第1章 地上探索編|Ground search   『10 祝福と加護』


「じゃあお父さんとお母さんはそれきり……」準備が出来るまで、最上の地の更に上に展望台に4人とロナはいた。

「うん。破壊神ずっと前から嫌われているから――」曖昧な笑顔でそう言いかけたレイムをロナが遮る。

「レイム様、それは禁句です……」
「ソピアはそんなことない、破壊神様は何も間違っていないッ!」ソピアはレイムの両手を握り、説得をした。

 その熱い勢いと目線にレイムは浴びせられた。

「ありがとう……。じゃあ次はレイムが質問ね。何で勇者なんてやってるの……魔王を倒しても今は何体も魔王がいるっていう噂だし……魔王に関して他の神ですら……」それはレイムが今の現状を思っての事だった。

 破壊神がそんなことを言うとは戦う者からしたら、怒りを覚えるだろう。


 今、この少女はこの世界を諦めているのかもしれない。

 世界で最強の一角の存在である破壊神がそんな質問をされた勇者ソピアは何の間もなく答えが返ってきた。

「まぁね、ソピア達のお父さんがそうしていたっていうこともあるけど、私は誰もが笑っていられる世界にしたいの……今は魔王軍のせいで人々の生活が脅かされている。だから私達勇者がいるの!」

「まぁな、俺達が魔王を倒すって決めたんだ!昔から……」

「あぁ、まぁ決めたが、まだ一人も魔王と会っていないんだ……」


「ん~……」心に響いた……好奇心が湧きあがってくる……何だろうこの気持ち……。

 レイムは両手を胸に当てた。


 何で、ラウルが勇者達を……その理由が分かった。

「うぅ……」
「レイム様?」ロナは体が震えているレイムに名を呼んだ。

「うん!うんうん!私もやるッ魔王を倒して、世界が平和になってほしい!」好奇心が爆発したが、それとは別にある感情が湧き出て、黒い瞳から涙がこぼれた。

「レイム……」自身の手を強く繋ぎ、涙が頬に流れた。


「やっと……やっと……ありがとう……」
「レイム様……」急に涙をこぼしたレイムに近づこうと一歩前に足を動かした途端その気持ちがわかった。

 好奇心という気持ちを初めて……いや物心がつき、自分で考え、行動するようになった頃から一度もこの領域を出たことはなかった。


 それが二代目が決めたこと。

 他の神も逆らうことは許されない……王家の神はそんなレイムを心配をしていたが仕方がないで片付けたのだ。

 自身の領域にいれば、暴れることないだろうと酷い理由だ。戦力としては十分使えると神々に恐れられているからなんとか制御しようとしたんだ。


 だが辛くはなかったが、今この瞬間、違う所から来た自分とは違う勇者達と出会い、好奇心という感じで今レイムの心に現れたのだ。

 初めての感情で涙したのだ。


「レイム……あぁ、ありがとう……」とソージはレイムを抱き、頭を撫でた。

「レイム、俺達に加護をつけてくれないか……」

 
「なッ、ちょっと待て、それは――」
「いいんじゃないかロナ……」とロナの後ろから階段を上がる足音とともに姿を現したのは、ジュウロウだった。

「加護の私達にも伝わってくる……今レイム様が感じている感情が……私はいいと思うが、後はレイム様の同意だけだ……」


 するとソージの胸の中で……。

「うん……」と確かに聞こえた。

「畏まりました。ではディリアにそう伝えておきます……」とジュウロウは下に降りていった。
 
「では、落ち着いたら下に来てください……」ロナは微かにその4人が似合っていると思えた。


 そして数分後に賑やかにパーティーが始まった。

 最破達が楽しくワイワイとやっていた。

「よろしくです……」レイムの周りに必ずいるロナではなく第七天使パーレルゲンがいた。

「わぁ~、かわいいィィィ」とソピアに抱かれていた。

「ちょっと、苦しいです」
「いや私のベットの中にいた人が……」


「うッ――」そう耳に入り、反応したのはソージだった。

 ソージもはっきりとレイムの裸と天使たちの裸を見たのだ。

 パーレルゲンはソージの反応を見逃さなかった。

「そう言えば、ソージもレイム様が裸姿を見ましたよね……私は見ていました。レイム様の小さい胸を触りながら……」

「おいッ!こんな所でッそんなこと言うなぁぁぁッ!」

「いやいや、見ていないって……」

「そうでしょうか……最破の男達は咄嗟に目を瞑りましたがあなたはずっとこっちを……」

「あわわわ……」レイムがパニック仕掛けている。


 するとパーレルゲンの背後に影が現れ、すっと体を作り、黒髪ロングの和服姿を女性が現れ、パーレルゲンの頭をグーで叩いた。

「うげッ――」
「そこまでです。申し訳ありませんレイム様……この子にはちゃんと聞かせますので……」と第三天使ムムが両脇に腕を通り、パーレルゲンを連れていった。

「ふぅ~、これで真地目な話ができるね……」と4人は椅子に座った。

「あの~」
「わかってるレイムの気持ちはわかった。だから俺達も三人で話し合って、レイムにどこまでもついて行くって決めたんだ……」

「えッ……」瞼が上がり、予想していないことだった。

「あぁ、レイムが俺達の魔王退治を手伝ってくれるんだからさ……レイムがやりたいように……」

「んッ……」後半は聞き取れていなかったようだ。


 だがジュウロウから言われたあのことはレイムに内緒である。

 レイムと俺達が魔王を倒す。

 それで世界が変わるかはわからないが、運命か……。


 そしてパーティーの後に第5の地『神教会』に向かった。

 そこは破壊神の加護を承る所だ。巨大な教会の中で窓からは日中光が差している。

「では、儀式を執り行います……」教会の奥には漆黒の竜があり、それが原初の破壊神と言われている。


 そしてレイムは掌にそのドラゴンの紋章を三つ生み出した。

「この加護は不老不死が込められている……それを覚悟して……」レイムは三人に紋章を浮かし、そして黒い光が三人を包んだ。

「これで、終了です……」

「あぁ、これで……」
「加護の紋章は体のどこかに浮かびます……」とロナが付け加えた。


 そして月が夜の世界を照らし、レイムとソージ達が次に向かったのは、第13の地『大浴場』だった。

「えッ……マジで……」
「はい、仕切りとかないです……」とソージの質問に真顔でロナが答えた。


 その後ろでは裸姿のレイムがいた。

「フフッ……ロナ、その辺に」
「嘘です。あります……入ったら男性は右です……」と大浴場に入っていった。

「お兄ちゃんお先~」 
「ソージ、またな」とソピアとサリアも入り、脱衣所に一人になった。

「はぁ~、今度から嘘かどうか見分けないとな……」




~コメント~
 加護は神が種族に与える者であり、その効果は種類によって異なる。
 その仕組みは、因子を直接体内に授けるが、その量は欠片の因子と呼ぶべき10%ほどの量だが、その身に宿せばある程度規模は限界でも50%であり、その状態なら破壊神が創造する使い魔や破壊属性の生物と同等の戦闘力を持つが、その状態では意思などは保つことはできないとされているため、最破達は自分の力と破壊因子を上手く使い分けている。
 ジュウロウなどは適正がないとされ、権能を使用することはできないが、加護を受けたことにより、無属性の効果が上がった。
 適正範囲として善か悪か、権能が使える者は残虐でありながら、その両者は何故が対立などはなく、一時的にそんな状態にもなるかもね。
 『破壊の加護』は”不老不死””破壊の力を操ることで戦闘能力の向上””破壊の権能を一部使用”でき、最も強い効果として破壊神が死なない限り、その加護を持つ所有者に死が訪れることはないという点だ。
 破壊神が直接剥奪などをしない限り、加護は消滅することはない。
 破壊の権能は〈破壊の翼〉〈破壊の影〉〈破壊の手〉〈破壊の覇気〉〈破壊の世界〉の他に対象の適正で新たなスキルを獲得することができる。

破壊の権能が使用できない者
ジュウロウ・ハリアート
ビー・リゼドル
ベルーナ・ジルミゾン
ピール・レペレスト
ロナ
カイダース・ラファエル
ホールン・カマエル
エルゼ・セアルティエル
ヘンネ・ウリエル
ムム・バラキエル
ヨッド・ガブリエル
パーレルゲン・イェクディエル
ソージ・アルト・レスティアル
ソピア・アルト・レスティアル
サリア・ヒート・レヴォルアント

破壊の権能が使用できる者
ビリル・チルヤン〈破壊の覇気〉
レイン・レペレスト〈破壊の魔力〉
ワ―レスト・ゼロログ〈破壊の覇気〉
シール・レペレスト〈破壊の手〉
リツリ・リファースト〈破壊の影〉
ディリア・ブラッド〈破壊の手〉