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放たれなかった言葉の行き先は 映画「ウォーリー」 映画ビギナーの映画感想珍道中記20

ゴミだらけになった地球を人類が捨て去り、700年が過ぎた29世紀。地球にひとり置き去りにされたゴミ処理ロボットのウォーリーは、ただひたすらゴミ集めを続ける長い年月のうちに、感情が芽生えていた。そんな地球にある日、ピカピカのロボット、イヴがやってきてウォーリーは彼女に一目惚れ。しかし、イヴはある重要な任務を背負っていて……。ロボットを主人公にしたピクサーアニメーション。監督は「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントン。(映画.comより引用)

 ※ネタバレには気を付けますが、未視聴の方はご注意ください。

 言葉にしなければ分からない。口に出さないと相手には伝わらない。ときおりそんな言葉にする〈勇気〉を目にします。確かにその勇気が必要な場面も存在しますが、外側に放つだけが言葉の〈力〉ではありません。本作はそんな言葉にされなかった想いに触れるような作品です。

 廃棄物で荒廃した地球で延々とゴミを集め続ける一体のロボットが、突然ある指令を抱えて地球を訪れたロボットに恋をする。好きな子のために壮大な世界を駆け巡る、ロボット版ボーイ・ミーツ・ガールといった(ディストピア的な側面も強い)SF作品で、素敵というだけでは終わらせない問題提起を含みながらも、甘酸っぱさの残る物語に、ラスト辺りでは(´_`。)グスン←こんな顔になってました。

「ウォーリー」は会話や言葉が非常にすくない物語です。特にテーマや登場人物の感情が言葉として現れていたのは、後半「生き残るよりも生きたい!」と強く放ったある登場人物のいくつかの台詞くらいではないでしょうか。

 でも言葉にしなくても、テーマも感情もしっかりと感じ取ることができます。伝えられなかった言葉、口にしなかった想いの行き先は、物語を観る人の心の中へと向かい、それを受けた〈私たち〉は表出しなかった言葉を補足していくのです。

 それこそが物語の想像力。この世界を自らの意志で生きたいと感じるための想像力。

 難解ではない。まず物語として最高に面白く感じられ、だけど観終わった後、うんうんと頭を悩ませられ、その行為が大切なものに感じられていく。物語に初めて触れた時のような、フィクションの力を信じたくなるような気持ちにもなりました。

 この作品は、noteなどで映画レビューや小説・エッセイの創作などをされている青空ぷらすさんが紹介されていたことがきっかけで観た作品になります。

 ↓の記事がレビューになります。

 まだ観ていない方は、この機会にぜひぜひ~。


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