薬局のアイドリングタイム
いわゆる調剤を主な業務にしている薬局へは基本的には処方箋を持った人しか来ない。
それでも地域に馴染むと
散歩の途中に飴やジュースだけを買いに立ち寄る人
暇つぶしのために立ち寄る人
世間話をしに立ち寄る人
が少しずつ増えてくる。
馴染まなければ基本的には処方箋を待つのみ。
待っている時間をアイドリングタイムとしますが、この時間に何をしているか大きい。
在庫管理(発注)
薬歴
予製
調べもの
会社の書類仕事
…
21年前に調剤の業界へ入ったとき、まわりはお茶を飲んで雑談したり、テレビを見たり、無料の冊子を読んだり、買い物に出かけたりしていました(昔の話です)。
アイドリングタイムに自分たちの顧客に対するアクションを起こしているかどうか。
生産性のない時間に、価値を作ろうとしているか。
昨今の薬機法改定の議論の中で「薬剤師は服薬指導後のフォローを・・・」と言われるが、正直なところそれはあたりまえだし、するべきことだと思います。
いろいろなことが形から始まりがちだけど、フィジカルアセスメントなどもすべての目的は「その後」の効果や副作用の判断をするためだったはず。
「忙しいから」という理由で「できない」という言い訳が先に飛び交っているだけだと思います。
確かに処方箋に基づく調剤=薬を取り揃えて渡す、だけであれば責任もないし楽な仕事です。
こんな楽な仕事でこんなに給料もらっている、という世の中の批判は受け止めるべきだと思います。
拘束時間が長いという医療特有の課題や、自分たちの意思だけで保険調剤に対するアクションが起こしづらいということはありますが、
自分たちは顧客のために何ができるのか
顧客のためにアクションをするための時間をどう生み出すか
を考えてみると、
「アイドリングタイムに顧客をつくる」
というのがまずはすべき事項だということにすぐ気づきます。
すぐに実らなくても、アクションの積み重ねを提供側がし続けることで顧客のアンテナに引っかかることも出てくる。
気づいてもらえることも出てくる。
同じコーヒーを飲むにしても近所の喫茶店に足を運んでみる
児童館や公民館にどんなことが掲示してあるか
区役所の掲示板にはどんなことが書かれているか
気になる患者さんに電話してみる。
なんでもできる。
顧客はどこにいるか。
地域に馴染むために必要なことはただひとつ。
「待つ」のではなく「動く」
動いた結果でしか自分にとっての顧客は見つけられない。
薬局生まれの薬局薬剤師。新幹線通勤をしながら23年勤務した会社を卒業して地元東海地方で活動していく道を模索しています。