聞いて

こんにちは。みんな聞いて。
聞いて欲しすぎて題名を「聞いて」にしちゃうくらいだから聞いて。

僕が5年も暮らす、人口たった190万人の、日本人は誰も位置を正確に言えないで有名な、「今度遊びに行くわ!」って言うだけで誰ひとりとして来ることがない、冬はマイナス25度に到達する、あのラトビアが!僕の溺愛するラトビアが!

コロナ対策で(いまのところ)とっても褒められています。キラーン


ーーーこの記事の抜粋を、僕の周囲のことと併せて書きます。ちなみに僕の英語訳の精度に関する指摘はノーとします。ノートだけに。

RIGA, Latvia—To the surprise of many, this not particularly wealthy Northern European country of 1.9 million people appears to be one of the coronavirus pandemic’s success stories. 
ラトビア、リガ。驚くべきは、人口190万人の北欧のこの国が、コロナウィルスパンデミックのサクセスストーリーの1つであるということです。

褒められています。褒められていますね。

March 12—when the cabinet declared a state of emergency— In Britain, Prime Minister Boris Johnson joked about how he was still shaking hands. The European Union was still “assessing” the situation.
イギリスではボリス・ジョンソン首相が「まだ握手をしている」と冗談を言い、 欧州連合はまだ状況を「評価」している段階だった3月12日に、ラトビア政府は非常事態宣言をしました。

3月12日。
ちなみに僕は現地でサッカーのコーチをしてますが、緊急事態宣言の前々日くらいまでは、普通に練習していました。町の人通りも日常と同じくらい(つまりガラガラ、めっちゃディスタンス)で、正直「急に宣言まで行ったね!」という、かなり早いタイミングでの緊急事態宣言でした。死亡者はいないし、感染者もまだ20人程度の状況。判断としては早いよね?

the government took a number of other forceful steps. On March 17, Riga’s international airport was closed except for government repatriation flights for Latvians abroad. At the time, the airports in Tallinn, Estonia, and Vilnius, Lithuania, were still in full operation.
政府は他にもいくつかの強引な措置を取りました。 3月17日、海外にいるラトビア人のための政府の送還便を除いて、リガ国際空港は閉鎖されました。

宣言に併せて、実質的な国境封鎖(バスの往来も禁止)も発表されて、「出たい人、入りたい人は数日以内に済ませてください」という明確な通達がありました。

当時はまだ、隣国のロシア、エストニア、リトアニアの空港はフル稼働している状況だったから、これもかなり早いです。(けれど僕の認識が正しければ、この時点ではまだ自家用車での国境往来は許されていたはず。)

After declaring the state of emergency, which allows the cabinet to set new laws, pending parliamentary review, the government shut down Latvia’s school system and switched it to remote learning.
新法を閣議決定できる非常事態宣言をした後、政府はラトビアの学校制度を停止し、遠隔教育に切り替えました。

休校措置も、遠隔への移行も、迅速に行われました。なにもかもが迅速。もはや風。いや光。どうしたラトビア。

理由が書かれていました。

In part, it was an awareness of the health care system’s deficiencies that prompted the government to act quickly and preemptively. There was no room for an influx of patients.
政府が迅速かつ先手を打って行動するようになったのは、医療制度の欠陥を認識していたこともありました。 患者が殺到する余地はなかったのです。

それは分かる。行けば分かる。見れば分かる。
僕はこの数年で入院したり、何度も怪我の治療をしたり、妻の妊娠で検診に通ったりしましたが、、、医療施設が(特に外観が)すごい古い!

視覚情報って信頼に直結しますよね?
ボロいけど旨い!みたいなのは国道沿いに急にあるラーメン屋くらいで、「この病院、ボロいけど安心!」はないじゃないですか。僕、入院したとき、死を覚悟しましたもん。風邪だったけど。テーブルに濡らした段ボール置いてあると思ったら、病院食のパンでしたからね。

Its underfunded health care system, which includes a number of Soviet-era facilities. Moreover, many staff are over the age of 65 and there are too few nurses.
ソビエト時代の施設を含む、資金不足の医療システム。 さらに、スタッフの多くは65歳以上で、人数も十分ではありません。

つまり持たざる者として、まずそれを自覚して、早い決断を行動として繰り返すことで、なんとか対応したってことですね。

※ちなみに僕はこのnoteで日本や他国の対応を批判する意図はまったく持ち合わせていません。ラトビアを褒めてほしい、ただそれだけです。

政府はまた、科学と医療の専門知識を深く尊重し、ラトビアに拠点を置く地域のトップの疫学者とウイルス学者の幹部を頼りに行動してきました。
"外務省のチーフ・スポークスマンであるJanis Bekeris氏は、「最高の医学者を前面に出す必要があると早くから感じていました」と述べています。

つまり専門家への敬意を念頭に、実際に権限を与えた、と。

それよりも「ラトビアにも最高の医学者がいた」という事実に驚き(激烈に失礼)ましたが、本当に素晴らしいことです。僕が誰よりもラトビアを過小評価していたのかもしれない。愛ゆえに。

専門家に具体的な権限を与える、というのは、大切ですね。サッカーの監督にも繋がります。

The country currently has one of the highest testing rates per capita in the world. “Test, track, isolate,” is the government’s mantra,
この国は現在、一人当たりの検査率が世界で最も高い国の一つです。 「検査、追跡、分離」が政府のマントラだといいます。

Test、Track、Isolateが、対策の軸みたいです。
こういうのもサッカーの監督と一緒で、最後は結果論だから、その全てはワクチンによって収束したときに評価される思いますが、決断から実行までの分かりやすさとスピード感は素晴らしいんじゃないかなと思います。

そうです。つまり僕は皆さんにラトビアを褒めてほしい。名前だけでも覚えて帰ってほしい。

ちなみにソーシャルディスタンスは明確に定義されています。人数に関しては破ると2,000ユーロ以下の罰金。

There is a strict social distancing rule: Citizens are allowed in public only in groups of two and must maintain a six-foot distance from each other.
社会的な距離を保つための厳格なルールがあります。 市民は2人のグループでのみ公共の場に出入りでき、お互いに6フィートの距離を保たなければなりません。 

気付きましたか?
これ、つまり、最初から完全ロックダウンではないんです。緊急事態宣言後も、週末以外は商業施設の営業が認められていました。記事内では「middle of the road」と表現してますが、外にも出ていいしお店も営業していいという、イタリアやスペイン、ロシアなどの封鎖と比べて、かなり緩い対策です。


つまり「早い段階で、明確に動いたこと」で、その後の経過にかなりの優位をもたらしている。もはや風。いや光。


そして5月7日。

On May 7, when, after consulting its experts, the cabinet extended the state of emergency through June 9 while loosening some restrictions.
5月7日、内閣は専門家との協議の結果、非常事態を6月9日まで延長したが、一部の制限は緩和された。

この緩和を受けて、5月13日から、僕のチームも練習を再開しました。

ボールを消毒し、コーンとマーカーを消毒し、選手の距離は2メートル以上あけて(つまり接触プレーのない練習のみ)、飲み水は全て名前を書いたペッドボトルで、という制限付きですが。

The government has covered 75 percent of employees’ salaries up to 700 euros ($750) and granted tax deferment to companies for up to three years.
政府は従業員の給与の75%を700ユーロ(750ドル)までカバーし、企業には最大3年間の納税猶予を与えている。

経済対策について僕は詳しいことがまったく話せませんが、ひとつ言えるのは、現在のラトビア政府の対応を、多くの国民が支持しているということです。


そして、一番大切なこと。

In Latvia, there has been one only death related to COVID-19 since May 4.
ラトビアでは5月4日以降で、COVID-19に関連した死亡は1件のみ。 

ラトビア人たち自身が、この数字に強い誇りを持っていることが、彼らと話していると窺えます。彼らは経済的にまったく強くない分、「この感染症から人命を守る」というシンプルなことを一貫して考えているのかもしれません。

"私たちが経験した死亡者数は依然として悲劇である。

カリンズ首相はこう言っていて、もちろん失った命を軽視することは出来ないんですが、(合計死者は19人: 5月13日の段階)

それでもラトビアのような規模の小さな国が、その団結した行動力によって、未知のウィルスに対して健闘するのは、5年も暮らしている(そしてこれからもう少し暮らしていくことになりそうな)身としてはとても嬉しいのです。

ニュースの訳から始めて、ぶっ通しで記事を書き終えるくらいには。

最後に記事の終盤に書かれた文章を引用して終わりにします。

ある国が行動を共にするのを見るのは、心強いものがあります。医療危機は、ラトビアのアイデンティティの危機を解決し、国民の安心感を高め、国の政府が国民を大切にしているという感覚を高めるのに役立っているように見えます。

ピンチはチャンス。
コロナがあけたら、おいでよラトビア。🇱🇻

※記事中の英文は1文字も変えてませんが、抜粋する順番は前後があります。どうぞよろしく。



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