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続:【UXの失敗記録】なぜ、ばあちゃんはiPadを使わないのか?

ばあちゃんとiPadの奮闘記はまだまだ続く。前回である程度iPadの使い方を理解するも、基本的に忘れてしまうため一進一退の攻防になる。

こちらの予想は常に超えてくる。

ばあちゃんは、今まで生きてきた物理世界でのメンタルモデルをiPadに適応させている。

たとえばカメラのシャッターボタンを強く押してしまうため、連射機能が発動する。するとカメラロールが同じ写真で埋まってしまう。スクロールの概念がないため、前に撮った写真を見つけることもできない。

これによって写真が撮れていなかったと勘違いしていた場面もあった。

ばあちゃんのメンタルモデルへの理解がiPadを与える初期段階に足りなかった。

とりいそぎ、充電しっぱなしで普段目に付く場所に置いてもらうことにした。

が、そんなうまい話はなく、帰省したタイミングで衝撃の事実を知る。

裁縫が得意なのですぐ作ったそう。僕からすると完全にマジック。

壊れないようにお手製のケースとプチプチに包んであった。電源を切らなくていいことは理解してもらえたので一歩前進。

画像やテキストの送り方も実際にやりながら教えた。が、やはりすぐ忘れてしまった。

テキストに関しては音声入力も試したが訛りもあるため正しく認識せず、よりiPadに対する抵抗感が増してしまうため採用せず。

致命的だった。ATMのUIが限界のため言われてみれば納得であった。各アイコンだけでなく、テキストを入れる場所、トークルームの表示、交互に出てくる発話、そのものをまず理解しておらず混乱していた。

とはいえ、これは慣れてもらうしかないのでとにかくiPadに触る回数を増やす作戦に変更。インセンティブとして、ばあちゃんは石原裕次郎が好きなので、Youtubeで聞けることを教える。

その際に数回ほど、石原裕次郎関連の動画を再生しレコメンド動画を「石原裕次郎祭り」にした。このYoutubeの簡単さ(最短2タップ)とアルゴリズムに感謝。ちなみに関連動画は美空ひばり。

この作戦は成功したが、まだLINEには慣れていない。何度も画像の送り方をLINE電話で教えるが説明が難しく、ばあちゃん自信喪失気味。まずいぞ。

一方でLINE電話はほぼマスターしている。カメラとマイクの位置を把握しておらず手で塞いでしまうことが多いため、タブレットスタンドを送付した。送りつけ詐欺と間違われたが。

そして、僕が作った超大作のiPad取説を印刷しなかった父がここに来て活躍する。

正確には教えてもらったのではなくて、父が送る様子をばあちゃんが観察し学習したらしい。写真を送ることが目標になるためiPadは前より持ち運ぶようになったとのこと。出かける際はあの手編みiPadカバーが活躍している。

意外にもYoutubeは見ていないらしい。iPadは「せっかく諒くんに買ってもらったから、使いたい」とい理由で触るようになっていると教えてくれた。

単独で画像送信ができたことで自信をつけ始めている。次は「iPadは使えない自分」から「iPadを使える自分」へのアイデンティティの変化を促したい。

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