ユニバーサルキャンプin八丈島レポート2018 <番外編>

前作まで、「コミュニケーション」という1つのキーワードにフォーカスし、班のメンバーとの関係性の変化について綴ってきました。~前編~ ~後編~ とお読みいただいた皆様、ありがとうございました。

最終回の今作は<番外編>と題して、キャンプ中に「僕が担った役割」と「もう1つの出会い」についてお話しします。

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出発前からその出会いは始まっていました。

2018年9月7日 20:30頃、竹芝桟橋旅客ターミナル。

慣れた手つきで乗船手続きを終えた僕は、入口に近い椅子に腰を下ろしていました。

(いや、正確には車椅子を停めていたと言うべきか・・・)

一緒に行く参加者もまだまばらな時間帯に、「隣座っていいですか?」と1人の青年に話しかけられました。

ちょうど、唯一来ていた参加者もトイレに行っていたタイミングだったため、「いいですよ!」と応じると、

その青年は「すみません、助かります!」と言って僕のすぐ横に腰を下ろしました。

ずっと無言でいるのも僕の性格に合わないし、「せっかくだから」との思いから、「どちらへ行かれるんですか?」とこちらから尋ねてみました。すると青年は「大島」と答えます。

聞くところによれば、大島で初めて、自転車のロードレース(10km)に出場するとのこと。

「単独参加の方が多いかと思ったんですが、グループが多いですね・・・」と苦笑いする彼は、少し恥ずかしそうに教えてくれました。

そのお礼にと、僕も「八丈島のキャンプ場で、2泊3日の多様性に満ちた日々を過ごすこと」をお伝えし、お互いが帰島したら連絡すると約束して別れました。

「テント生活」に興味を示し、「自転車を積み込むので一般客よりも少し乗船が早いかもしれません」という彼に、「僕も電動車椅子だから荷物扱いですよ!」とジョークを飛ばすと大笑いしてくれた彼は、絶対にウチのイベントにヒットするー。

そう確信した僕は、密かに来年の「ユニキャン」に誘ってみよう!と誓ったのでした。

もしかすると、この時にはすでに今回のキャンプが「スタッフとして一歩引いて全体を見る目も養う練習になる」ことを暗示していたのかもしれません。

そうだとすれば、その後の3日間は本当にでき過ぎたストーリーです(笑)

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11時間に及んだ船旅はこれまでで最も風が強く、それに呼応するかのように皆のっけからテンションが高かった!

さて、ここからは現地で「僕が担った役割」についてダイジェストで紹介することにします。

1日目:(9/8)午後

「きっかけコミュニケーション」

・・・車椅子ユーザーをサポートする際の基本的な関わり方を学ぶことが目的。

  メインは車椅子体験&操作方法のレクチャー。

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*写真は前年のもの

1日目:(9/8)夜

「(企業研修者対象)リーダーシップ振り返り」グループファシリテーター①<7班・8班>

・・・【KPT方式】を採用→KPTとは、Keep、Problem、Try の頭文字。その日の活動を振り返り、

継続したいこと、問題点をそれぞれ洗い出し、翌日(9/9)にトライする行動を具体化させることが目的。

→初体験のファシリテーターに不安を感じながらも、議論を活発にする(参加者が気付く)役割は果たせたと思う。

1日目:(ファシリテーター終了後)

「ダイバー」→【スナック底土】 マスター

・・・「肢体不自由者の動きにくさを楽しく体感する!」をコンセプトに、去年自身が発案した「両手は使わず他人に飲食のサポートを委ねる」企画を、好評につき今年も開催^^ 今年はニューメンバーを加えた3人体制で!

「お酒をストローって酔うよね!?」「ついつい自分の手が出ちゃう・・・」との声があちこちから。

決して怪しいお店ではありません!(笑)

*他にも毎年、見えない店主と暗闇でお酒を楽しむ【ダークバー】、静かな環境で活発なトークが繰り広げられる聞こえない人が店主の【サイレントバー】が出店されています。

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*写真は前年→つけヒゲ&蝶ネクタイのおじさん2人(笑)

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2日目:(9/9)午前

「どっぷりコミュニケーション」【動きの部屋】の主人

・・・前日のきっかけコミュニケーションから一歩踏み込んだプログラム。

様々な当事者が、仕事やプライベート、あるある話や仰天エピソードまで、個性全開で自由に語り尽くす!

ここでは、現地で皆さんにお話しした資料をどうぞ♪

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2日目:(9/9)夕

「ユニバーサルフェスティバル」(通称:ユニフェス)にて、【車椅子体験コーナー】 ブース担当

・・・昨年まではユニバーサル盆踊り(通称:ユニ盆)として行われていたキャンプ最大規模のプログラムが、今年から島に新しくできた『おじゃれホール』に場所を移して大幅にパワーアップ!

島の障害者施設『ちょんこめ作業所』をはじめ、地元の皆様の出店も多様に進化した祭典に、ユニバーサルイベント協会としても出店することになったのでした。

*他に、見えない人たちによる運営で、【箱の中身を当ててみよう!】などのゲームも行いました。

2日目:(9/9)夜

「(企業研修者対象)リーダーシップ振り返り」グループファシリテーター②<6班・9班>

・・・前日同様【KPT方式】で行われました。まずは前日に立てたその日の目標(Try)と達成度を振り返り、引き続き継続したいことやまだ解決されていない問題点に自ら気付き、最終日に(9/10)トライする行動を明確にすることが目的。

→ファシリテーターの中では唯一の連続担当者とはいえ、初日とグループが違うことによる雰囲気の違いや、進行の難しさを改めて実感!

2日目:(ファシリテーター終了後)

「ダイバー」→【スナック底土】 マスター

・・・この日も禁断の「ストロー飲酒」を継続(笑) 皆、「車椅子ユーザーが呑んでも捕まらない」ことを理解してくれたようで、

前日にも増して楽しんでくれました^^

そして、一部の男性陣から挙がっていた「華がない!」という声を、今年は華麗に沈めたことはこの写真を見ればお分かりいただけるはずです☆

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*15年前、キャンプの開催を決断された「村長」(ユニバーサルイベント協会理事長)とともに

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3日目:(9/10)午前

「気付きの振り返り」 ~発表~

・・・「コミュニケーションは心で取る」という3班の気付きを、代表して発表させていただきました。

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こうして幕を閉じた僕にとって3回目のユニバーサルキャンプ。

5つのプログラムで役割を担い、のべ7回登場+1回の発表 という充実の日々を過ごさせていただきました。

一方で、心掛けていたのは「班では黒子に徹する」ということ。

それでも、頻繁に班から出入りするからこそ、変化に気付きやすい環境にいられたことはとても幸運でした。

最後に発表をしてしまったのは反省ですが、皆で苦心し大きな変化を得られたからこそ、その変化を他の班の方々にも余すことなく伝えたい、という衝動に勝つことができなかったからだと、前向きに捉えることにします。

そうしないと、我慢できなかった自分が許せないから(笑)

昨年が中止になり、もう2年近く現地に行けていませんが、これからも自分にできること、やっていきます!

いただいたサポートは全国の学校を巡る旅費や交通費、『Try chance!』として行っている参加型講演会イベント【Ryo室空間】に出演してくれたゲストさんへの謝礼として大切に使わせていただきます。