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デザインスクール留学後、北欧のIT企業に就職した理由と経緯

アアルト大学IDBM卒業後、Schibstedという北欧の会社でサービス/UXデザイナーとして働いています。ここフィンランドで働き始めて1年強になりますが、会社のことやビジネスドメイン(北欧エリアにおける不動産事情)のことなど、少しずつ理解できてきた感があります。当記事では会社と、就職までのざっくりとした経緯について書きます。

Schibsted とはどういう会社なのか

日本で知られていない会社だと思いますが北欧エリアのメディア&テック・コングロマリットです。「シブステッド」と読みます。もともとは1839年にノルウェー国内で創業された小さな出版社でしたが、現在はスウェーデン、デンマーク、フィンランドにも支社があり、それぞれの国での主要なマーケットプレイスとメディア事業を持っているグループ会社です。

メディア事業

メディア事業だと、ノルウェーではヴェーゲー(VG)やアフテンポステン(Aftenposten)、スウェーデンではスヴェンスカ・ダーグブラーデット(Svenska Dagbladet)やアフトンブラーデット(Aftonbladet)など、誰もが知ってるニュースサイトを傘下に持ってます。

マーケット事業

マーケット事業だとフィン(FINN)(ノルウェー版メルカリ)やブロケット(Blocket)(スウェーデン版メルカリ)、トリ(tori)(フィンランド版メルカリ)など、北欧各国のメインとなるマーケットサイトを展開。Schibsted本体はノルウェーのオスロの証券取引所に上場しています。

Schibsted フィンランド支社について

僕はこのSchibstedのフィンランド支社(Schibsted Suomi)にいます。前述の通り、フィンランド版のメルカリであるtori.fiや、フィンランド最大の不動産市場サイトであるOikotieを開発・運営しています。サービスはフィンランド語で展開されていますが、フィンランド語をあまり喋れないこの僕がOikotieのサービスデザイン/UXデザインを担当しています。(これについてはまた別途書きたいと思います)

オフィスはヘルシンキの中央、エスプラナーディ通りのすぐ側、ストックマン(フィンランドの三越みたいなデパート)の向かいにあります。立地的に便利なオフィスです。

アルヴァ・アアルトの家具を売るためにできたArtekの家具店と同じ建物にあります。余談になりますが、この建物はエリエル・サーリネンというフィンランド人の建築家による作品です。アール・ヌヴォー様式の建築を多く手がけた人で、ヘルシンキ中央駅舎も彼の代表作品の一つです。

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ヘルシンキ中央駅

Schibsted に就職を決めたの3つの理由

1. 仕事の理由

IDBM卒業後、すぐにアアルト大学で研究助手/非常勤講師として働き始めました。デザインを教えるのがとても楽しく、まだ続けたかったものの、契約が満了に。他にアアルト大学が募集していた教授職は博士号が必要だったりと、自分相応のポジションがなかったので、割と致し方なく別の働き口を探したというのが大きい理由です。博士号のポジションの話もあったものの、自分の専門範囲からはあまりにも外れていたのでこれも見送り。
なのでフィンランド現地の企業に就職する道も模索。プロダクトデザインやUXデザイン系の求人をLinkedInで探し、2社に応募。両社とも最終選考まで進み、1社不採用になり、結果としてSchibstedに決めました。(面接の様子や就職活動の詳細なプロセスについても別途書きたいと思います)

2. 環境の要素

2018年にフィンランドに来て以来、この国をすっかり気に入ってしまいました。2022年の8月でフィンランド生活も5年目になります。豊富な自然が都市圏のすぐ近くにあり、ワークライフバランスが充実(これについては人それぞれなので、あくまで自分からしたらの感覚)しており、ぶっちゃけ東京でのワークスタイルにもう戻れないと確信したのもあります。フィンランドの人、社会的な仕組み、そして環境も自分に割と適合しているんだと思います。

3. 新たなチャレンジの土台

日本で7年間IT企業で働き、アアルト大学IDBMで修士号を取り、その後、人生の挑戦をどこに持っていくかという視点にたつと、やはり「外国の現地で自分は通用するのか」という問いが一番大きいように感じました。IDBM在学時は"学生としての言い訳”の様なものがあったものの、今度はプロとして現地の人と同じスピード、同じクオリティ、いや、さらに良いものを創出し、サービスや社会に対して価値を寄与できるのか。日本での就労経験はヨーロッパでも役に立つのか。現地語が喋れなくてもサービス設計ができるのか。。そのような疑問が自分の新しいチャレンジの土台になりました。

このnoteについて

このnoteはアアルト大学の修士課程から、研究助手/非常勤講師の活動を終えた後、僕のフィンランドでの人生チャプターの第2章として綴っていきたいと思い、始ました。日本で7年間デザイナーとしてのキャリアがあったものの、フィンランドはもちろん、北欧の会社で働くのは始めてのこと。不安とエキサイトが混ざった感情の合間でスタートした本章ですが、修士卒業後は日本に戻ろうと考えていた僕にとって大きな転換だったので、このジャーニーを書き留めておきたいと思います。

このままフィンランドに永住するのか、この会社にずっといるのか、いつかアカデミアに戻るのか、先のことは不明です。Schibstedも営利目的の上場企業であるため、業務の内容などもあまり詳しくは発表できないかもしれませんが、日々の気付きや自分のビジネスドメイン、そして北欧からのデザイン情報等について発信し、参考にしていただけたらと思います。

より細かなday to day thingsはツイッターにて呟いております。


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