
短編小説作品『虚実歌』
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短編小説作品を有料で公開します。
題名:虚実歌
読み:きょじつか
執筆:2012年8月(未発表)
校正:2020年2月
作者:石田諒
全量:5670字
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八月一日、水曜日。朝一番で髪を切りに行く。担当の美容師は先月、神津島に旅行に出かけたという。バックパッカー・映画制作・筋トレ、について話した。昼食は絹ごし豆腐一丁のみ。消費期限が一日過ぎていたが気にすることはない。ミニボトルの醤油を使い切った。最後の一滴はドロリとしていたように見えた。祖母が入所している高齢者介護施設に電話をかけ、退去手続きについて聞く。一三日の一四時にアポをとった。夕方、弁護士事務所へ。
詐欺罪は成立しない大丈夫 しかしそれでもシカトはマズい
八月二日、木曜日。人はやはりギャップが大事なのではないか。と、あらためてそんなようなことを考える。祖師ヶ谷大蔵、新宿、下北沢。今日は日に焼けた。日に焼けてしまった。日焼けはしたくない、なるべくならば。老いることは悲しいことなのだろうか。水分を摂取しすぎて腹を下したが、熱中症になるよりはマシだ。「では、明日またお電話いたします」本当は電話などしたくもないのだが。大きな音を受け止めたあとは静けさをうるさく感じる。
学ランが紅茶と緑茶持って聞く 飲み物おかわりいかがでしょうか
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長野県佐久市在住/クリエイティブユニット・換気扇とクローゼット所属/映像・写真作家/文筆家/noteでは主に思想や感情や記憶を綴っています
https://www.ryoishida.com/