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日記

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日記まとめ
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2021年8月の記事一覧

日記・道筋はどこにある

 目の前に来てしまえば案外なんてことはなくても、目の前に来るまでのことを考えて不安になってしまうのだと、つくづく思う。

 前々から新しい仕事を僕に任されそうになっている雰囲気には気づいていて、それがどういう形で始まってしまうのかと内心ヒヤヒヤしていたが、ついにここ数日で火蓋が切って落とされ、全てではないがその仕事の一部を担うと決まってしまうと、案外清々しい気持ちになっていた。

 よく考えてみれ

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日記・好きなように食べてください

「このお団子、引っつきやすいので好きなように食べてください」

 初めて入った荻窪の古民家カフェでランチの後に頼んだ草団子を持ってきた店員さんがそう言った。もう数年は経っているがたまに思い出す。

 確かにその草団子は引っつきやすかった。白玉くらいの大きさの草団子がいくつかお皿の上に乗っていて、その上に粒あんときな粉がかかっていた。なんとなく和風の甘いものが食べたくて頼んだのだった。

 草団子に

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日記・望郷

 先日の金曜日の日記で書いた詩のライブイベントのことを思い出していた。

 ディズニーランドの年間パスポートを買った翌日の夜、吉祥寺の古本屋一日で行われたイベントだ。

 当時のイベントの告知のページがウェブ上に残っていた。2年前のことをありありと思い出した。詩人3人によるユニットFushigi N°5とゲストに文月悠光さんを迎えて行われた。

 イベントでは4人がリレー形式で順番に数行ずつその場

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日記・暑さのせいにして走り出す

 あっつーーーーーーーーー!!!!! 暑い! 暑すぎる!!

 日が暮れて、もう涼しくなったなー、と思って外へ出てみたら。最初は涼しい。日中の肉体の水分という水分をたぎらせる太陽は西へ沈み、夕涼み。これは夕涼みってやつだ、風流だ、これが夏の終わりだ……。

 調子に乗って音楽をかけちゃう。吉澤嘉代子『ストッキング』、YOASOBI『夜に駆ける』、SHISHAMO『明日の夜は何が食べたい?』。羊文学

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日記・8月最後の金曜日に幸せを

 最近はネガティブな方向に話を振り過ぎたので楽しいことをそろそろ書きたい。

 2年前の8月の末、2019年8月30日は金曜日だった。今日みたいな蒸し暑い夜、仕事が終わるとすぐに車を高速道路へ走らせた。僕は東京ディズニーランドへ向かっていた。

 それは1週間前から決めていたことだが、東京ディズニーランドの年間パスポートを買うために向かっていた。正確に言えば、年間パスポートを買ってその足で東京ディ

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日記・名前も知らないあの人は確かにいた

 部活の先輩から「お疲れ」と返ってくるのが好きだったのをふと思い出した。思い出したというか、きっとそういうことがあったに違いないと思って、ちょっと想像してみた。実はよく覚えていない。

 いろんなタイプの先輩がいたけれど、僕が出会ってきた先輩は誠実な人が多くて、わりとその部活を突き詰めようとしていて、言うなら僕が勝手に思い込んでいた先輩のイメージに合致していたような気がする。

 名前を思い出せな

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日記・今日は嫌なことがあった

 人間は生まれたいと思う前に生まれているのだと思う。これは単に「生まれたい」と思う為の器官が命を形作る前には存在しないからだと僕は思っている。

 生まれてきちゃったものは仕方がないと思って生きている。やっぱりやめときます、命返しますので元に戻してください、とはならない。

 というか誰に返すのか。僕は一応命があることになっているけれど、命という物体が存在する訳ではなく命をイメージさせる状態によっ

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日記・お盆に人は迎えに来る

 お盆に亡くなった人のお葬式に行ってきた。亡くなったのは知り合いのおばあちゃんで、年齢的にも大往生だった。ある人が「お盆に帰ってきた旦那さんが迎えに来たのだ」と言っていた。

 むこうでの暮らしが退屈で迎えに来てしまったのか。むこうから「そろそろこっちに来ないか」と呼びに来て「じゃあ行こうかね」と案外軽い気持ちでむこうに行くのかも知れない。

 お盆は会いたくもない身内に会わなくてはいけない時期だ

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日記・死んでも仕方がないらしい世界で生きている

 ふと「多少の人は死ぬ前提なんだ」と思った。

 大前提として、人間はいつか死ぬ。それが病死なのか事故死なのかあるいは老衰なのか、または自殺という手段で人間は死ぬ。

 生きているとうっかり忘れてしまうが、人間には生存権があってそれは本来健康で文化的最低限度の生活を保障するはずの権利だった。

 いま、新型コロナウイルスの感染によって多少の人は死んでも仕方がないというような感じがしている。誰もそう

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日記・幸せだった日には死にたくなる

 友達の引っ越しの手伝いをしてきた。なんだか楽しかった。今日死んでもいいな。

 幸せな日には死にたくなる。だってこれはとんでもないハッピーエンドで、映画だったら一番いいところで流れ出すエンドロールが既に主演の名前を告げ始めている。

 幸せは麻酔のように日常の毒が回る心に少しだけ痛みの猶予を与えてくれる。麻酔が切れてしまわないうちに息の根を止めてほしい。

 そんな日も寝る頃になれば、やっぱりま

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日記・フェスの中止が意味すること

 フェスを仕事にしている人にとって「フェスをやるな」というのは仕事を失うのと同義で、それを何の権限もなければ中止の補償もできない人々には強制力はないし、そんな中で開催中のフジロックがどういう結果を生もうと投じた一石は大きいと思っている。

 ロッキンの中止も一石を投じたと思っている。ひとつの企業が中止を決断した状況でオリンピックの有観客開催は間違いなく文脈を読み違えているし、ロッキンの中止が影響し

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日記・スイカを失う日

 スイカを食べました。夏だね、なんとなく。

 食べたいものを食べる自由が、たとえば食べたい日にスイカを食べることならば、僕は今日自由だった。

 スイカは3切れで300円だった。これが5000円だったらちょっと気楽には買えない。金曜日の夜だし、スイカの1つくらいいいじゃないか、そう思って買える金額が300円だった。

 300円の自由もスイカが300円で買えるからであって、スイカが300円で買え

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日記・人間と文化の共存

 日々状況が悪化していくのが分かる。あまり気に留め過ぎると精神的に追い詰められてしまうので普段は深刻に考えないようにしている。

 明日から新潟県の苗場でフジロックが開催される。様々な思いが重なる。音楽を止めるな。しかし感染拡大はどうする。明日を生きていても文化が失われてしまった明日に生きる理由があるのか分からない。しかしその文化が感染拡大の一役を担ってしまえば誰かの明日はもう来なくなってしまう。

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日記・舞台挨拶が見たい

 うみべの女の子の映画が見たい。8月20日公開なのだけれどここは田舎で近くで公開を始める映画館がない。

 東京で舞台挨拶がある。なにもなければその回で映画を見たい。舞台挨拶があるとその映画を見る体験の価値が上がる気がする。

 うみべの女の子は2009年から2013年にかけて浅野いにおによって書かれた漫画であり、今回実写映画化となった。単行本が発刊された頃にリアルタイムで読んでいたので懐かしさが

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