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人生のタスクについて考える

7月の後半になると思い出す悲しいできごとがあります。まもなくあの事件から5年です。その事件は、障害福祉サービスにたずさわる者たちがあらためて自分たちの仕事の意義について考えて襟を正さなければいけない事件でした。

事件の傷跡

相模原の事件から5年が経ちます。あの日の私は、子どもの学校行事があり、子どもを学校まで送って行く約束をしていました。そのためいつもより早くに起きてテレビをつけました。そのあとのことは覚えていません。ただ泣きながら車を運転して子どもを学校まで送って行きました。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。私たち支援者は、あの事件が残した傷跡について、日々、考えていなければいけません。しかし、日常業務に追われて忘れることがあります。そこでこの時期になると、あの事件以降、私たちは襟元を正すことができたのか、そこを考えるようにしています。

奥底にある危険な思想

私たちの奥底には、あの事件の根底にある思想の種が宿っています。その種を育てないようにしなければいけません。しかし、残念ながらその思想の芽が顔を出していることがあります。

私たちは、線を引きます。線をひくと線からこっちが〇〇で、線からこっちが△△ね、と区別をします。そのうえで良し悪しをつけます。それが差別につながります。

たとえば、一つの仕事に対して、それができる人、できない人に分けます。また、その仕事は納期が短いからという理由で、できる人にはがんばってもらい、できない人は他のことでもしていて…と、区別します。それは仕方ないことだと思っている支援者がいます。

私たちの仕事は、利用者が充実した毎日を送れるようにお手伝いすることです。それを忘れています。

人生の課題/仕事のタスクを見つける

障がいがあると、自分の将来を思うように決めることができないことがあります。多くの人は、様々な体験、経験を通して自分に合った仕事を見つけていきます。また最近の人は、いったん仕事についても自分に合わないからとすぐに転職をします。転職をすることがその人の才能になっている例もあります。

しかし、障がいがあると自分の強みを見つけることができず、もしくは強みを実際に活かせないことがあります。また、簡単に仕事や活動を変えることができません。そのために支援者がいます。私たち支援者は、その利用者の得意なこと、苦手なこと、好き、嫌いを見つけて、その人の人生の課題/タスクとマッチングさせていくことです。それをできる、できない、生産的、非生産的だけで分け、そこで終わりにしてはいけません。

「生きる」というタスク

私の主な業務は、理事長職です。幸いに私は、今の仕事で力を発揮できています。しかし、法人の仕事の中には、今の私には絶対にできない仕事があります。私が手をつけることで足でまといになる仕事もあります。そこでの私は、非生産的です。

私は、理事長という課題/タスクにめぐり合えたことで、充実した毎日を送っています。このめぐり合いを手伝うことが私たち支援者の役割です。やらせることが仕事ではありません。

タスクには、いろいろなタスクがあります。障がいのある人の中には「生きる」ということがタスクの人もいます。そのタスクをまっとうできるよう支援をしている人もいます。

あの日が近づくたび、考えることがたくさんあります。

連続投稿1000日まで、あと66日

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