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募集要項考

翻訳者を募集するにあたって、募集文面を考えなければならない。海のものとも山のものとも知れぬ呼びかけに人が集まるのか不安なところでもある。

こちらとしては多くの人に参加してもらいたいわけで、それなりにキャッチーな文言にしなければならない。とはいえ、こちらの作業の負担にも関わるし、最終的に質の高いものを作るのが目標なので、頭数が揃えばよいというモノではない。と考えて、条件を3つ付けることに。

1.読みやすい日本語に並々ならぬこだわりがある。
2.内科診断に大いに興味がある。
3.締切はキッチリ守る。

3から順番に説明してみる。いや、1から順でもいいのだけど。自分の中での重要度は1から順に高い。

ともあれ、3からいってみよう。ヒミツでも何でもないので言ってしまってもいいと思うのだけど、実は医療業界のヒトは締切にルーズなことがある。というか、非常に多い。人によっては、締切はあってなきがごとし、であったり、「締切が来てから仕事を始める」なんて公言する人もいる。プロの文筆家ではなく、通常の業務も抱えていて時間が取れないのは同業者としてよくわかるので、そういう方はそれはそれでいいのだけど、今回はそれなりの人数が関わることを考えると、そうでない人から募集することに。

2については、今回の本のメインテーマなので、「そこはあんまり興味無いんですけど」なんて人よりは、興味を持って取り組んでくれる人の方がよい。翻訳は地道で根気のいる作業なので、自分の興味のない文章を読み込んで日本語に変えていくのは苦痛以外の何物でもないはず。なので、内科診療とりわけ診断に興味があることは重要だと考えた。

で、最後に1。医療関係者だと、よっぽど英語に堪能で原書をすらすら読めちゃう人(そういう方も存在する)以外は、少なくとも一度は医学関係の翻訳本にお世話になったことがあるだろう。そこで問題になるのは翻訳の読みやすさである。読みにくい翻訳が散見されるのである。こういう翻訳本を読むと、内容を理解するのに苦労しているのか、英語から無理矢理日本語にした文章を読解するのに苦労しているのか分からないことまである。あれっ⁉こんなこと大声で言っていいのだったっけ?ひょっとしたら業界から干されるかも?と言う心配もなきにしもあらずなのだけど、大事なことなのでしっかり言っておこう。「読みにくい日本語は害である」と。というわけで、今回の翻訳者募集では、「読みやすい日本語に並々ならぬこだわりがある。」というのを第1の条件にした。どのようなこだわりの持ち主が参加してくれるのか楽しみなところである。