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秘密計算はAppleも注目するAIセキュリティ技術へ / 2025年は「AIセキュリティと秘密計算」で世界を目指す

2024年が終わろうとしている。個人的にも色々と変化のある一年ではあったが一番は、首と肩の痛みである。何も痛みを伴っていなかったあの頃に戻りたいという思いから分割キーボードを使い始めた。来年は肩と首の痛みからの解放を目指したい。この記事は年末の時間で分割キーボードを練習するために書いている。

余談はさておき、今回は前回の記事の続きとして「なぜAcompanyがグローバルで勝てる余地があるスタートアップなのか」について書いていく。まだ読んでいない方はぜひ下記の記事もあわせて読んでいただけると嬉しい。

この記事は、Acompany Advent Calendar 2024 延長戦である"続・アドカレ"の最終日、6日目(31日目)の記事です。


生成AIの発展とセキュリティの課題

前回の記事でもハードウェア秘密計算(以下、HW秘密計算)の市場は急激な拡大をみせていると紹介した。そもそも、秘密計算とはデータを暗号等の技術を用いて秘匿したまま処理する技術の総称である。

HW秘密計算の市場は、2032年に約50兆円まで拡大することが予想されている。これは同時期のクラウドコンピューティング市場全体の15%を占める規模である。この市場拡大の大きな要因の一つが生成AIの発展である。

FORTUNE BUSIMESS INSIGHTSのデータより

ハードウェア秘密計算(コンフィデンシャルコンピューティング)の市場規模は2023年の約1兆円から2032年に約50兆円、CAGRは驚異の50%超えと予測される。

偉大な会社を創りたい。ディープテックから業界団体まで、学生起業だが難易度の高い事業をやっている理由

2022年11月にOpenAIがChatGPTをリリースしたことで、生成AIの普及が一気に進んだ。非常に汎用性を持った技術であり、あらゆるワークロードにおいて活用が模索されるようになっている。

一方で、基盤モデルの学習のみならず、生成AIを効果的に活用するためには様々なデータを与えることが必要となる。この際に問題となるのがAIセキュリティである。例えば、AIセキュリティについて「6割が脅威と感じ、7割が対策の重要性を認識」というIPAの調査結果やIBMの「CEOの57%がデータセキュリティについて潜在的なリスクを警戒する」という調査結果も報告されている。

AIセキュリティとHW秘密計算

このようなAIセキュリティの課題に対して期待されているのが秘密計算である。2024年6月に開催されたAppleのソフトウェアカンファレンスWWDCで発表されたAppleの生成AIサービス、Apple Intelligenceでは大規模に秘密計算が導入され、世界が注目する代表的な事例となった。

https://www.apple.com/jp/apple-intelligence/

実はこの発表の前後でHW秘密計算の市場規模の推定が上方修正されている。それくらいインパクトがある事例だったということだ。「iPhone16も使う「GPUの秘密計算」 AI時代のデータ保護」で、概要について紹介しているので、興味がある方はぜひ読んでみてほしい。

世界を狙えるチャンスがある

HW秘密計算の領域が熱い、ということは一定理解いただけたのではないかと思う。一方で市場規模に対して技術難易度の高いディープテック領域ということもあり、プレイヤーは非常に限定的である。関連スタートアップだと、Acompanyが調達規模では世界TOP10に入るくらいプレイヤーが少ない。主要プレイヤーとしてはFortanix(約200億円調達)やAnjuna(約100億円調達)などが有名どころである。直近ラウンドはFortanixが2022年に$90M(約135億円)、Anjunaが2024年に$25M(約37億円)を調達している。

特にAnjunaは生成AI向けのサービス拡大を発表している。アメリカの海軍でのユースケースも発表されており、国防領域での導入も進んでいる状況にある。NVIDIAと連携しGPUに対応した秘密計算サービスの提供を進めている。

このNVIDIAとの連携はAcompanyも実現している。現地の開発チームと連携しながら開発を進めている。技術的な観点でみると現時点では世界との差はほとんどない。(というよりか、そもそも技術革新が起きたばかりの状況)

HW秘密計算のエコシステムはまだまだ本当に未成熟な状況である。やるべきことは本当に多い。しかし、前述のようにプレイヤーが非常に少ない状況であるため余白に対してポジションを取れる余地がとても大きい。

AIセキュリティと秘密計算の会社へ

Acompanyの強みは秘密計算の技術だけではない。プライバシーガバナンスに精通することも大きな特徴である。プライバシーは生成AIの大きな論点の一つである。Appleの事例もプライバシー保護が主要なメッセージであった。技術だけでは生成AIを中心としたAIセキュリティ/ガバナンスの課題は解決されない。Acompanyは技術とガバナンスの強みを持つからこそ、この領域においてより付加価値の高いサービスを行っていきたいと考えている。

2024年は「プライバシーテックの会社」として事業を行ってきた。2025年は生成AIという時代を変革する技術とAcompanyの強みを融合し、「AIセキュリティと秘密計算」をテーマに事業の飛躍を実現する。実際のところ、これらのテーマはすでに中心的なテーマになってきているが、2025年はより踏み込んだ製品や事例を発表していきたいと思う。

今、Acompanyはおもしろい

大きく市場が拓いていく瞬間であり、まさに大きな波が来ている。Acompanyは2020年から秘密計算領域に注力しており、沖に出ていたからこそいいタイミングで勝負できる状態を迎えられているように思う。

チームにはHW秘密計算で未踏のスーパークリエーターに選出セキュリティ・キャンプ全国大会で講師を務める櫻井さんや、本領域の第一人者で直近ではデジタル庁のデータセキュリティワーキンググループ委員に選出される竹之内さん。そして、秘密計算システムの世界トップクラスのリサーチャーである百瀬さん。百瀬さんは世界トップカンファレンスであるACM CCSに4年で5本の論文採択(圧倒的すぎる)されており、今年は個人でEthereum Foundationの研究グラントにも採択されている。

このような秘密計算領域のトップレベルのメンバーが集まっている。秘密計算の専門性を持ったメンバー以外にも多様な領域で活躍してきた方々が野心的な挑戦を実現するために集まっている。

事業面では世界的に最先端の事例を創出することに成功している。この成果があることで、自社が世界の競合に対してどのように強みを形成しながら競争優位性を生むのかという解像度が非常に高くなった1年でもあった。R&Dレベルでは世界的に優位性のある技術の発明も実現しており、2025年は世界に向けた展開も推し進めていく。

タイミングとケイパビリティ、ポジショニングが奇跡的なレベルで噛み合っており僕自身も本当にワクワクしている。なかなかこんなチャンスは訪れないのではないかと。

さいごに

2024年は「秘密計算元年」であったと思う。そのくらい劇的な変化が重なった1年だった。まず間違いなく追い風の状態なので、2025年も気を引き締めて走り抜けていきたいと思う。

Acompanyの挑戦やAIセキュリティ/秘密計算領域について引き続き発信をしていくのでnoteやX(@ryosuke_nu)をフォローいただけると嬉しい。

それでは皆様良いお年を。

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スタートアップ経営について話す、「アカン経営トピック」を毎週月曜日と木曜日の朝7:00に更新しております。

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まだ聞いたことない人、聞いているけどフォローしていないという人はぜひ視聴とフォローしていただけますと幸いです…!!

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