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「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ 2019」:カワセタケヒロさんと関口裕さんにインタビュー

シリーズ「CSS Nite Shift13 補遺」#2

このnote「補遺」はCSS Nite Shift13連動企画として、「フォント」セッション(*1)では時間の兼ね合いで割愛したものの、ぜひ紹介したい2019年のタイポグラフィの題材を掘り下げ、フォローアップしていきます。

第2回は、昨年2019年6月9日に渋谷で開催されたイベント「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ」(OSTD)の共催者である、カワセタケヒロさんと関口裕さんのお二人に話を伺いました。

「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ」について簡単に説明すると、ウェブだけでなくその名の通りサイネージ、HMDといった画面——オンスクリーン媒体全般のタイポグラフィを扱うセミナーイベントです。6人の登壇者によるセッションと、関口裕さんも加わった全員のパネルディスカッションで構成。参加者のスキルや属性にかかわらず、これからのタイポグラフィについて、ひいては「伝えること」について、参加者と一緒に考える場となり、大きな関心を集めました。次の3つの特色がありました。

• 登壇者が幅広く、デザイナー、エンジニア、編集者、という多様な現場からの視点
• 具体的なTipsから抽象度の高い概念の話題まで多角的なセッション
• ウェブやデジタルといった分類ではなく「オンスクリーン」という言葉で包括

お二人以外の登壇者として、有馬トモユキ、後藤健人、土屋綾子、長谷川弘佳、桝田草一の5名(*2)がセッションを担当されました。

本インタビューではイベント内容の詳細を割愛しますが、概要は末尾の「基本情報」の項を、また内容についてもっと知りたいかたは各メディアのレポート(*3)をご覧ください。

インタビュー

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—— イベントは大人気で、開催が告知されてすぐに満席になりました。自分も当初の130席から260席への増席でやっと参加できました。このような反響は企画された時から予想していたでしょうか。また大きな関心を集めた理由はどう考えてらっしゃるでしょうか。

カワセ「企画初期に関口さんから提示された登壇者候補の方々のジャンルがとても良いバランスだったので、ある程度需要はあると思っていました。そもそもオンスクリーンの分野は技術仕様がデザイナーの平均的なスキルを追い越している領域だと思ってたので、聞きたい人はきっと多いだろうなと。ただ、最初は『100~150席埋まったらいいね』と話していて、さすがに260席を超えるとは思っていませんでした。」

関口「そうですねえ…私はイベントの主催は実質初めてでしたから、数字の感覚が浅いところがありましたね。席数の設定ではご迷惑をお掛けしました(笑)。企画と登壇者のアサインには自信がありましたが、それが届けたい方々へきちんと伝わるか、伝えられるかは内心ビクビクしていました。笑。関心を頂けた理由としてひとつ言えるのは、シンプルに “それまであまりなかったタイプの試みだった” という点があると思っています。今だから言えますが、かなりパンクスな精神状態でやっていましたし。これ言ってていいのかな…。」

カワセ「そうでしたね(笑)。コンセプトは思い切れていたし、僕はこういうイベントの類はいくらか経験があったので、関口さんには言ってませんでしたけど200席は埋まると思ってました。ただ、ここまで席数の自由が利いたのは本当にサイバーエージェントさんのおかげでした。新築だったアベマタワーズのセミナールームをご提供頂いたんですが、応募状況に合わせて柔軟に対応してくださったので、席数の設定がリスクにならずに済みました」

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―― 「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ」というイベント名を知って、最初に連想したのは2010年のJAGDA主催「言葉のデザイン2010 オンスクリーン・タイポグラフィを考える」という原研哉さんを中心とした8回連続の研究会(*4)でした。企画された際にこの研究会は念頭にあったでしょうか。また2010年当時と2019年の状況の変化についても教えてください。

カワセ「僕はありました。ただ、それは言葉選びの段階の話で、企画時点では意識してなかったです。タイトルの検討でも、一番意識したのは『オンスクリーン』の部分ではなく『タイポグラフィ・デイ』の方です。ヘルムート・シュミットさんの著書『タイポグラフィ・トゥデイ』(*5)へのリスペクトが強くて、そのせいでLP(ランディングページ)のドメインが .today になってます(笑)。

オンスクリーンという言葉は、“タイポグラフィ” の接頭語を検討していて一番包括的でニュートラルな言葉だったのと、原さんの研究会で前例として世に出ていたので採用しました。
『言葉のデザイン2010』開催当時は、ウェブページのデザインで “キレイに” 文字を表示したりタイポグラフィを意識するためには、スタティックなテキストでないと極端にハードルが上がってしまう時代で、格好良い見出しはビットマップ画像で実装するのが定番でしたし、本文組は “ある程度崩れるのは仕方ないもの” と(僕が勤めていた会社では)考えられていて、ヘルムート・シュミットさんのタイポグラフィに憧れていた僕にとっては少し窮屈な世界でした。

そんなときに、日本のグラフィックデザイン業界を牽引していた原さんが『言葉のデザイン2010』と銘打った研究会を開いてくださって、僕としては『だよね?やっていいんだよね?』と嬉しくなったのを覚えています。会の内容自体は、勉強になる部分も多々あったんですが、個人的な異論もあり、色々な意味で考えるきっかけになっていたと思います。

それで、翌年にフリーランスとして独立した際は、自分のサイトを全部縦組みにしたり、アンチエイリアスのかかった明朝体で表示させたくて世の中のセオリーを無視したり、僕なりに色々と工夫してました。言語野を通過しないタイポグラフィ(*6)は実はタイポグラフィック・アートであってタイポグラフィではないんじゃないかとか、当時も結構ツッパった考えを持ってたんですよね(笑)。

2019年現在は、ハックじみた工夫をしなくてもアンチエイリアスのかかった明朝体や縦組みは実装できるようになりましたし、何ならフォントもある程度自由に選べるようになりました。もちろんまだ制限は色々ありますけど、やっとセマンティック・ウェブの考え方を蔑ろにせずに誠実にデザインできるようになってきたと思います。」

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関口「私は2010年当時、出版業界で雑誌制作・エディトリアルデザインをやっていました。ですからもちろん記憶にはあるものの、いったんは脳の奥の方にしまわれていましたね。どちらかというと、現在私の所属である “オンスクリーン制作室(*7)” という部署名で馴染みがあり、散々悩んだ挙げ句 “ほかにない” という消去法的な理由でこの語を使ったというのが実情です。ですからそういった意味では、カワセさんと違って私のほうからは、先の研究会は一切意識していませんでした。イベント名を決める段になって軽くリサーチをかけますが、そのときに掘り起こされてやっと思い出したのが正直なところです。ああ、あったなあと。

“オンスクリーン” という言葉については、JDNさんのインタビュー(*8)でも話題になりましたね。今回の切り口と、2010年当時のその試みとは、時勢というよりは私たち主催側のスタンスが明確に違っているかなと思います。」

―― そうだったのですね。お伺いしてよかったです。最初にこのイベント名を聞いて強く印象に残り、ぜひ参加したいと思ったので、いいネーミングと思ってました。JDNさんの記事では、登壇者の長谷川弘佳さんの言葉「オンスクリーンだと、“オン”がついているから、それをみているひとや場所も含めて、その周りにあることについて言っているような気がする」に共感を覚えました。

ところで参加者はどんなかたが多かったでしょうか。予想外の層の参加もありましたか。

関口「当初のねらいとして、いわゆるウェブサービス系事業会社の若手デザイナー。つまり雑なプロファイルですが、実務上そこまでタイポグラフィ的なものに強いこだわりやキャリアのない方たちに一定数来てもらいたい、という思いがありました。そこで考えることにこそ価値があると。そういった意味では、一定の成果は出せました。」

カワセ「参加者層は、個人的には概ね予想通りでしたが、デザイナーでもエンジニアでもライターでも編集者でもない “経営者” という方が数人いらして、それは意外でした。」

関口「そうですね。そういったそれまで関わりのなかったであろう方にもお越しいただいて。エンジニアもけっこう来てくれたし、また業種問わず一家言ある方たちも参加くださって、幅のある構成にできたのは純粋にうれしい誤算だったかもしれません。」

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―― 開催時は反響が大きく、Twitterやブログで感想やレポートの投稿が賑わっていました(*9)。成果や手応えとして印象に残ったものを教えてください。また、1年経って振り返り、イベントで蒔かれた種子の発芽を感じられることはあるでしょうか。

カワセ「ウェブのグラフィックデザインに関するイベントは『明日から使える』みたいな小技を紹介するものが多い印象だったので、もっと幹の部分の話とか、“エモ” みたいなものを届けて『正解は無いから好きなだけ悩もう!手がかりはたくさんあるから共有するね!』みたいなイベントにしたいという話を当初からしていたので、正直もう少し否定的な反応の割合は多いと思っていました。フタを開けてみたら肯定的な反応と否定的な反応は9:1くらいだったので、個人的には健全で理想的な割合でした。否定的な意見が出てこないイベントってキモいと思ってるので。

開催後に、ウェブやアプリにおけるタイポグラフィに言及される方が増えた体感はあるんですが、身勝手なんですけど、あのイベントでは自分に対してこそよく種子を蒔けたと思っていて。タイポグラフィでもレイアウトでも色彩設計でも、そのすべてが企画や要求といった事業の根幹から連綿と続く一筆書きの “デザイン” の一部なんだと強く再確認できたことが、一番発芽を感じています(笑)」

関口「イベントの企画運営として改善・反省すべき点は多々ありました。そういった部分に関しては、今後の活動の楔として真摯に受け止めています。それとは別に、けっこうあとあとになっても人とお会いした際に話題として出してくださったり、意外と若い方が何でもなく印象に残っていると言ってくださったり、具体的に何かが起こるわけでもないんですが、うっすらいろんな方の記憶に残っているような感触を受けるので、その状態が非常にありがたいですね。カワセさんの発言のとおり、まさしく考えるきっかけにしていただけたのかな?と。ポジティブ過ぎるかもしれませんが…。」

カワセ「そういえば結構言われますね。知識や技術を持ち帰って頂いたというより、姿勢というか熱みたいなものを受け取ってくださった方が多い気がします。Twitterの反応でも、Tipsの話より心構え的な話の方が盛り上がっていた印象でした。桝田さんの『超越!』とか。」

関口「たしかに。それって固く言うと倫理とか哲学とか思想とかなんですけど、そう構えなくても『みんな何かしら大切にしていることとか、それはやりたくないと思うこととかあるよね』みたいな領域ってあまり話題にならないんですが極めて重要かなあ~と思ったりしますね。

あと完全に余談として、これは何かを発信したりするときにも言えることなんですが、なにかアクションすることはしんどいし責任も伴いつつも、正直『やる側がいちばんオイシイ』っていつも思います(笑)。情報は出るところに集まるってよく言ったものだなあと。OSTD(オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ)をきっかけにした出会いもたくさんありましたし、ありがたい限りです。」

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―― 企業や団体の主催ではなく、お二人の個人プロジェクトと伺いました。そうされた経緯を教えてください。お二人の分担はどのようなものだったでしょうか。

カワセ「もともとはCSS Niteの鷹野さんから、CSS Niteの一回としてウェブにおけるタイポグラフィを扱いたいから企画に参加してほしいとお誘い頂いたのが発端でした(*10)。ところが、企画の検討を進めていくうちに、表明したいことや世に届けたいことのボリュームが1日では収まらなくなってきてしまったので、鷹野さんにワガママ言って、CSS Niteらしさの外になりそうな範囲を巻き取らせて頂いて、別イベントとして開催することにしたんです。

主軸は当初から関口さんで、僕は引っ張ってもらう場面が多かったです(笑)。登壇者の方々も実は全員関口さんからオファーしてくださったので、内容の調整は任せっきりにならざるを得なくて。」

関口「経緯はカワセさんのとおりです。そして個人での共催としたのは、“イベント独立性の担保/最大効率のための最小構成/責任のとりやすさ” が理由です。特に今回は、一見すると抽象的で曖昧なテーマでしたし、メッセージの純度を保つためにメンバーも最小限、そしてなによりタイポグラフィという我々デザイナーにとっては正直なところ語るのに勇気のいる領域ということもあり、私個人が名前出しで責任を取れるようにしたいという意図がありました。『間違ってたら、僕が刺されればいい』と(笑)。LPの長文(*11)に記名したのも、それが理由です。

褒めあってもしょうがないですが、カワセさんはキャリア的にも僕と違って “しっかりしている” ので(笑)、関口はフワフワと企画&しつこい熱量担当、カワセさんはゴリゴリの組み立てと冷静な推進担当みたいなおおまかな役割分担はありましたね。僕がフワついてるときは的確に線を引いてくれていたので、けっこういいコラボレーションだなと思いながら進めていました。僕だけ? (笑)」

カワセ「そう言ってもらえるとホッとします(笑)。準備期間中に僕の仕事が詰まってしまったことが2回くらいあって、結構本気のトーンで関口さんに心配させちゃってたので…。そのくせLPのタイポグラフィには口出ししたりして、よくキレられなかったなと(笑)。」

関口「そんな怖くないじゃん!(笑)。けっこうそのあたり、それそれの領域で言うべきことはハッキリ言う、みたいなところがカワセさんだけでなく、エンジニアの桝田さんやタイプフェイスを担当してくれた安藤さん(*12)、ほかスタッフのみなさんや登壇者のみんなも一貫していたので、逆に健康的で非常にやりやすかったですね。実際、会場の実地確認以外は一度もリアルで会うこともなく、音声もビデオ会議もなく当日まで漕ぎ着けましたし。デジタルとかでなく、伝えることへのリテラシーの高さを感じながら進めていました。」

カワセ「そうですね、すごくやりやすかったです。役割分担も、話し合って明確に分けたりはしていなかったんですけど、LPのデザインやライティングはかなり早い段階で関口さんの中にイメージがあったし、僕も勝手にタイムテーブル書き始めたりして、お互い違和感がなければ任せちゃう感じでした。

JDNさんの記事でも触れていただいてますけど、LPは僕が本番当日に担当したイントロダクションより更に手前で人の目に触れる、関口さんのセッション枠みたいな扱いだったので、内面的には僕は意見してなくて、気がついたらコンセプティブなLPが出来あがってました(笑)。内容も読み進めるごとにうなずいちゃう文章だったので、変に口出ししてノイズを混ぜるようなことをしなくて良かったなと。」

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―― 第二弾を望む声もあります。構想などがあれば教えてください。

カワセ「もしも次回やるならこれとこれとこの話かな~、みたいな漠然としたイメージはあるんですが、今の時点で言いたいことはおおよそ言えたつもりでいるのと、準備が結構大変だったので、状況が整ったらもしかしたら…くらいに思ってます。僕は近頃医療系の仕事が非常に増えていて、僕自身も出自がそっちなので、医療や福祉におけるオンスクリーン・タイポグラフィの話は色々できそうなんですが、ちょっとTipsに寄っちゃうんですよね。それは趣旨とは違うなと。ただ、僕の中で絶対にやらないと決め切れているわけでもないので、どなたか企画と運営のマンパワーを持ち込んでくださる奇特な方がいらっしゃったら、声かけていただけたらと。」

関口「あ、そうなんだ。(笑)」

カワセ「え、だめ?(笑)」

関口「僕ね、第二弾やらないって公言してるのよ。でも意思を継いでくださる方とか、換骨奪胎してなにかアクションしてくださる方がいるなら大歓迎。もとの趣旨からして、興行的な、安直なルーティンには絶対にしないぞ!と勝手に思ってますが…こういうところが面倒なのかな私は…笑。」

カワセ「関口さんそれ最初から言ってましたもんね。その辺、僕は流れに身を任せちゃうタイプなので、興行のネタとかシリーズ物の商品っぽい何かにするつもりがないのは多分一緒ですけど、正直あんまり深く考えてないです。」

関口「なるほど、それは同感。変に決め込んだり閉じたりする意図はないんです。」

カワセ 「ですよね。そんな感じだろうなあと。っていうか第二弾やるやらの話ってほぼしてないですね(笑)。関口さんと僕とで考え方の統一とかしてないんです。なんとなく、OSTD#2 みたいなのを僕らがやるかどうかはどうでもよくて、別の誰かが別の名前で別の考え方をアップしてくださると嬉しいなと思っています。」

関口「あとあと振り返ったとき、『OSTD』というより、これをきっかけにタイポグラフィ的なるものがいろんな立場の方によって、いろんな尺度で語られて、実践が加速されるようになれば、これ以上のことはないなと僭越ながら考えています。伝えることそのものにどう向き合うか。その営みが、一番尊いと私は思っていますから。」

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―― なんと、第二弾はたぶん無さそう、と意外なお答えにもかかわらず前向きな気持ちが伝わってきてインタビューは締めくくられました。濃密なお話をありがとうございました!

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タイポグラフィの関連の大きなイベントが続いた2019年のなかでも、とくに「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ 2019」は、このテーマがこのタイミングで開催されたことに意味を感じていました。Shift13「フォント」セッションでもぜひ取り上げたかったものの、自分が把握しきれてない部分もあり概要として伝えることが難しく、今回のインタビューで共催者の二人にお話を伺い文字にできたことは幸いです。開催時の反響が大きく情報を集約したい気持ちもあり、アクセスしやすいように脚注と関連項目へのリンクを充実させました。なぜ大きな反響があったのか。登壇者の顔ぶれの多様さや、ランディングページの真摯なテキストから、「それまであまりなかったタイプの試み」である気配が察知されていたのではないでしょうか。インタビューで背景を伺って、本質である「伝えることそのものにどう向き合うか」を再認識できた良い機会になりました。

プロフィール

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カワセ タケヒロ(Takehiro Kawase)
コンセプター/デザイナー
https://polaar.jp/  
浅草橋のデザインスタジオ POLAAR代表。信州大学教育学部 FabLab Nagano 外部アドバイザー。CI計画、グラフィック/UIデザイン、サービス計画のプロジェクトマネジメント、医療分野にまつわるデザインとディレクションなどを中心に活動中。たてよこWebアワード 審査員 兼 アートディレクター(2015-2017)。2015年・2018年グッドデザイン賞受賞。 

関口 裕(Yutaka Sekiguchi)
クリエイティブディレクター/デザイナー
http://www.hanarenoheya.com   
1983年生まれ。2017年日本デザインセンター入社。静岡文化芸術大学でプロダクトデザインを修め、エディトリアルデザイン・情報デザインを扱うデザイン会社コンセントに就職。雑誌を中心に紙媒体のデザインに携わった後、大・中規模のコーポレートサイトやブランドサイトの制作を軸としたアートディレクションに従事。近年はクリエイティブディレクターとしてプロジェクトそのもののデザインを行う。


基本情報

●イベント概要 
『オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ』
On-Screen Typography Day 2019
- 日時:2019年6月9日(日)11時~18時(開場 10時半~)
- 会場:渋谷 Abema Towers 10階
- 参加費:参加費 3,000円 
- 定員:130名を予定→260名に増枠
- 懇親会:あり ※参加無料  

●共催
カワセ タケヒロ
関口裕 

 ●タイムテーブル 
11:00 オープニング
11:15 00「〝タイポグラフィ〟を怖がらないために」introduction
――カワセタケヒロ
11:50 01「美しいものを作るために“我々は何ができる”か」
――長谷川弘佳
12:30 ……昼休憩……
13:30 02「バーティカル・グリッドでもっと深まるWebタイポグラフィ」
――後藤健人
14:15 03「オンスクリーンにおけるベアボーンタイポグラフィ」
――桝田草一
14:55 ……小休憩……
15:10 04「コンテキストをピクニックしよう」
――土屋綾子
15:55 05「そうして言葉は飛んでいく」
――有馬トモユキ
16:50 パネルディスカッション
「オンスクリーン・タイポグラフィの今とこれから」+質疑応答
18:15 クロージング ~ 懇親会 

●登壇者
有馬トモユキ
後藤健人
土屋綾子
長谷川弘佳
桝田草一
 +
カワセタケヒロ
関口裕


脚注

(脚注内は敬称略)

*1 CSS Nite
CSS Nite(シーエスエス・ナイト)は、ウェブ制作者のためのセミナーイベント。「Shift」シリーズは毎年年末に開催、その年のウェブ制作シーンを振り返るもので、カテゴリーは「マークアップ」「アクセシビリティ」「ツールと制作環境」「デザイントレンド」「フォント」などを扱う。

「Shift13」は2019年12月21日(土)に開催され、300人以上が参加した。「フォント」セッションは「おさえておきたい文字まわりのトレンド 2019」として、2019年にリリースされた新書体、Webフォント導入事例など、フォント/文字にまつわるトレンドを紹介。プレゼンタは「フォントおじさん」こと関口浩之と、主催者でもある鷹野雅弘のコンビ。

「CSS Niteについて」
http://cssnite.jp/about/
「CSS Nite Shift13『ウェブデザイン行く時代来る時代』」https://cssnite.jp/lp/shift13/

*2 登壇者として、有馬トモユキ、後藤健人、土屋綾子、長谷川弘佳、桝田草一の5名
登壇者のプロフィールはOSTDのランディングページを参照。
https://ost.today/#Program

*3 各メディアのレポート 
例えば下記のCreatorZineのレポートはコンパクトでわかりやすくまとめられた記事。その他のレポートは後述の「関連項目へのリンク」参照。

「[レポート]デザイナー、編集者、マークアップエンジニアらが考える“タイポグラフィ”とは|企業で働くクリエイター向けウェブマガジン「CreatorZine(クリエイタージン)」」
2019/07/31
https://creatorzine.jp/article/detail/115 

*4 2010年のJAGDA主催『言葉のデザイン2010 オンスクリーン・タイポグラフィを考える』という原研哉さんを中心とした8回連続の研究会
2010年5月28日から2011年6月1日まで8回連続で東京ミッドタウンで開催。原研哉と永原康史の両氏が毎回さまざまな分野の専門家を招き、オンスクリーンでのタイポグラフィを考える。「web環境における日本のタイポグラフィの品質はなぜよくないのか」という原研哉のつぶやきに永原康史が反応し、それを機に湧きおこったオンスクリーンにおけるタイポグラフィへの興味と議論。この2名が発起人となって立ち上げた。講演者:鳥海修、宮崎光弘、高橋源一郎、松本弦人、小泉均、中村勇吾、田中良治、山本太郎、冨田信雄(モリサワ)、他

「『言葉のデザイン 2010』レポート(8)-総括/文字とデザインの未来 (3) 言葉のデザイン2010-総括 | マイナビニュース」※末尾に過去レポートの目次有り
news.mynavi.jp/article/20110803-kotobanodesign8 

公式サイト[webarchive]
www.kotobanodesign.com
togetter
togetter.com/search?q=言葉のデザイン2010

*5 ヘルムート・シュミットさんの著書『タイポグラフィ・トゥデイ』 
ヘルムート・シュミット(Helmut Schmid、1942年-2018年)はオーストリア生まれのタイポグラファー、グラフィックデザイナー。ドイツで植字工の訓練を受けた後、スイスのバーゼル工芸専門学校でエミール・ルーダーのもとタイポグラフィを学ぶ。日本では大塚製薬「ポカリスエット」「エネルゲン」、資生堂「ELIXIR」、化粧品「イプサ」などのロゴやパッケージのデザインを手掛けたことで有名。商業的デザインとは別に「デザインは姿勢である(Design is Attitude)」という理念の下、個人的・社会的・政治的な実験的タイポグラフィ作品を多く制作する。娘はグラフィックデザイナーのニコール・シュミット。

1980年に「アイデア」別冊として誠文堂新光社から刊行された著書『タイポグラフィ・トゥデイ』はタイポグラフィの名著として国際的に高く評価され、2002年には新版が、2015年には増補新装版が発売されている。

「タイポグラフィ・トゥデイ | 株式会社誠文堂新光社」
www.seibundo-shinkosha.net/book/art/19864/

*6 言語野を通過しないタイポグラフィ
前掲の「言葉のデザイン 2010」研究会の第7回「印刷とweb/文字を透視する」では、マイナビニュースのレポートによると以下のやりとりがあった。

news.mynavi.jp/article/20110704-kotobanodesign7/
『…会場からも「言語野を通過しないタイポグラフィは可能か」という古くて新しい問いかけがなされ、議論は白熱したまま終了…』
『…原研哉「言語野を通過しないタイポグラフィは可能かという問いは、ことばではない文字があり得るかという問いと同じ。詩とはことばから逃れようとすることば。タイポグラフィにも同じようなところがある。言語野ではないところに、言語野を拡張するのがクリエイション」…』

*7 私の所属である “オンスクリーン制作室” 
日本デザインセンターのオンスクリーン制作本部 オンスクリーン制作室のこと。
www.ndcosd.jp

*8 JDNさんのインタビュー 
デザイン情報サイト「JDN」で2019年9月に発表された記事。登壇した7人が7月終わりにふたたび集まり、イベントを振り返って対話を行った。

「 Web、タイポグラフィ、「伝える」ということ。『OnScreen Typography Day 2019』を振り返る | デザイン情報サイト[JDN]」
2019/9/24
www.japandesign.ne.jp/interview/onscreentypography/

*9 Twitterやブログで感想やレポートの投稿が賑わっていました
後述の「関連項目へのリンク」参照。

*10 CSS Niteの一回としてウェブにおけるタイポグラフィを扱いたい
2019年5月18日開催のCSS Nite LP61のこと。フォントと組版という観点から、ウェブコンテンツでどこまで実現するのか、また具体的にどのように実装するのか、といった課題意識に焦点をあわせたイベント。書体デザイナーの藤田重信のほか、各ベンダーから新進気鋭の5名の書体デザイナーを招いたパネルディスカッションを中心に構成。下記リンク先では講演内容のフォローアップも閲覧できる。
「CSS Nite LP61「フォントとウェブ組版を考える日」(2019年5月18日開催)」
https://cssnite.jp/lp/lp61/

*11 LPの長文
こちらもOSTDのランディングページを参照。「言葉からはじめましょう。」で始まるテキストのこと。末尾に「実行委員:関口 裕」の記名がある。
https://ost.today/#Letter-from-chairman

*12 タイプフェイスを担当してくれた安藤さん
安藤真生(Masaki Ando)1998年生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科在学中から精力的に欧文書体を制作し注目を集める。Wolphという屋号で書体デザインを中心に活動。OSTDのコンセプトに相応しい欧文書体を探していた関口裕は、制作途中でまだ市販されていない安藤のヒューマニストサンセリフ書体「Koga Sans」に注目し、採用を打診する。OSTDのランディングページ表示用にKoga Sansの最適化を担当する形でOSTDにスタッフとして参加。在学中のアルバイト勤務を経て2020年から日本デザインセンター オンスクリーン制作室に入社。
https://wolph.design
https://twitter.com/wolphtype 

Koga Sans採用の経緯は下記のnoteに詳しい。
「[画像追加] Koga Sansはいいぞ #ostd2019 |Yutaka Sekiguchi|note」note.com/sekig/n/n319b391c1307

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関連項目へのリンク

[公式]

「OnScreen Typography Day」(ランディングページ)
https://ost.today/
Peatix(募集サイト)
https://ost-day-2019.peatix.com
公式facebook
www.facebook.com/events/2234209800179649
www.facebook.com/ostdTokyo/
公式Twitter
twitter.com/ostd_tokyo

[イベントレポート:メディアサイト]

「[レポート]デザイナー、編集者、マークアップエンジニアらが考える“タイポグラフィ”とは|企業で働くクリエイター向けウェブマガジン『CreatorZine(クリエイタージン)』」
2019/07/31
https://creatorzine.jp/article/detail/115
「Web、タイポグラフィ、「伝える」ということ。『OnScreen Typography Day 2019』を振り返る | デザイン情報サイト[JDN]」
2019/9/24
www.japandesign.ne.jp/interview/onscreentypography

[イベントレポート:登壇者による補足]

「[画像追加] Koga Sansはいいぞ #ostd2019 |Yutaka Sekiguchi|note」
note.com/sekig/n/n319b391c1307 
「『コンテキストをピクニックしよう』、そして呪術の話|土屋綾子|note」
note.com/tsuchir/n/ncc06b4cd7245
当日のスライド「コンテキストをピクニックしよう- Let's picnic the context - Speaker Deck」
speakerdeck.com/tsuchir/

「OnScreen Typography Day 2019 登壇と http://ost.today の実装」
@masuP9
masup.net/2019/06/onscreen-typography-day-2019
「チームにタイプデザイナーがいるつよさ | masuP.net」masup.net/2019/06/strong-team
「#deisui_html_radio 23 ~ OSTDのOKRとKPTでDEISUI ~ - YouTube」
youtu.be/b9cqZcFAt7w
『…登壇した OnScreen Typography Day 2019 https://ost.today/ の振り返りをしたり、 @masuP9 の登壇動画みながら解説したりしようかと思ってます…』
「Twitter:Takehito Goto @takehitogoto」
※「Noto Sans JPのpalt問題の補足」
twitter.com/takehitogoto/status/1138006325978230784
twitter.com/takehitogoto/status/1138006058280951809
(当日配布された関連書籍の紹介チラシ)
twitter.com/ostd_tokyo/status/1137973848517664769

[イベントレポート:ブログやSNSの感想]

「ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAY 2019に参加したよ / イベントレポート|Oshimi Miyuki|note」
note.com/osmmyk/n/n960ebded4567
「[イベントレポート]ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAY2019に参加して|駒ヶ嶺 亮一|note」
note.com/r_koma/n/n766e6ac71550
「これからの"オンスクリーンタイポグラフィ" 【#ostd2019】|Youta Mochizuki|note」
note.com/shaman_y/n/n5bda21e6a2ec
「[東京]ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAYに行ってきた | taro magazine™ 」
https://taromag.misaquo.org/archives/15164
「#ostd2019 参加メモ hysmrk @marimari」
paper.dropbox.com/doc/ostd2019
「ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAYへ行ってきたよ – Noriyuki Shimizu – Medium」
https://t.co/kalMO01AoE?amp=1
「ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAY2019 のイベントスケッチ - ARTICLES 」
kansock.industries/ja/articles/20190610_01/
「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ2019 - シフトブレイン/スタンダードデザインユニット」
standard.shiftbrain.com/blog/
「On-Screen Typography Day 2019 関連ツイートまとめ - Togetter」
togetter.com/li/1365010
(Twitterのハッシュタグ #ostd2019
twitter.com/hashtag/ostd2019?src=hash
「「#ostd2019」の新着タグ記事一覧|note ――つくる、つながる、とどける。」
note.com/hashtag/ostd2019 

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撮影(会場内):佐賀野宇宙、小玉千陽 
取材と脚注作成:良太郎