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相手が求めるものVS自分が求めるもの。ファイ!

    結局のところ、何を求めているのか?を知り、それを提供することではじめてこちらの求めているものを提供してもらえるらしい。らしいと伝聞調なのは、まだ確信は持てていないものの、その可能性が高いと推測されるからだ。人はそれをギブアンドテイクと呼ぶ。

   相手が求めることを満たして始めて自分も満たしてもらえる。この真理は割と叫ばれていることなので至極当たり前と思う向きも多いだろう。中でも恋愛におけるそれは顕著と言っていい。まず相手の求めるものを理解する。そして提供する。その後、こちらの求めるもの…この順番だ。これがセオリィとなっている。

   何が言いたいのか?つまり、男女間におけるギブアンドテイクはまず相手が何を求めていて、自分はその求めにどの程度応えられるか?というリサーチが必要になる。何を求めているか?という疑問だが、真正面から「欲しいものは何?」と聞いてもなかなか答えて貰えない。つまりそれを聞くだけの(聞いて答えてもらえるだけの)信頼関係を先ず構築せねば話は始まらない。「どうやって信頼関係を築くか?」については男性側なら、清潔感を保つ、嘘をつかない、下心を出さない、ある程度隙を見せる、余裕を見せると言ったところだし、女性側なら、言いたいことを分かりやすく伝える、無理に相手に合わせたりしない、体調不良は素直に伝える、夜に頻繁に出歩かない、知らない人について行かない等の(ある意味古典的な)安全対策を設定している、くらいすれば十分だろう(例えそれがポーズだとしても)。

    それら一定の努力により「自分(わたし)は危険な存在ではないよ」とPRする。一昔前ならこれで十分すぎるほとだったわけだが、いまはそこに「どんな推しを持つか」とか「自分の許せる界隈(クラスター)かどうか」、「SNSのマナーレベルの許容範囲」、「過去(今も含む)に付き合ってきた人たちを許せるかどうか」も含まれる。そうなればもうかなり難しいと言っていい。それらは「無理」だからだ。

   「相手の求めるものを差し出せばいい」と書いた僕だが、それはもはや無理ゲーと言わざるを得ない。「相手の求めるもの」は、求める最低レベルのラインでも無ければ、すべて必須の絶対条件である。「ここをもらえるんだからこっちくらいは我慢しないと」という妥協が存在しない。「これもあれも、あれもないとだめ。自分(わたし)の求めるものを聞いたのはあなたでしょ?完璧に用意してね」という世界だからである。そんな完璧な存在など、アニメやゲームの世界にしか居ないからだ(そう思わせるホストなどのプロのプレイヤーは存在するが)。

    別に夜の世界にいる人は悪と言っている訳では無い。そういった人達の中にステレオタイプにあてはまらない人もいるだろう。だがそれはごく少数であり、「居ない」と言っていいくらいには誤差だ。またそういう存在が居たとして、それでもなお、誰とも結ばれていない現在が続いているのであれば、残念ながらそれは「なんらかの問題を抱えている」と判断する方が自然である。つまり、その「理想」すら、プロのプレイヤーによる幻(まぼろし)だ。

   これだけSNSが当たり前になり、情報拡散速度が加速度的に高まっている社会では、常識はそれらが醸成される前に過ぎ去る一時のブームになっている。それらを追いかけることに疲れ、それぞれの殻(または界隈またはクラスタ)に小さく収まるのが、現代における若い人たちを正しく表した姿だ。それを「時代の矜持」などともてはやすメディアはもう居ない。ただ若い人らは「わからないもの」として、異物感だけが極まっていき、誰も彼も繋がっていながらも「誰とも分かり合えない世界線」を生きるのが現代人と言って差し支えない。

  クラスタごとにアカウントを分けて付き合う人も分けているような世界線で、クラスタに飽きたり、特定のクラスタからのドロップアウトを繰り返しているのが今の若い人たちだとすると、それらを包括して表現することなどできない。分かりやすくα世代などと言いたくなるのはいつの時代も高齢者たちだ。彼ら彼女らは自分のことをそう呼ばないだろう。

  「何が真実で」「何が大切か」などという考え方はもはや存在しない。それらは「常識」「時代」という共通意識がまだあった時代の妄想だ。今はそのどちらも存在しない。わかりやすい塊(かたまり)などなく、あるのは無数に多種多様化した価値観の有象無象だ。それらはそれぞれにとんがっていて、誰にも理解されずにただもがき苦しんでいるようにも見える。それはその世代に限った話ではないのかもしれないけど…。

    そろそろ結論。つまり、つまりだ。相手の求めるものを差し出すと自分が目減りする世界では、自分VS相手という力比べにしかならず、共生や、恋愛、と言った協力プレイは望めない。あくまでプレイヤーVSプレイヤーの、PvPの世界が横たわっている。その世界線では誰かと仲良くなることは、もはや、裏切りを覚悟しつつ、その最後の瞬間までぎりぎり仲間ごっこをするだけのインスタントな関係でしかないし、ゆってしまえば捨て駒でしかない。そんな世界のギブアンドテイクはもはや幻想だ。ギバーにならば骨の髄まで吸い取られ、テイカーにならざるを得ない弱肉強食こそ、いまの世界の共通意識であったりするのだから、そりゃもう疲れるだろう。疲れながらも魂の修行を続けられるほど、今の人たちは忍耐強くないし、暇では無い。魂の修行をするくらいなら、この世で気楽に楽しく暮らして行ければそれで良い。それすら、贅沢品なんだから。

むじかでした。


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