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嬉野の路地裏さんぽには、行き止まりがない。

嬉野温泉 旅館大村屋がお届けする「嬉野温泉 暮らし観光案内所」にようこそ。嬉野温泉に月1で泊まっている、ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。福岡県民です。

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今回は前回に引き続き、嬉野温泉街の路地裏にあるコーヒースタンド「おひるね諸島」よりお届けします。

イラストレーターの大門光さんとともに、コーヒースタンド「おひるね諸島」を運営する、さまざまな形態で作品をつくる作家の中村将志さん。

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作家・中村将志さん

路地裏さんぽを趣味にしており、ご自身のインスタグラムでは路地裏さんぽで撮影した写真に、一言コメントをつけた投稿を続けています。

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おひるね諸島にも中村さんの路地裏さんぽ写真が見られる

ぼくに「おひるね諸島」を紹介してくれた、旅館大村屋の北川さんはそんな中村さんの路地裏さんぽ投稿が大好きなのだそうです。

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そこで、今回は中村さんといっしょに嬉野の路地裏の魅力を知るため、一緒にさんぽしてみることに。皆さんも一緒に、嬉野の路地裏に出かけましょう。


嬉野温泉街、路地裏さんぽスタート

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――それでは路地裏さんぽ、よろしくお願いします。

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こういうのは初めてなので、どう歩けばいいか……。

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いやいや、いつも通りで!思うがままに行きましょう! 大塚さんは嬉野の街を歩いてますか?

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――いや、正直あまり歩いていないですね……。どう歩いていいかわからないですし。自由に歩いていいんでしょうけど。

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そうでしょう。旅行客の方は、外へはあまり出ないんですよね。中村さんは、けっこう草木や野花を持ち帰ったりもしますよね。

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最近はを拾っていますね。ある程度集まったら、お土産品として提供したら、かわいいかな~って。何が入っているかわからないけど。

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――すごっ。路地裏さんぽしながら、そんなことイメージしてるんですね。

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ん。あれは土地を掘ってたら出てきたんですかね。

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――えっ、なんですか?

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巨石

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あっ、そうでしょうね……。

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(パシャ、パシャ)

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そうそう、こうやって中村さんは路地裏で見つけたものを撮影するんですよ。そして、一言コメントといっしょに紹介するんですよね。

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――なるほど……。


川の中でなにかを発見

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我々は塩田川を渡り、向こう岸へ行くことに。

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すると、中村さんが何か見つけた様子。

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迷わず靴を脱ぎだす中村さん。

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え、入ります!?入りますか。濡れちゃいますよ。

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中村さんが拾う姿をじっと見つめる我々。

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陶器の破片だった

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佐賀って、こういうのがいっぱい落ちてるんですよね。どういう絵を描いてたのかなって、想像したりするんです。

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あぁ、なるほど。これは、なんか「家」っぽいですよね。

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屋根と窓?

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大塚さんがお住まいの、福岡にもこういうの落ちてます?

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――いや、落ちてないと思いますよ。笑 見たことないので、不確かですが。

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このへんは焼き物の産地なので、けっこうこういうのが落ちてますよ。有田の川なら、きっともっと落ちています。江戸時代の頃の陶器の破片とかもありますからね。

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――へぇ、そうなんですね。そういう情報を知ると、有田の川も見てみたくなりますね。川の中に陶器が落ちてるかもなんて、気にしたこともなかった……。


思ってたより「路地裏レベル」が高い

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塩田川を渡った我々。向こう岸で中村さんの足がピタッと止まりました。そこには路地裏が。

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え、ココ……?

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おっ。ここはツウですねぇ!

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ここイイですよねぇ。

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突入。路地裏って、こんなレベルの路地裏なんですね。なんかちょっと、ナメてたかも。思ってたよりも、だいぶ路地裏だ。

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すると、配管がたくさん見えるようになりました。なんだこれは?

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温泉の配管ですよね。

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そうですね。配湯所から送られている温泉の配管です。温泉街ならではの光景ですよ。手をかざすとちょっと暖かいんですよ。

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たしかに暖かい

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いわば、嬉野の動脈ですよ。血管です、血管。

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血管と言われると血管に見えてくる

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こういう「管」ってなんか、かっこいいですよね。

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――たしかに、なんかかっこいいかも。

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あれはなんですかね?メーター?

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これは温泉のメーターです。このメーターの数値を配湯会社さんが見て、値段を決めるわけです。水道料のメーターと一緒ですよ。

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――へぇ~、なるほど。大村屋の配管がどれか、とかわかるんですか?

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わかりますよ、これですこれ。(指さして)どの旅館の人もわかるはずですよ。

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――へぇ!そういうものなのか……。

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路地裏の先生(中村さん)と嬉野温泉の先生(北川さん)という「嬉野さんぽ最強タッグ」のおかげで、嬉野温泉の路地裏さんぽがだいぶ楽しくなってきました。


一見、小さなことでも疑問を持って考える

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その後も、ぼくが思っていたよりも、かなりレベルの高い路地裏を躊躇なくどんどん進んでいきます。

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ぼくが思っていた路地裏と違う

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これはなんで等間隔に橋があるんでしょうか……。

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謎の橋たち

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何の渡橋なんですかねえ。昔、小屋があったんですよね、ここに。でも、こんな細い橋にする必要はなさそうですよね。なんでだろう。

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かなり昔からありそうな橋ですよね。

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そうですね。橋はない方が水路の掃除はしやすいですけどね。何か理由があったんでしょうね……。

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ぼくが一人で歩いてたら、何も気にしなさそうな橋たち。

中村さんのように、こんな小さなところにも目を向けて、疑問を向けるようになると、もっと面白いことに気付けるのかもしれないなぁ……と勉強になりました。


魅力的かつ便利な「隠れシーボルト」

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我々は「シーボルトの湯」から、瑞光寺(ずいこうじ)方面へ歩き始めました。

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この道は路地裏ではなく、嬉野の通りでもある意味、一番メジャーな通りですよ。野畠(のばく)通りと言います。むかし、大村藩の参勤交代の時にお殿様が瑞光寺に泊まっていたんですよ。

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瑞光寺

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家来たちはお殿様を瑞光寺までお連れして、その家来たちが大村屋に泊まっていたんですよ。

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――へぇ~!やっぱり、大村屋の歴史はすごい……。

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あ、ここからは「隠れシーボルト」が見えますよ。

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――隠れシーボルト??隠れシーボルトって何ですか?

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あれです。

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中央のとんがった屋根が「隠れシーボルト」

――あー、なるほど。景色の中でひょこっと現れる「シーボルトの湯」の屋根のことを「隠れシーボルト」と呼んでいるんですね。

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嬉野の公衆浴場「シーボルトの湯」

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いやぁ、ここの「隠れシーボルト」いいですね。「マッサージ」と「キー坊」に挟まれた「隠れシーボルト」。

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マッサージとキー坊の間からひょっこり

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隠れシーボルトは見つければ楽しいだけじゃなくて、便利なんですよ。目印にもなりますよね、飲んで歩いて「ああ、あっちか」みたいな。笑

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そうですね。路地裏さんぽしてても「隠れシーボルト」を見つければ迷わない。

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北極星みたいな存在ですよね。「隠れシーボルト」の役割は大きいんですよ。

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みなさんも嬉野温泉街で路地裏さんぽするときは「隠れシーボルト」を目印にしてみてください。


嬉野の裏原で、謎の渡り廊下と出会う

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路地裏を探しながら歩いていると、自然と話題は「街」の話になります。

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嬉野の街は、昔と比べてどうですか。

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街のにぎわいとしては、もともと歓楽温泉街だったので、昔の方がありましたね。ただ、今の方が一般の旅行客が安心して来れる街にはなってるのかなあ、と思います。昔はなんか、お水系の怪しい人とか多かったんで。笑

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新たな路地へ

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おお、ここの路地はけっこう長いですね。

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ここはけっこう市民も通る道ですね。裏原宿的な。嬉野の裏原です。

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あっ、これ何でしょうね……?

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――うわっ、本当だ。何ですかね、これ。

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渡り廊下……?みたいですけど、繋がってはいないんですよね。両方繋がっていないのに、片方はかなり古い建物。このかなり古い建物の方に繋がっていれば「片方建て替わったのかな?」と分かるんですけどね……。

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路地裏を歩くと謎も多い

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――今思うと、小さなころはこんな路地裏を駆け回って遊んでいた気がします。なんか急に思い出しました。

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――小さいな頃は「私有地」という概念がなくて。よそのお宅の庭を「近道」といって、勝手に入ったりして、よく怒られてました。

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なんか路地って冒険っぽいですよね。

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――嬉野温泉に来て、ぜったいにこんな道は歩かないですよ……。

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路地に入ると、その土地の人たちの暮らしが見えてくるんですよ。そこが面白いんですよね。

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――たしかに。嬉野温泉街に住んで、毎日生活している人がいるんだな~、というのを実感できますね。


謎のカワイイ駐車場

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あれ、あの駐車場。花の絵が飾ってありますね。あれ、何でしょうか。

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月極駐車場の区分けが数字ではなく「花」

――うわ、ほんとだ。な、なんで……。笑

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幼稚園のクラス分けみたいで、面白いですね。

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花の名前を覚えられそうでいいですね。笑

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やはり路地裏には謎が多い


嬉野の路地裏は繋がっている

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そのあとも、なかなかディープな路地裏を歩き続けました。

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ホントに嬉野の温泉街の路地の多さにはびっくり。気が付けば1時間ほどずーっと路地裏を歩いていました。

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――「ここ続いてないよな……?」ってところでも、実際に歩いてみると、ちゃんと他の道に繋がっていて驚きました。

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たしかに。嬉野の路地裏はけっこう繋がっているんですよね。他の街の路地裏を歩くと、けっこう行き止まりなことも多いですもんね。

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行き止まりだと、けっこうショックですもんね。

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――嬉野は路地裏の行き止まりが少ないので、とりあえず信じて歩いてみると良いんですね。

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迷ったら「隠れシーボルト」を探せばいいですからね。とにかく信じて歩いてみたらいいんですよ。

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――道が暗いところなんて、見えてたところが一番暗かっただけで、歩くと道が開けてくるんですよね。

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「嬉野の路地裏は繋がっている、信じて歩こう」なんて、確実にこれまでの「嬉野観光」的な記事で取り上げたことのない視点だと思いますよ。笑

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「おひるね諸島」に帰還

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最後の路地裏を通り、おひるね諸島に帰ってきました。

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おひるね諸島に帰ってから、中村さん自慢のクラフトコーラをいただきました。

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クラフトコーラ 380円

スパイスの香りがさわやかでクセになるような味でした。美味しかった!また飲んでみたいと思います。

――今日は長時間にわたり、ありがとうございました!

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路地裏さんぽはどうでしたか?

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――これまでの人生で知ってる街の路地裏しか歩いたことがなかったので……。1時間も路地裏ばかりを歩いていると、脳がバグりますね。

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たしかに、知らない街の路地裏を歩き続けることなんてないですよね。

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――なんだか強制的に街へ愛着が湧かされるような、なんだか不思議な気持ちです。本当に今日はありがとうございました!

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前回に引き続き、2回にわたってお送りしてきた「おひるね諸島」シリーズは、今回で一区切りです。ありがとうございました!

嬉野温泉を訪れた際には、ぜひ中村さんと大門さんに会いに行ってみてくださいね。

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次回はとある洋服店の姉妹が生み出した「嬉野が誇る究極のゆるキャラ」が誕生した秘話をお伝えします。お楽しみに。

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