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最強の病院

緊急事態宣言が解除された翌日、私は東京の足立区にいました。今回も病院です。考えてみると、東京に行くときはいつも病院です。あらためて文字にすると少しだけ淋しいです。

神戸から北千住へ

私は、皮膚が弱く、子どものころからアトピー性皮膚炎の治療をしています。長いことステロイドの塗布薬を使っていました。たぶん、30年は使っていたと思います。それを結婚を機にそれをやめました。そのとき、リバウンドの治療をするために神戸にある病院に通いました。その神戸の病院の紹介でお世話になったのが、足立区北千住にある病院です。

その病院はとても小さな病院です。また、北千住界隈では人気の病院です。しかし、少し変わった病院です。

特別なシステムがいっぱい

その病院には看護婦さんがいません。もちろん受付の人もいません。院長先生一人で、すべてをこなします。5年ぐらい前に、受付が機械化されました。患者さんが来院すると、番号札を取るシステムです。その前は、自己申告制でした。患者さんが来院すると、玄関で先に来ていた患者さんにたずねます。「最後はどなたですか?」これが受付でした。

診察室に入ると、壁一面にカルテが並んでいます。そのカルテはアイウエオ順に並んでいるようです。インデックスは付いていません。それでも先生は、速やかにカルテを見つけます。「よくわかりますね」とたずねると、「自分で入れたところはだいたいわかるから」と、笑っています。

この病院は、診察時間もアバウトです。診察を受けていると電話がかかります。すると先生は、こう言います。「時間、いいから、涼しくなってから来て、いるから。」
一応、診察時間は決まっています。それでも先生は、患者さんが来れば診てくれます。夏場は熱中症が心配だから、暑い時間に来ないで欲しいと言います。

先生の魅力

またこの先生の一番の魅力は、患者さんの話を最後まで聴いてくれることです。患者さんを急かすことがありません。患者さんが思うまま最後まで話を聞いてくれます。その先生から、「じゃ、今日はこれで」と話を切り上げることはありません。この先生は、「これで…」と話を終わらせるのではなく、「それで?」と話を続けます。これって当たり前のようでなかなかできることではありません。

この病院に来る患者さんの多くは、年配者です。そうすると同じ話を何度も繰り返します。先生はそれでも、最後まで話を聴きます。

人は話を聴いてもらうだけで元気になります。ここは、行っただけで元気になれる、最強の病院です。



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