「や」とか「と」とか「か」とか
見出し画像

「や」とか「と」とか「か」とか

前回に引き続き、"and"とか"or"のお話。

 Symptoms include fever and night sweat.

なんて文章があれば、「症状には発熱や寝汗がある」と訳せばよい。発熱や寝汗以外の症状もあるだろうから、ここは「」と言うのが適切に見える。

 しかし、

mechanisms of hemorrhagic and ischemic stroke

とか、

Charcot’s triad of fever, right upper quadrant abdominal pain, and jaundice

の場合には、「出血性脳卒中や虚血性脳卒中の機序」とか「 発熱や、右上腹部痛、黄疸のCharcot三徴」と何でも「や」にしてしまうのは、ややよろしくない。これらの場合は、他にはなくキッチリ2つのうちの2つ、あるいは3つのうちの3つを挙げているわけで、それぞれ「出血性脳卒中と虚血性脳卒中の機序」「 発熱と、右上腹部痛(と)、黄疸のCharcot三徴」のように「」を使う。

 そういえば、日本語でも「AやBなど」と、AとBだけなのか、AとBの他にもあるのかわかりにくいふわっとした表現をする人が増えたような気がする。あくまでも個人的な感想だが。

”or”の場合も同様で、

Central hypothyroidism can occur as a result of pituitary gland dysfunction (ie, secondary hypothyroidism) or hypothalamic dysfunction (ie, tertiary hypothyroidism). 

という文章があれば、「中枢性甲状腺機能低下症は、下垂体機能不全(2次性甲状腺機能低下症)か視床下部機能不全(3次性甲状腺機能低下症)によって起こる」という風に、きっちり2つに一つであることを示すため「」にする。ここは「や」にはならない。


米国在住の内科・呼吸器内科・集中治療医。 『フレームワークで考える内科診断』(原題:Frameworks for Internal Medicine)は発刊になりました。