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クリプト(暗号資産)の事はマーケティング目線ではこう見てるよ

いつか纏めてみたかったが日本で流れるクリプトニュースを見ていて思う事がある。
俺は海外でのクリプト(*以下いつもトークンと言っているのでトークンに統一)のマーケティングを行っているので実はビットコインが上がる、下がる、これ自体はあまり興味も無いし今保有しているのは去年sociosLocker Roomで購入した1万円分のトークンのみだったりする。

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ビットコインは基軸通貨なんて言われるがその所以はこれが唯一のオリジナルだから。(個人的な見解だが)
後発の様々なトークンがあるが基本的には多くのトークンがビットコインとペアで取引されるので人気が無くなればそちらに流れる、後はブランドマーケティングの様な目線で見ればビットコインしか成り立っていないから、これが俺が考える『機軸』の理由だ。
分かりやすく言えばビットコインって詳しく無い人でも知ってるでしょ?(それが何かはおいといて)これがブランドと言うものだ。
サッカーで言えばバルセロナとかメッシとか、サッカー知らない人でも世界中で知られているのがブランドだ。

マーケティングと言う目線でトークンを見てみる

多くの人は投機的にトークンや市場形成を見ていると思う。
それ自体は悪く無いし、色々なプロジェクトのトークンがあるのでゲームやコレクションみたいな目線で見れば結構面白い。
しかし仕事となれば話は別で、そのトークンにいかに価値を付けるか?(ブランド力を付けるか)この視点だと全く別の景色が見えてくる。

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トークン自体は基本的には民間が発行し、それをファンやユーザーが支える構造なのでよく法定通貨や何かしらの資産と並べられて議論されるがこれは少し違うと考えている。
その理由は様々なトークンの価値を決めているのはユーザーであり、彼らがいてこそ初めて価値形成が出来てくる。
トークン自体の対象はファンやユーザー、toCなのでそう考えればマーケティング自体がかなり重要になってくる。
しかしトークンマーケティング自体は恐らくまだ確立されていない、そしてあまり議論もされていない印象は受ける。
当然、値が上がる、下がる、と言うかなりキャッチーな現象に引っ張られるし理解も出来るが今後ビジネスやサービスに組み込むとなるとこの辺を把握していないとトークンエコノミーなるものは一生出来ない。

資金調達の様な目線で見ればクラウドファンディングとも比較されるがこれも的が外れている。
クラウドファンディングは一定期間の募集において、事前に設定したインセンティブを提供するがあくまでスポットの取り組みになる。
これはトークンエコノミーの目線で言えば流動的では無く、また常にユーザーとコミュニケーションを取る、エンゲージメントには効いてこない。

初めて買うなら何がいいか?

少し話は逸れるがマーケティング目線で初めて買うなら何がいいか?答えは退屈だが2つある。

①ビットコイン
②比較的安いトークン(10円以内、かつ変動が少なくキープされているもの)

①は前述の通り、ビットコインはトークン業界のバルセロナであり、メッシであるから。グッチとかNikeとかそんな感じ、まず外れ無い。
名前は忘れたがDiFiが始まった時に発行上限が少なくビットコインの価格を超えたものがあったが例外だろう。
②は若干ハードルが上がるが価格が安く、かつ変動が少ないもの。これは値段も安いし、発行側が普及を目指してコントロールしている可能性がある。
と言う事は何かしらのサービスの一部、無いしはユーザーを増やす目的があると考えられる。(全部調べてないけど)
国によって所得が違うため、やはり価格を安くすれば手にするユーザーの母数は増えやすくなる。
なので①は積み立てNISAの様な感じ、②はちょっと使ってみる(サービスがあれば)こう言う感じだと最初はおすすめだ。
全てでは無いが②のトークン自体は普及やサービス利用権が目的なので中々ビットコインの様には値段は上がらないと思う。
もし価格が上がったら発行元が売却して開発予算やPR予算に充てたいとかそう言った事情じゃないかな。

とにかくここ最近は細かく追ってはいないがあくまで個人的な見解だ、ただ俺も海外のプロジェクトは数多く訪問もしたしカンファレンスでも見てきたのでいつかタイミングがあれば書いてみたい。
オードリータンで話題の台湾なんかは非常に興味深い取り組みをしていたよ。

スキャム(偽コイン)をどう見るか

逸れたついでにもう一つ。トークン業界名物スキャムコインだ。
以前よりも少なくなったが今だに存在する、ただしこれは大きく分けて二つのパターンに分類される。

①純粋なスキャム
②本当に上場させたいがやり方が分からないゆえスキャムっぽくなる

①はトークン業界に限らず情報商材やその手のものだ、これはただの詐欺行為。見分け方と言われれば簡単だと思うしなんとなくイメージは付くと思う。
特にOTC(市場外取引)は日本居住者では違法だ、法律的にはグレーゾーンの部分はあるにせよあまりおすすめはしない。
とにかく海外の取引所では日本人が少ない、俺は現段階でもトークンに関しては日本人がさも詳しく扱ってそうなやつがいればまず信用はしない。
だいたい海外の取引所はそう言った人物は聞いた事も会った事も無いからだ。
②は少し物悲しいが日本には結構あるケースだ。16年だか17年だかにブームがあったと思うが法律も整備されていないので多くのスキャムが出てきてしまった。
ビジネスにしようと考えている会社や個人がそのスキャムのデザインや手法を参考にしてしまい、かつ海外の取引所とコミュニケーションが取れず、どうしたらいいか分からない。そして結果スキャム的になると言うケースが多い。
これは儲かりそうだから飛びついた、が正解だと思うし近年のタピオカブームも似た様なもの。
しかし構造を理解すればトークン自体はマーケティングが鍵を握るので(もちろんプロジェクトも)ある意味では事業会社経験などが無いと出来ないんじゃ無いかと思う。先のブランドの話にもあるがトークン自体は規制が無い状態から始まり市場としての年月が浅い。
一度スキャムイメージが付くとなかなか取れないので初動の綿密なマーケティングが必要なんだよな。
当然規制の部分も把握しないといけない、きちんと行政と確認をしていない様な所は論外であり、どうしても素人に見えてしまう

それと海外の魅了的なプロジェクトが日本に参入したい、なんて話はよくあるし俺たちにも相談はくる。
日本は言語も文化も独特な為、よく分からないエージェンシーにお願いをしたばかりに実はスキャム色が付いてしまった、なんてケースもある。
これに関しては単純なトライアンドエラー無い部分はあるが業界全体の規制にも影響が出るので気をつけて欲しい所だ。

DeFiをどう見るか

去年から流行りのDeFi(分散型金融)はマーケティング目線だとどう見るか?答えとしては現状ではまだなんとも言えないのが答え。
まず一般的な既存金融の目線で言えば仲介を挟まずに行えるのでBankは無くなるがBnakingは無くならない、と言うイメージが近い。
世界には銀行口座を持っていない、そして取引のスピードを上げる(銀行の手続きは国を跨ぐと面倒)などメリットは様々あるがこの仕組みも生まれたばかり、当然予期せぬリスクやデメリットもある。
実際に我々もDeFiはタイミングを見て挑戦をしてみたいが仲介企業(例えば銀行)がいないとなればやはりマーケティングでの戦略はtoCとなる。

トークン業界のマーケター

マーケティングと一括りにしても結構幅広い。やはり基本はブランドマーケティングが基礎だと思うが案外日本だとデジタルマーケティングが主流な気がする。

トークン業界のマーケティング、マーケターと言えばやはり市場をコントロールする担当の事を指し、マーケットメイカーを呼ばれている。
これはトークン業界が投機的な意味合いでの価値向上をメインとしているので(トークンの価格を上げる、価値ではない)マーケティング=マーケットメイカーと言う形になっている。
生まれたてのトークン自体はどんな優秀なプロジェクトでも土台がしっかりしていない、その支えとしてマーケットメイカーを活用するのはありだと思っている、当然資産として購入するユーザーもいるわけだから保全と言う言い方は妥当で無いにせよ安心感はある。

しかし本来であればその価値を付ける、決めるのはプロジェクトの拡大であり、ユーザーの信頼である為、俺自身はマーケットメイカー方式のマーケティングでは無く、事業会社が行う様なマーケティング手法をアレンジしている。
特に販促マーケティングの考え方はかなり取り入れた、日本のマーケティング手法はかなりきめ細かいのでトークン業界向けのマーケティングにおいては相性はいいと思っている。

ユーザーへのアプローチ

生まれたてのトークン、そしてそのトークンの魅了をどの様に伝えていくかと言う方法論はまだメディアにも出ていないと思う。
やはり日本人がグローバルで参画している数は少ないし、実務となればもう希少種だ。
当たり前だが日本にその情報が出てくる事は稀だろう。
俺も当初はトライアンドエラーの連続だったし、さらに広告の規制もある。
なので取引所やコミュニティ運営をしているスタッフ達、多分100名ぐらい意見を聞いたりとにかく調べた。

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その上で分かったのはトークンのマーケティングに関してはかなり属人的である、いわゆるインフルエンサーマーケティング的な手法が独自の形成をしていると言う事だった。
クローズドのインフルエンサーマーケティングと言うか中々興味深い形成をしていた。
何か機会があればトークンは関係無く、何かの商品や一般的な広告施策でも行ってみたいとは感じている。


具体的なトークンマーケティングの施策としてAMA(Ask me Anything)と言うPRやAirDropと言う手法は有名だと思うがこれもやり方を間違えると効果が無かったりする、そして国によって使用するツールも違う
トークン業界と言えばTelegramやWecahtが一般的なSNSだと思うが例えばロシア向けの場合だとフコンタクテとYoutubeのトレーディング動画、そしてビットコイン決済のアフィリエイトサイトの掛け合わせが効果が高い。

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実際に適切なアプローチを行えばユーザーへきちんと到達は出来る、これはトークン業界と言うよりかは一般的な広告なども同じ事が言える。

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そしてかなり面倒だなと感じた事が二つある。
一つはトークンマーケティングのデータを取る専用のツールが無いことだ。
例えば広告などはその様なツールが数多く存在するがトークン自体は無いので既存のツールをカスタマイズしなければいけない。
自社スクラッチも検討したがやはり検証を行わなければより良いダッシュボードも何も無いわけだから最初は苦労した。
二つ目は多言語化だ、最大で三十言語近く運用したがこれはつらい、しかし避けては通れない。
正直二度とやりたく無いレベルなのは間違いないが慣れといのは怖いもので一度経験すると案外捌ける様になるものだ。
スリランカや中東なんかはもはや読めない
そしてトークンマーケティングの仕事をしているやつもいない
なかなかメンタルが必要な作業だったな。

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顧客構造(トークンホルダーとトレーダー)

トークンマーケティングを行う上でやはり把握したいのが顧客(ユーザー)構造だ。
ここを分析する為に重要な事が三点ある。

①ユーザー目線(投機的、かつ保持をする)
②取引所目線(取引を多く行う)
③プロジェクト目線(トークン発行元、取引きも保持も程々にして欲しい)

ここで大事なのはあくまで取引所を中心としたトークンマーケティングであり、既存のサービスに応用した場合では無い事だ。(例えばゲームとか店舗で使用するとかでは無い)
そしてトークンマーケティングを行うので発行元の目線である、なので気持ちとしては

A)取引量を増やしてユーザーが増えれば価格は上がるが
B)保持も程々にして貰わないと急激なボラリティがつらい

と言うことになる。
そして対象ユーザーは世界中だ。
もっと簡単に言えば

C)取引所は『取引』が収益
D)発行元は『ホールド』して欲しい、がたまに取引して欲しい

利益相反と言うやつだ、だろうな、と思いつつもやるしかないと考えた。
こうなればかなり専門的にはなるがCRMやMA(マーケティングオートメーション)などを駆使して投機するユーザー、保持するユーザーを分析していかないといけないと言う事になる。

俺はこの様な構築の仕事をしていたから理解は出来るがそうでなければかなり難しいと思う。
そしてトークンの顧客構造はどの様な性質があるかをまずは調べ上げた

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さらに図の中にある、10〜20年ほど前の各企業の顧客維持の着想をメインい調べた、理由としては当時『エコノミー』と言うコンセプトで会話がなされていた記録があったからだ。
結論としては初期段階ではSONYを参考にした(ここに資料は載せれないが)

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恐らくこの辺まで読んでいる方は変態だと思うが案外ECや広告運用なんかの仕事をしている方は理解が進む気はしている。
この『ゆるく留まって貰う』これが案外難しいポイントなのだがAirDropやAMAなどでテーマを決めて行い、反応をきちんと見ていけばコツは掴めてくるものだ。PDCAと言うやつだ。

実際に取引所の新規顧客獲得や顧客の育成なんかも行ってきた。
詳しくは見せられないがここまでくればごく一般的なCRMマーケティングの様な形になってくる。

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コンテンツやホワイトペーパーの重要性

Telegramと同じくトークン業界ではMediumやホワイトペーパーは非常に重要だ。
個人的にはLiskの様にHPにホワイトペーパーやQ&Aが格納されているタイプは非常に好感が持てる。
これは当初言われていた事だが上場する際には大手とプレスリリースを打てば価格は上がる、みたいな事が言われていたがどちらかと言えばその内容が重要だ。
俺もトラッキングと言うシステムを使い多くの検証を行ったが多くのユーザーはきちんとプロジェクトの内容を確認してAirDropイベントやAMAに参加をしていた、この数値は想定よりも高く60%を超えるケースもあった。

他にも検証項目はあるものの単純にこの様な結果を見ていくとユーザーは換金目的で参加をしていると言うよりもトークンの将来性を重視し、ホルダーになる可能性が高いと感じている。
もしそうであればブランドマーケティングの様な構築がトークンには必要では無いかと感じる。

トークンの分析

ここまででの流れでもあくまで一部分であり、今まで存在していなかった手法なので非常に解明は大変ではある。

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上の図は実際の取引所のユーザーが行った取引とBot取引を行った分析の一部になる。
基礎集計のごく一部しか載せる事は出来ないがこの辺まで把握出来てくるといよいよトークンエコノミーをどう成立させるか?そして新規発行トークンはどの様にマーケティングを行うのか?
これが見えてくる。
これは言い切れるのがここまでやらなければトークンを扱うサービスは凡庸になってしまうし、他の領域の企業を巻き込む事は出来ないだろう。

最後に

ここからは最後に我々の宣伝をしておく。


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