怪談話の2

前回に引き続き、霊感の強い父の話をしようと思う。
今回の話は父だけでなく、母も当事者であるということで信憑性が増す。
この話は幼い頃から何度も聞かされていたので私は大して怖くないが、知り合いに話したら「結構怖いじゃん」と返されたので書いてみる。怖くなかったら申し訳ない。肩の力を抜いて読んでほしい。


部屋

父の実家は彼の友人間では有名な幽霊屋敷だったらしい。ドアが勝手に開いたり、お風呂に入っていると湯船から知らない女性がこちらを見ていたりするとか何とか。
父は多少の霊現象なら慣れっこであったが、ガッツリ見てしまうと流石に驚くし泣いた。
そんな生活に辟易し早く家を出たいと思っていた矢先、私の母に出会った。
2人は意気投合し、ポンポンと話が弾んで交際をすることになった。
交際してしばらく経ち、2人は同棲をすることになった。
彼の実家の近くだが、そこそこ広いマンションだった。私も行ったことがあるが、とてもいい物件だと思う。大きい窓がついていて、キッチンも広い。
そんな普通のマンションで同棲生活が始まった。

2人は同じ部屋で寝ていたらしいのだが、ある日母親の咳が酷い日があった。
特に喘息持ちなどではないが、その日は何故か咳が止まらなかったらしい。
母は父に迷惑をかけると思い、「今日は隣の部屋で寝る」と伝えた。
父もそれを了承した。
2人の寝室の隣に、もう1つ部屋があった。テレビと漫画が置いてある部屋。娯楽部屋だ。
そういうわけでその日、2人は別々に寝ることになる。

深夜。
父は母親の笑い声で目覚めた。
ありえないほどの大声だったらしい。
笑い袋を想像してみてほしい。あれをさらにうるさくした笑い声だったという。

何事かと思った。母親は普段からそんなに笑う人ではないので、よっぽど面白いものを見たんだと思ったと。
笑い声は紛れもなく母親のもので、確実に隣の部屋から聞こえてくる。
しばらく我慢していたが、今度は手を叩く音も聞こえてきた。大爆笑である。
流石に我慢できなくなった父は部屋を出て、隣の部屋のドアを開けた。

その瞬間、音がなくなった。

笑い声も拍手も全てだ。

父は理解が出来なかった。
今、ドアノブに手をかけて開けるまでは、母親の笑い声は聞こえていた。

部屋には誰もいなかった。

父が慌てて母を探してリビングへ行くと、リビングから見えるキッチンで母親が煙草を吸っていた。
母はきょとんとした顔で父を見ている。

父が「今、何であんなに笑ってたの?」と聞くと、母は「え?笑ってないよ。ずっとここで煙草吸ってたよ」と答えた。

リビングにもテレビはついておらず、静かだった。
笑い声を聞いたのは父だけだった。
その後父は怖くて眠れなくなり、家中の電気をつけっぱなしにしていたらしい。
父は未だにそれがいちばん怖い体験だと語ってくる。

これは蛇足だが、この日を境に、父はよく金縛りにあうようになったらしい。

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