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掃除のときのかかわり方

「〇〇さーん、ここお願いしまーす」「〇〇さん、ここにまだゴミありますよ」、障がいのある人が利用する事業所の掃除時間に聞くやり取りです。支援者が利用者に指示を出しています。このやり取りに違和感を感じます。

小さな事業所だったころ

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。小さな事業所が8つあります。昔は、無認可の事業所でした。無認可の事業所が集まってできた社会福祉法人です。無認可時代は、私も直接支援をおこなう支援者でした。そのころは利用者が10人弱の小さな小さな事業所でした。

私が勤務していた事業所には、常に支援者が横についていないといけない利用者がいました。その利用者が男性だったことから、私はほとんど付きっきりでした。たとえば、掃除をするときは利用者にちり取りを持ってもらい、私はそれを支えながらほうきを使っていました。雑巾をかけるときは二人で一枚の雑巾を使っていました。常に二人三脚でした。また、作業室も一つしかなかったので掃除も楽でした。最近は、事業所が大きくなり支援者が増えました。そのためやり方も変わってきました。その中に少し気になるかかわり方があります。

掃除の時間の声かけ

何かをするときに、役割分担は大切です。しかし、そこに上下関係を作ってはいけません。掃除の時間のことです。支援者が、ほうきを持っている利用者に向かって「〇〇さーん、ここお願いしまーす」と叫んでいました。利用者は「はーい」と言いながら、支援者のところに来てほうきとちり取りでゴミを集めていました。

また別の場面では、支援者がほうきを持っている利用者の後ろに付いて「〇〇さん、ここにまだゴミありますよ、しっかり見てください」と言っていました。

このような声かけを聞いていて違和感を感じました。

いまだに指導が残っています

支援者が「〇〇さーん、ここお願いしまーす」と言うので、そばにいた私がほうきを持ってゴミを集めに行ってみました。いちいち、遠くにいる利用者を呼びつけてゴミを集めてもらう必要はありません。支援者もほうきを持ってゴミを集めた方が効率的です。それなのに、支援者は声を出すだけです。

まだゴミがありますと、利用者に指摘をしていた支援者に「自分で拾った方が早くない?」と言ってみました。すると支援者は「一人でほうきを上手に使える練習をしています」と言います。しかし、その利用者の将来を考えたとき、その利用者がひとりで掃除をしなければいけない場面が訪れる可能性はほとんどありません。それよりは、支援者と一緒に効率的に掃除を終わらせるということを目標にした方が現実的です。

これらの声かけには、旧体質のやり方が残っています。旧体質は、支援者ではなく指導者です。福祉従事者はやらせる立場で、福祉利用者はやらされる立場です。

一緒にやろうと言ったら…

支援者に「一緒に掃除をしましょう」と伝えてきました。そうしたら支援者が掃除に夢中になり、利用者から目をはなしてしてしまいました。掃除の時間に利用者の転倒や利用者同士のぶつかりが増えてしまいました。

何かを伝えるのは難しいです。

連続投稿1000日まで、あと56日

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