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頼られると成長をする

「自立するとは依存することだ」と、いう記事を読んだことがあります。反対に、依存されることで自立が促進されることがあります。

まず、私の状況を説明します。私は、アトピー性皮膚炎が持病です。そのため数種類の薬を飲んでいます。子どものころから、飲み薬を欠かしたことはありません。しかし、頻繁に飲み忘れます。

薬飲みのベテランさん

さて、私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所では、毎年、利用者の皆さんと一緒に旅行に行っていました。しかし、今はこの社会情勢行くことができません。まだ、私が現場で直接支援をしていたころの話です。私も一緒に旅行に行っていました。

その旅行に行ったときのことです。支援者が、食事のあとに利用者の薬の確認をしていました。そのとき、ふざけて私にも「髙橋さん、薬飲みましたか?」と聞いてくれました。それをある女性利用者が聞いていて、私に声をかけてくれました。

女性「髙橋さん、薬、飲んでるの?」
私「そう、飲んでます。でも忘れることが多いんですよ。いつも奥さんに教えてもらっています。」
女性「私は、忘れたことないです。ベテランですから。」

「髙橋さん、薬飲みましたか?」

私に話をしてくれた女性は、昔からたくさんの薬を飲んでいます。それを忘れず間違えず、しっかり飲んでいると言っていました。それから2泊3日の旅行中、夕食と朝食のあとになるとその女性が私のところに来て「髙橋さん、薬、飲みましたか?」と確認をしてくれました。

旅行中は、いろいろなことが起きます。食事中に急にトイレに行く人がいたり、先に部屋に帰りたいという人がいたり、勝手にカラオケを始める人がいたりなど、予想外のできごとが起こります。そのため、自分自身の薬を飲み忘れることがあります。彼女に声をかけてもらって助かりました。

頼られると成長をする

今から20年前、私に長女が生まれたときのことです。事業所で、娘が産まれる、奥さんが実家に帰る、そんな話をしました。すると、私に薬の確認をしてくれた女性が私のところに来て言いました。

「髙橋さん、薬、大丈夫ですか?私が電話で教えてあげましょうか。私、薬を飲み忘れたことはないんです。」

そのときは「もうすぐお父さんになるから、薬ぐらい自分で飲まなくちゃいけないから大丈夫です」と、お話をしました。彼女は、薬のことを覚えていてくれました。また、私のことを気にかけていてくれました。

福祉事業所を利用している人たちは、支援されることばかりになりがちです。しかし、その人が得意なこと、自慢できることがあります。その力を借りる、頼る、その関係も大事です。

誰かに頼られると、そのことで他のことまで成長することがあります。

まもなく娘が20歳の誕生日を迎えます。娘の誕生日が近づくとこのできごとを思い出します。

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