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「読むこと」は教養のエチュードvol.4

2020年を迎え、僕からプレゼント。全ての作品を紹介させていただきます。結果発表はその後。みなさんが送ってくれた僕宛の手紙にお返事を。「わたし」と「あなた」がつながる。それはコンテスト開催の応募要項に書いたことの証明。

このコンテストにおいて、僕は「最良の書き手」でありながら、「最良の読み手」であることに努めます。

それでは、『「読むこと」は教養のエチュード』のvol.4です。



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22.自分の文章がだいきらい。

ひさとみなつみさんの作品。この内容って、文章を書く人だったら多くの人が経験したことがあると思うんです。でも、簡単に言葉にはできない。特に、文章を書くことが仕事の人はそこに責任やプライドもある。それを赤裸々に言葉にするなつみさん。

人って常に受け手優位だと思うんです。アウトプットを磨けば磨くほど、目が肥えていく。表現を積み重ねていく中で、たくさんのものを見たり、その中の試行錯誤があったり、気付きがあったり。ようやく形になった時には、既につくりはじめた頃よりも目が肥えていて。つまり、理想が当初よりも明確で、美しいものへと進化している。

だから、表現を続けていても一生満足することはないと思うのですが、それはれっきとした成長の証だと思うんですね。現段階の自己ベストに対して満足してくれる人がいることも事実。過去の自己ベストが好きな人がいてくれることも事実。でも、僕はずっと渇いていたい。もっともっと理想に近づきたい。

なつみさんの文章に自分を重ねて読んでいました。隠したくなるような心の言葉をさらけ出してくれたなつみさんに敬意を表すると同時に、これからの彼女の文章がより楽しみになりました。



23.#世界はデザインでできている を読んで(自分の人生はデザインできるのではと思った話) 

あきらとさんの作品。僕が構成を担当した秋山具義さんの著書『世界はデザインでできている』の感想文届けてくれました。本とご自身の生活が結びついて、あきらとさんの発見、体験として言葉が紡がれている。本でも映画でも評論家のようにただ作品を評価する人が多い中、あきらとさんの言葉は、あきらとさんの日々の営みに生きていて。とても素敵でした。

あきらとさんのこの感想文を読んで、この本だけに関わらず、「読書」という行為は尊いものだということを改めて感じました。本を読むことで自分自身が更新されていく。目まぐるしく通り過ぎていく日々を見つめ直すきっかけとなる。

ていねいに生きること。「読む」という創造性。気付かせてくれたあきらとさんに感謝します。



24.#呑みながら書きました #教養のエチュード賞 【酒でやらかす三国志】

100少々あんどぅ〜さんの作品。カクテルをつくりながら(そして、呑みながら)三国志を語る。それもお酒に関する物語。僕は、文筆家でもありながら、バーテンダーでもあるので、まさに僕好みの作品でした。

「学生時代にこんな世界史の先生がいたら、絶対に歴史が好きだったろうな」と思わせてくれます。このコンテンツどんどん作り続けてほしいです。わかりやすくて、おもしろい。そして、ストーリー性がある。一つのテーマから芋づる式にどんどん物語が展開していって、現在の僕たちの意識にも重なっていく。理想的な授業です。

立川談志さんも大好きですし、あらゆる引用に魔法がかかったみたいに楽しくなりました。



25.感情に枕詞はいらない 

ikemoさんの作品。自分が傷つかないための、自分を守るための「枕詞」という保険。それは言葉の効力を失くす。本来の「枕詞」は語調を整えたり、情緒を添えるものだけれど、便利なあまりそれを逃げ場として使うことが多くなった。

言葉に力がある人は嘘をつかない。それは他人にも、自分にも。嘘や責任を持たない言葉を吐き続けると、たとえいい言葉を言っていても相手の心に届かない。

本当の意味での「言葉の力」を考えるきっかけとなりました。




26.巡るめぐり合わせ 

tetsu◇映像作家さんの作品。一つの小説をブロックごとに分け、再編集していく。映像的なアプローチが実におもしろい。僕も日々、仕事で記事を書く時に編集をするわけだけど、同じ言葉でも並べる位置によって輝き方、響き方が変わってくる。だから、編集によって言葉の意味や内容が大きく変わる。ある意味、題材(内容)の良し悪しは編集が握っていると言っても過言ではない。僕自身そのことをよく知っている。

もちろんこの作品はおもしろくて、読んでいるだけで多くの書き手に刺激を与えるのだけど。tetsuさんの魅力は、もう一つレイヤーを上げたところにある。

「このコンテストでいかに印象付けるか」というところだ。意外と多くの人はそのことを考えていない。100を超える応募作品の中で、いかに記憶に残るか(質はどうあれ)。もちろん質も高い。でも、彼の一番の目的は読み手の心に刺さること。メタ的なデザイン思考だ。だからおもしろい。tetsuさんの思惑も含めて刺激的だ。そして、それをしっかりエンターテイメントにしてくれる。



27.【最高傑作】生殺与奪の権を人事課だけに握らせるな!同期のサクラが訴えるNO忖度 

喜多ばぐじさんの作品。ドラマや漫画を題材に、社会や組織の在り方について論を展開させる。普遍的な人の心理や、ビジネス的なテクニカルな知識を織り交ぜながら、風通しのよいコミュニティに必要な要素を発見していく。

この工程がまさに教養のエチュード。調べながら、感じながら、書きながら、磨きながら、発見していく。その蓄積が自分を成長させる。

タイトルに「最高傑作」とありますが、僕はばぐじさんは今後もっともっとすばらしい作品を書いていくと思っています。潜在的な能力へも期待しています。



28.好きと思いこんで馴染む

hrcnさんの作品。「好き」にまつわるお話。「好き」を棚卸して気付くことがある。本当に「好き」ということはどういうことなのだろう。

それは、「自分の心にいかに正直にいられるか」ということに繋がる。「好き」を好きな自分が好き。それは自己肯定感に繋がる。「この人が好きな自分」が好き。「この文章が好きな自分」が好き。それを言葉にしていくだけで、ハッピーが蓄積される。

「好き」のかけらを集めていく。そんな意志表明。



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vol.5へと続く


▼「読むこと」は教養のエチュードvol.3 ▼


1月22日、大阪のイベントで登壇します。僕から3名様にチケットをプレゼントします。どうぞご応募下さい。みなさんと会えることを楽しみにしています。


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