人間同士が絡み合いながら、共同作業を行っていく。当然のように、理屈通りには進まず、様々な問題が生じる。 経営者は、常に合理と不合理の狭間の中で戦うことになる。 企業には合理性を追求するものが満ち溢れている 企業において、合理的な業務の代表格は会計だ。売上・利益・費用の管理に始まり、決算、税金支払いに至るまで、数字尽くめの内容だ。これは、日本の英知を集めた財務官僚により網の目を張り

          合理と不合理の狭間にこそ、経営の妙味がある

          日銀 低金利政策の罪と罰【2】

          前回の記事(日銀 低金利政策の罪と罰【1】)では、日本政府の膨大な借金、そして家計と企業で積み上がった過剰な金融資産の背景と実態について言及した。 今回は、日銀と密接に関わる民間銀行、そして民間銀行にとって得意先である企業について、それぞれ考察していこう。 問われる銀行の存在価値 市中では、銀行店舗の統合・閉鎖が続いている。従来から築いてきたビジネスモデルが崩壊しているからだ。その原因こそ低金利政策にある。 先に述べたように、家計と企業はふんだんに現金を持っている。銀行に

          日銀 低金利政策の罪と罰【2】

          日銀 低金利政策の罪と罰【1】

          日銀は、日本経済に対し、30年間劇薬を打ち続けた。その劇薬のお陰で、日本経済を死に至らしめるような事態を避けることができ、景気を下支えすることに繋がった。 しかし、効き目のある薬であればあるほど、その副作用は大きい。我々は、劇薬に慣れっこになってしまい、その中毒患者となっている状態だ。この状態から脱し正常化していくためには、長く困難な道のりが待っている。 日本が破綻危機に陥らない理由 日本政府が発行している国債は、2022年1000兆円を超える見込みである。 過去の歴代内

          日銀 低金利政策の罪と罰【1】

          行き過ぎたマーケティングは商品価値を落とす

          マーケティング全盛期の時代だ。 中小企業でも一個人でも、SNSを使えば無料で世界に発信できる。ネット広告は、安価で商品やサービスをアピールできる。ホームページは、テンプレートを使えば簡単に構築できコンテンツの更新も自らで行える。誰もがやる気になれば、マーケティングを実践できる時代である。 資金力のある大手企業は、その中で少しでも目立つ広告を作りたいから、著名なクリエイターや人気タレントを使って派手に演出する。 世の中は、煌びやかなデザインとインパクトのあるメッセージに満ち溢れ

          行き過ぎたマーケティングは商品価値を落とす

          営業社員が研修を嫌う理由と、その克服方法

          営業社員は研修が嫌いである。 研修への出席を促しても、 “重要なアポイントが入っている”とか“出張が入っている”とか、何かと理由をつけて出席したがらない。 人事部門のトレーニング担当にとっては、頭の痛い話である。 最終的に彼ら彼女らは、強制的に出席を命じられ、渋々参加することになる訳だが、そんなモチベーションの社員が参加したとて得られるものは知れている。 何故、営業社員は研修に参加したがらないのだろうか。そして、それを変えていくための方策はあるのだろうか。考察していこう。

          営業社員が研修を嫌う理由と、その克服方法

          新卒3年3割退職の謎に迫る

          大卒の新入社員のうち3割が、3年以内に辞める。これは此処25年間変わっていない数値だ。 この四半世紀、景気は低迷が続いているが、将来の可能性と体力の備わった学卒に対する採用ニーズは常に高い。どの企業も、雇用条件と労働環境を少しでも良くしていこうと努力を重ねているはずだ。それにも関わらず、何故この数値は変わらないのか。 筆者は、根本的な部分が変わっていないからだと見ている。その考察をしていこう。 変わらない要因①:新卒一括採用の功罪 学生の就職の仕組みは、大学3年の終わり

          新卒3年3割退職の謎に迫る