知らない人んち(仮)の第1話を書いてみた
◯和室
和室の戸が開くとジェミが立っている。
ジェミ「その絵……どうしたの?」
暗室に入りたいときいろが言った時の雰囲気。
きいろ「あっっっっっっごめんなさい!リビングで見つけて、私、壁に貼ってあったの落としちゃったと思って。バッグになんか留められるものないかなと思って」
と焦って早口。
ジェミ「ありがとう。それ、前に引っ越した人が忘れていった絵。ずっと探していたの」
と、自分を落ち着かせながら近づき、きいろの手から絵を取る。
きいろ「私が壁から落としたんじゃないんですね、良かった。また怒られるかと思って…」
ジェミ「びっくりさせてごめんなさい。映像、撮ってないわよね?」
きいろ「は、はい」
少し間。
ジェミ「キャンがコーヒー淹れたから呼びにきたの」
と言いながら、戸を閉めて出て行く。
きいろ「あ、ありがとうございます!」
ホッとした表情。
◯玄関
帰ってくるアク。
持ち帰ったカバンを下駄箱にしまい扉を閉じようとしたところに、きいろが和室から出てくる。
きいろ「おかえりなさい」
アク「(!!)ただいま」
きいろは何をしまったのか気になりつつも触れず。
きいろ「キャンちゃんがコーヒーを淹れたみたいですよ」
アク「ああ」
○リビング
テーブルに座わる4人。
アクとキャンの表情はすこし強ばっている。
ジェミは少し機嫌が良さそう。
ジェミの前にはきいろが見つけた絵が裏返しにしておいてある。
きいろ「コーヒーをいただいてまーす。キャンちゃんが淹れてくれましたー。私がおごるはずだった夕食もごちそうしていただけるようです!ラッキーでーす」
自撮り棒で撮影しながら。
キャン愛想笑い。
ジェミ「きいろちゃん、ちょっと撮影やめてもらってもいいかしら」
きいろ「は、はい」
ジェミ「きいろちゃんが見つけてくれたのを、わ・た・しが見つけたの」
絵を裏返しにしながら
アク「どこにあった?」
きいろ「すみません!あの本棚の下から少し飛び出ていて…」
キャン、そんな訳ない!みたいな何かを言おうとすると、ジェミ遮るように、きいろに向かい
ジェミ「ありがとう」
キャン「それじゃあ…」
ジェミ「あの人のところに返しに行ってくる」
微妙な沈黙の空気
きいろ「このコーヒー美味しいですねー」
アク「(コーヒーを飲み干し)今日の料理当番は僕。きいろちゃん、夕食も楽しみにしておいて。キャン、あれ、いつもの場所に置いておいたから」
アク、本棚を見ながらリビングを出て2階へ。
ジェミ「私、でかける準備しないと(台所を抜け2階へ)」
キャンコーヒーを片付けはじめる
きいろ「(部屋を見渡しながら)この家って何か色んな物がありますよね。引っ越しちゃった人が置いていったんですか?私が見つけた絵も引っ越しちゃった人のだってジェミさんが」
キャン「そ、そうね。子供のいる人だったから。でも、色々触らない方が良いよ。急に忘れ物があるって言ってくるから。絵もそう。大切な絵だったみたい。私たちにとっても…」
きいろ、杖、ゲージ、三輪車etc、違和感のある物を思い返す。
きいろ「引っ越した人って12月に引っ越したんですか?」
キャン「え!?」
きいろ「カレンダーが去年の12月のママだから」
キャン「ああ、そうみたいね…」
その時、真上から奇妙な音が鳴る。
見上げる2人。
きいろ「この上って、暗室ですよね?」
第2話へ
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