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君じゃなきゃだめなんて

今思えばあれが初恋だった。14歳の春。初めて異性と手を繋ぎ、近くの公園まで散歩をしていた2人。公園のベンチで腰掛けながらくだらないことでケラケラと笑う君を微笑みながら見つめる私。

この世界に2人だけしかいないようなそんな幸せな空間。幸せが未来永劫続けば良いと願った恋。そして、終わるはずのない恋と信じていたのはいつまでだったっけ?

恋の幻想。愛の幻滅。君と私の幻影はすぐさま消え去ることとなる。

今思えばすれ違いはほんの些細なこと。きっと大人になった今の2人なら簡単に乗り越えられたんだろうなって思うぐらい些細なことだった。

でもたらればなんてこの世界には存在しないし、現実世界の私たち2人の関係は簡単に終わってしまったという事実しか残ってない。

好きにならなければ湧き出てこなかった感情も、嫌いになるぐらい好きだったことも全部周知の事実だから、君と出会えたことは無駄なんかじゃない。

君じゃなきゃだめなんて思ったことはないし、きっとこれから先、君よりも私よりも素敵な人にたくさん出会うそんな予感がしている。

でも君じゃなきゃだめだった時期が確かにそこにあったということもまた事実で、きっと君も私じゃなきゃだめだった時期もあるということもまた事実であった。

塗り替えてしまいたい過去も、私たち2人が一緒になったから出来上がった過去で、きっと君を嫌いになってしまったことも必然だったんでしょう。

私と君が出会わなければきっと2人は成長できなかったんだよ。2人で成長できた恋。次に活かせば良いし、君のことだから私に振る舞うはずだった優しさを次の人に振りまいてるんだろね。きっと。

好きか嫌いかなんて今はよくわからないし、仮に今も好きだったとしても君との出会い方がわからないからどうしようもない。

君の仕草も匂いも全て忘れてしまったの。多分君も私の仕草も匂いも忘れちゃっているんでしょう。だからおあいこってことにして、君といたという事実だけを未来に連れて行くことにするね。

2人だった事実と離れ離れになった事実だけが今は残っている。長かった髪を切って初めて外の空気が冷たいことに気付くように、君がいなくなって君の大切さをようやく知る愚かな私。

君じゃなきゃだめなんて、いつも終わってから気付くし、手元にある内は大切さに気づけないのがいつも不思議なんだよ。でも終わってしまった恋は後悔することしかやることが残されてないことが救いのようのない事実だね。

元気にしてますか?って話しかけたところで、今どこに住んでいるかも、連絡先もわからないから、私のこの思いはきっと届かない。

ありがとう、ごめんなさい。

その2つしか残らなかった恋がそこには確かにあったんだよ。


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