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同じ土俵で勝負すること

 自分には関係ないけど、理由もなく嬉しいことがある。前職で所属していた部署が分社化して6年で昨日上場した。上場の意味はわかるけど、上場の目的はしらない。そして、どう嬉しいのかはわからない。でも、彼らが会社を作った時点で上場を目指し、目標を達成したことに感激している。

 上場した会社の取締役の1人は、前職の年下の女性上司。彼女はとてつもない勉強家で、事業リーダーをしながら航空管制官の資格に合格し、ビジネススクールのようなプログラムに多々参加していた。財務や人事など専門性の高い分野を学んでいたのは、会社を上場に導くためだったのかと今ならわかる。

 上場したことを報告する彼女のFacebook投稿を見て、彼女らしいと思った。「幾多もの試練が、顧客に提供できること、市場に貢献できること、私たちはなにかを考えさせてくれた。」と書いてある。いつでも問題があるとき、それは彼らのために用意された問いなのだろう。問題を彼らの存在の成長のために真摯に向き合い続けるタフさが求められる。

 元上司から影響されたことは多い。いつも失敗して無能さを露呈していても、一言も彼女は怒らなかった。「私もミスしたかもしれないから」と、私の立場になって、責任をすべて負ってくれた。おかげで最大限、のびのび働かせてもらった。彼女のスタッフとの接し方から、多くのことを学んだ。

 元上司のもとで働いていたころは、社会も市場も疑いの目で見て、批判ばかりしていた。その仕組みを学ぶことも、働きかけることもなく、外縁ばかりうろついていた。そんなとき、彼女たちはゲームの仕組みを学び、フィールドで戦うための準備をしていた。同じ土俵に立ち、そして勝つことを目指した。長いものに巻かれまいとして敬遠していたが、今はそれが単なる逃げだったとわかる。

 小さいが企業を経営する立場にいる。事業を通して地域に、社会に役に立つことしかしていない。でも、企業であることに意味をあまり見出していない。あくまで、役に立つための受け皿、箱ぐらいに企業を思っている。目指すべき北極星、指針がなかった。でも、元上司の上場を聞いて、ふつふつと欲が湧いてくる。

 深い理由はまだわからないけど、もっといい企業になりたい。前職の卒業生として名前に恥じない組織を作りたい。時代を切り開いていくような、社会に常に問いかけるような組織を創る。それこそ、元上司への恩返し。

 改めて、上場おめでとうございます。資本主義経済のレバレッジを大胆に使って、激動の世界の波へ突っ込んでいく精神を尊敬しています。社会の仕組みにいつも働きかけてきたみなさまの次なる船出を応援しています。

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