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2020年1月に読んだ本

自分用のメモも兼ねて、その月読んだ本をnoteにまとめてみることにしました。こちらは先月(2020年1月)分。

① 村田沙耶香「生命式」
② 村田沙耶香「ギンイロノウタ」

昨年「消滅世界」を読んで衝撃を受けて以来、村田沙耶香作品にハマっている。どれもとても面白いのだけれど、読むとメンタルにダメージが入るので間隔を置きながら少しづつ読み進めているところ。

「生命式」は確か購入時の最新短編集で、作風としては「消滅世界」に近いものが多い。もし社会がこんな風だったら... というSF的な設定のもとで、現代社会のアタリマエを揺さぶってくる。
「消滅世界」もそうなんだけれど、村田沙耶香作品は「一線を超えた向こう側から平然とこちらを見つめ返してくる」感じがするのだ... ゾワゾワする。

ところでこの「生命式」の表紙の写真... 素敵ですよね。なんだと思います?

一方「ギンイロノウタ」は初期の作品で、表題作と「ひかりのあしおと」の2作が収録されている。
明るいタイトルとは裏腹に、社会の理不尽に押しつぶされそうになるリアルな苦しみを味わうことができる。フィクションにおける家族生活、学校生活に嘘っぽさを感じてしまう人にオススメ。

③ ケン・リュウ「もののあはれ」
④ ケン・リュウ「母の記憶に」
⑤ ケン・リュウ「草を結びて環を銜えん」

文庫版では4巻まで出ているケン・リュウの短編集、の2〜4巻。
文庫版だと1、4巻が中国文学色が強めで、2、3巻がSF色が強めな感じ。

SF的アイデアが光る切れ味鋭い作品、重厚なテーマを扱った骨太な作品、手に汗握るハードボイルド探偵ものな作品、幻想小説のような詩情に溢れた作品、さらには某アメコミへのオマージュ等、非常にバリエーション豊か。

お気に入りはいろいろあるけれど、一作だけ挙げるとしたら第2巻収録の「円弧」

不老技術が実現した社会を舞台とした、激動の一代記。扱われているテーマはグレッグ・イーガンが「ボーダー・ガード」(短編集「しあわせの理由」収録)で扱っているものに近く、両者の結末の比較も面白いかも。

⑥ チャールズ・L・ハーネス「パラドックス・メン」

Twitterで話題になっていた伝説のワイドスクリーン・バロック。評判の凄さから大部のハードカバーを想像してたんだけど、書店で文庫の棚に見つけてびっくり。

科学が発達した世界観なのになぜかフェンシングで戦ったり、むちゃくちゃな理屈で危機を脱したり、いつの間にか人類を救う話になっていたりする。
私は読んでいてアニメ「グレンラガン」を連想したりしました(流石にあれほどギャグ調ではないけれど...)。

とはいえ最初に発表されたのが1953年(!?)なので今日的にはいろいろ突っ込みどころもあったりする。

⑦ グレッグ・イーガン「宇宙消失」

イーガンの長編を再読。たしか大学に入ったばかりのころに読んで、「よくわからないけどすごい」くらいの漠然とした感想を抱いた記憶がある...

で、今回読み直してみたところ、やはりヤバい作品でした。

サイバーパンク・ハードボイルドとしても十分魅力的なところに、唐突に「とある物理学の基礎実験」が登場。一体なぜ? と首をかしげているうちに、イーガンお得意の論理のアクロバットによってとんでもないことに...!

こんなにヤバい作品だと思っていなかったので、多分初読時の私はよくわかっていなかった。一応、本文中で最低限の説明はあるものの、ほんとに最低限なので量子力学に触れたことがないと厳しいような気がする...

逆に言うと、大学の学部程度の量子力学の知識があれば、すさまじいヤバさに震えることができる。

⑧ 島並良 他「著作権法」

Twitterに買った本の書影を載せるのは大丈夫なのか? という疑問から、一度著作権法について調べてみようと購入。体系的にまとまっていて、コラムとして判例も豊富に載ってる分かりやすい本でした。

「〇〇なら絶対に著作物!」「〇〇なら絶対に著作物ではない!」と判断できる単純な基準は存在せず、それに創作性があるか、美術の範囲に属するものか等、それぞれのケースで判断していかなければならない、ということが、分かりました。現実は単純ではないのだ...!

以上、1月の読書でした。




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