見出し画像

スタートアップに必要な動き方とマインドセット ~アドカレ最終日にキャディでの9か月を振り返ってみる~

「物理的に書く時間がほぼゼロなので、マジで書けないんですけどどうしたらいいですか?w 代打お願いしたいっす・・・」

アドベントカレンダー、今年でキャディは2回目なんだなあとか、そもそもアドベントカレンダーっていったい何なんだとか、すっかり傍観者気分でいたら、突然代表の加藤からSlackが飛んできた。

よく見ると最終日のクリスマス当日25日の記事で元々加藤が締めくくるはずだったものだし、もう4日しか時間無いし(Slackメンションは21日)、みんな物理的に忙しいのか、突然のスルーパスを受けた同僚はみんな静観を決め込んでいるというキャディでは珍しい状況に。この人とか、あの人とか。

しまいにはおじぎスタンプをつけられる始末。。。

画像1

ということで、全然書く予定もなくネタもなかったけど、複数人のスルーパスをありがたく被弾して、いや、ありがたく頂戴して、キャディアドベントカレンダー2021の最終回のnoteを書かせていただくことになったのでした。

******

こんにちは!キャディで社長室長、兼コーポレート本部マネージャーをしております芳賀と申します。経営企画や財務経理、コーポレート全般(採用以外)を幅広く管轄しております。キャディには今年の4月に参画しました。新卒から9年間在籍した商社では東南アジアでの自動車販売+投資の仕事を、その後2021年3月末まで6年間在籍した外資系投資ファンドでは日本企業への投資・価値創造・IPOなどに取り組んできました。

キャディに来てから、事業拡大やらシリーズB資金調達やらで嵐のような9か月が終わろうとしていますが、せっかくの機会なので、今年の締めくくりとして、これまで「スタートアップ」という全く新しい環境で9か月間やってみて感じたことをつらつらと書きたいと思います。キャディとかスタートアップに少しでもご興味ある方の一助となれば幸いです。

この記事は、CADDi Advent Calendar 2021の25日目にエントリーしています。


1. キャディの9か月間で感じたこと

1-1. 「成長初期フェーズ」にいる

よくある企業のライフサイクルの話ですが、私が今まで主に事業側・投資側の双方で携わってきたのが成長期後期から成熟期の会社だとすると、当たり前ですが、キャディは導入期~成長期初期の状況。企業を経営し、価値を創造していくために必要な動き方(プロセス・仕組み・アクション)とマインドセットのすべてが違うと感じます。

画像2

ある程度成長をして成長期後期~成熟期を迎えている企業(大企業とか)はビジネス基盤や人材組織のベースがあり、成長といっても、既に存在する安定的な土台の上になされます。その中で、GDPが低位安定している日本では「年率10%~15%成長」を超えると高成長に入ってくる印象です。一方、スタートアップでは「T2D3」で年率200~300%成長が優良スタートアップにカテゴライズされる世界であり、更にキャディはそれよりも高い成長率を志向する中、必然的に求められる「動き方」は変わってくることになります。

成長率が高いということは、1年先にどんな会社になっているか、現在とはだいぶ違う状態になっており想像がつきにくいということにもつながります。成長できないことも当たり前にある中で、「大きくできるのかどうか」という不安と同時に、大きくできたら1年後にはどんな世界になっているだろうという「わくわく感」が併存します。

走るだけ走ってみて、ふと後ろを振り返ると「今年はたくさん変化があったな」とか「シリーズBってまだ4か月前のことか、はるか前のことに感じる」といった感覚です。そういえば私が商社で担当していた中国も、最後2010年に担当を外れてから2018年に再訪するまで、全く街の景色が変わっていたことを思い出しました。キャディではそのような変化が3か月~6か月単位で来るような感覚があります。

また、成長期の会社に身を置いていると、いわゆる「Hard Things」もたくさん発生します。ビジネスのことから人材組織のことまで。1か月とかではなく1日の中でも色々なことが起きます。お天気に例えると、朝起きて快晴であっても夜は暴風雨が吹いていることもある。だけど自然と目の前の大きな変化に慣れてきて少しのことでは動じなくなってくる感覚があります。ファンド投資をしていたときには、投資選定~実行~価値創造~売却/IPOにいたるまで、様々なスキルセットを駆使して戦う「総合格闘技」的な感覚を持っていましたが、スタートアップは、一日の中での大きな波の起き方とか精神的負荷があいまって、「毎日ルールが変わる変則ルールの総合格闘技」なのではないかと感じます。

1-2. 日常の動き方が違う

スタートアップを回していくために必要な動き方(プロセス・仕組み・アクション)について、これまで学んできたこととの差分で感じたことを少し書いてみます。

仮説検証:高速でPDCAを回す

成長フェーズでは、どの事業・取引がどういう風に伸びていくかはわからず、ある程度幅広く複数の事業・取引に取り組みながらどれか(あるいは全部)を大きな事業にしていくことが求められます。したがって、色々なことをプランして、試して、早めに見極めたりアクションの軌道修正をしたりすることが必要です。事業部全体で高速でPDCAを回すことで高い成長実現の確度を上げることにつながります。

一方、ある程度安定した基盤がある「成熟期」の状態では、安定基盤の改良(Improve)に時間が使われます。また大変な思いをして高速PDCAを回さなくても、安定基盤があるから焦って成長を作る必要もないし、高速PDCAを可能にする文化も醸成されにくい側面があると思います。しっかりと一つ一つの物事を検討し、ちゃんと実行することで「安定基盤の上の成長」を作っていく形が多いと思います。

事業計画策定/プランニングにおいても、スタートアップでは全くやり方が異なると感じます。1年のプラン、3年のプランを立てはするが、変化が早すぎて状況はすぐ変わるし、意味のないものになりうるので、あくまで羅針盤的なイメージです。一方、「3か月」がいわゆる「予算」の概念であり、この3か月のショートスプリントを繰り返し回していくことになります。1年が予算の基本である「成熟企業」とは時間軸の概念が異なり、結果的にスタートアップでは、とても濃密な「全力ダッシュ」を繰り返すことになります。

個人の日常業務においても高速PDCAの概念はとても大事です。10-20%の出来でもいいから「たたき台」を早く作ってアウトプットすることで、チームメンバーからのインプットをもらえ、徐々に完成品に仕上がっていく。そのためには多様なメンバーがいること、各個人が持つ強みを最大に活かせる環境を作ること、それを支える文化があることが大事だと思います。同時に、やらなければいけないことが無数にある中で、「本当にやらないとまずい重要なもの」を特定してそこから手をつけていく「リソース配分」もとても重要になってきます。

画像5

「非連続」を創るということの意味

スタートアップが「業界を変える」とか「新しい事業を作って大きく伸ばしていく」ためには、想像できる道を一歩一歩登っていくだけでは届きません。そもそもこれまで世の中に課題として残っていることを解決していくわけなので、普通の考え方をしているだけでは変革は起こせないはず。それを誰がどのように解決をしていくのか?そのためには「普通にやっていると超えられないような壁を大胆に超えていく非常識な一手」が必要になってくるはずです。

何か考えられないような投資やファイナンス施策で受発注プラットフォームのサプライの種類・規模を拡大したり、製造業全体の変革のために想像を超えた企業とのアライアンスを実現させたり。米国を見渡すと、例えばテスラは自動車業界に電気自動車というアングルから参入し、投資家から継続的に資金を集めながら開発投資を行い続けることで(直近のバッテリー製造工場も1兆円超えの規模感!!)、品質問題を抱えながらも、「非連続」を実現しつづけてきています。結果的にテスラの時価総額はグローバル主要自動車メーカー7社の時価総額をも上回るようなところまで来ています。

前職にて私がファンド投資をしていた時にも、Organic Growth(現状の延長線上でのアクションを実施することによる成長)に対比する言葉として、"In-organic Growth(非連続成長=M&Aなどの外部サポートを活用した成長)"という言葉はよく使われていました。が、スタートアップではより広義に、「壁を大胆に超えていく非常識な一手」として「非連続」という言葉を捉えていると思います。

画像4

1-3. 求められるマインドセットが違う

次にスタートアップ固有で必要なマインドセットについて感じたことを書いてみます。

チャレンジしていることを自覚する

LinkedIn創業者のリード・ホフマンの名言に「スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機を作るようなものだ」という言葉があります。スタートアップで事業を大きくしていこうとすること自体はとても大変なことであり、勝手に自分の"comfort zone"(不安にならない行動範囲)から脱せられる出来事が数多く起きます。そんな大変な状況を乗り越えるには、「心の持ち方」が大切だと思っています。

チャレンジするということは、必然的に、自分が達成できないことが多くなります。今まで比較的安定した企業で働いてきて「成功すること」に慣れている人がこのような環境に来ると、「できないこと」に対してばかり目が行きがちになり、自己肯定感が落ちることもありがちです。だからこそ、そもそも難しいチャレンジをしていることを認識するのはとても大事だと思います。逆に不安がなかったらそれはチャレンジではないかもしれません。そしてチャレンジは人を成長させ、チャレンジを乗り越えた人が事業を成長させるはずだと信じています。

それと同時に「自分がそもそもできること」をちゃんと認識して、どこかに「自信」や「心のよりどころ」を持つことも極めて重要です。それは会社・事業を成長させていく上でも、個人が業務レベルで仕事をするときでも。チャレンジをする前提としてしっかりとした心持ちがあるからこそ、思考が正しく働き、良いアウトプットを出せるようになり、ポジティブな方向に物事は動き出すと思います。

キャディでも「MVP」や「解放賞」といった四半期に一度の表彰制度を導入していますが、その受賞率たるやとても低く(該当者なしというのが頻繁に起こる)、まさにこのようなチャレンジをして、不安と闘いながらも大きく成果を上げられたからこそのご褒美として与えられる名誉だと思います。

画像6

自分たちが成功できることを楽観的に妄想する

誰もが解決できていない課題に取り組んでいるからこそ、例えばキャディが手掛ける製造業の「調達」マーケットのTAMは数十兆円規模と広大であり、同時にとても攻略が難しくもあります。やっていてもうまくいくことよりもうまくいかないことの方が多く、「本当に成長できるだろうか」とか、「このままのやり方で良いんだろうか」とか、疑問がわくことも日常茶飯事です。そんな中でぶれずに目標達成に向けて前進し続けるためには、良い意味での「楽観的妄想」が重要だと思います。

キャディがシリーズBの資金調達を行った際に海外投資家の一社が言っていたコメントがとても印象的でした。

"Very big idea - somebody will build it because it's needed. And we believe you will build it."(「とても壮大なビジネス構想だね。でも世の中で必要とされているから誰かがいつか実現するであろう。そして君たちがそれを実現できると信じている」)

難しい課題に立ち向かっているので本当にできるかなんて誰もわからないのですが、それを実現できると信じて取り組むしかありません。企業に投資をしてくれる投資家もそのような楽観的妄想をできるチームにベットして投資をしているのだと感じました。

""

画像7

アンラーニングは大事

最後に、これはもう色々な人が話していることではありますが、、、改めて「アンラーニング」はとても大事だと実感します。過去の成功体験に捉われず、過去の常識を捨てて、改めて必要なことを学ぶ姿勢は必要不可欠だと思います。それは、スタートアップにいない人がスタートアップに来ると、これまでと全然違うゲームを戦わないといけないからです。「誰もが難しくて解けない問題を解く」ことはこれまでにやってきたチャレンジとは別物なので、それに合わせた戦い方とマインドセットを一から学び、身に着けていくことが大事です。

1-4. 製造業って奥深い!

私は一応大学は工学部卒で理系の「モノづくりの世界」に足を踏み入れていた人間ではあるのですが、改めてキャディでお客様から受注をし、最適な製造パートナー様に発注をし、検品、組立、納品をするプロセスを肌で感じると、「本当にモノづくりの世界は奥深い!」と感じさせられます。

実際、QCD(Quality / Cost / Delivery)の3点に対する要求がとても高いのが製造業であり、キャディがお付き合いさせていただいているお客様も大企業の方々が多い中で、モノを正しく作り、性能要求に応える形で最終的に納品まで完遂することはとても大変です。ある程度付き合いが長いお客様であれば次第にすり合わせができてくるのでまだ良いのですが、キャディは絶賛成長途上で、多くの新しいお客様との取引を拡大させることで成長しているので、QCD要求に応えていく大変さが必ず付きまといます。

画像8

図面通りに作っているけれどお客様の求める品質とはずれたり、正しく作れたとしてもモノを運ぶ間に傷がついたり塗装が剥がれたり、検査までしっかりとやって出しているはずなのに検収でエラーが出たり、製品納入に必要な調達部品点数が多すぎてモノの管理が大変だったり。。。

リアルにモノが動く世界はとても大変です。キャディはこのリアルの世界を「テクノロジー×オペレーション」を使って変革しようとしており、それがゆえに、テックとリアル、売買双方に絡む、物流もある、この事業を回すために多様なバックグラウンドを持った人たちが絡んでいる、といった形で、スタートアップの中でもなかなか複雑な部類に入るビジネスを展開しています。それがまた事業の難易度を高くし、同時に「製造業の調達」というリアルな難しい領域に正面から向かうチャレンジを楽しいものにしていると思います。

今日この記事を書いている裏側では、加工会社様の現場において、職人さんが高いプロ意識をもって、深夜まで一つ一つの加工作業やら組み付けやらに取り組んでくださっています。そんなモノづくりの現場を知れば知るほど、キャディが掲げる「モノづくり産業のポテンシャル解放」を実現していきたいと感じます。

2. おわりに - 2022年に向けて -

キャディでは、これまで創業以来、4年間にわたって取組んできている受発注プラットフォーム事業を拡大するのみならず、自社テクノロジーの外販によるSaaS事業やファイナンス事業、海外展開、などに同時並行的に取り組むことで、周辺領域も含めて事業を拡大させていく計画です。

画像3

2022年に向けた「羅針盤」としての1年プランはあるものの、目の前には常にチャレンジがある状況なので、次の1年間で事業をどのように成長させていけるか、2022年末にはどんな状態で年末を迎えているか、今からとても楽しみです。大変なことは引き続き色々とあるとは思いつつ、その不確実性を楽しみながら今後とも取り組んでいければと思っています。

******

最後に、キャディでは今後の成長に向けて一緒に取り組んでいる「仲間」を大絶賛募集中です!!!この難しいチャレンジに是非とも取り組んでみたい方、少しでも興味を持った方はカジュアルにお話させていただけますと嬉しく思います。私が管轄している社長室・コーポレート関係だけでも、コーポレート実務全般を統括できるマネージャー人材やら、経理財務マネージャー、法務責任者、情シスマネージャー、広報PR責任者、物流企画責任者等、一緒にキャディの成長を作っていっていただける方々を全方位で大募集しております。(詳しくは採用ページをご覧ください)

少しでもご興味を持っていただけましたら是非下記リンクよりご応募いただけると嬉しいです!!

■募集リンク
コーポレート全般統括(グローバルコーポレート)
経営企画・社長室
経理
法務
広報・PR
グローバル物流企画責任者

最後までおよみいただきありがとうございます。そして、2021年も誠にありがとうございました。また来年もどうぞよろしくお願いいたします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?