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よりよく生きよ-ピエタ/大島真寿美

<エンタメ小説07>

あらすじ

2012年本屋大賞第3位!!
18世紀、水の都ヴェネツィア。
ゴンドラが運んでいくのは、
秘めた恋とかけがけのない友情――
生への限りない祝福に満ちた感動作!

18世紀ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、
孤児たちを養育するピエタ慈善院で、〈合奏・合唱の娘たち〉を指導していた。
ある日教え子エミーリアのもとに恩師の訃報が届く――
史実を基に、女性たちの交流と絆を瑞々しく描きだした傑作。

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作中のヴィヴァルディは架空の人物だと思っていたが実在の作曲家である。

そういえば小学校か中学校の音楽の授業の時なんか出てきたような気がする。

僕は「クラシック聴きますね。いろんな発見があるんですよ。」と言ってしまうバンドマンではないので無知である。

しかし読後、ヴィヴァルディの四季の「春」という曲を聴いてみたのだが、誰でも耳にしたことのある名曲で、きっと生まれた時から、いや生まれる前から母親の胎内ですでに聴いていたように脳が憶えていた。


中学校の合唱コンクールは女子が「男子ちゃんとやってよ!!」と言われるのが常だが、僕は「かったりー」とか表情には出しつつも実は合唱が好きだった。

実際3年間で賞をとり逃したことはない。

これは男子への裏工作をした自分の功績なのではないかと思っている。

音楽の教師は「じゃあ勝手にしなさい」とかなんとか言って、学級委員長が職員室まで呼びに行き、練習が再開され団結力アップにつながる。というのはすでに指導案に盛り込まれているというのは有名な話だが(?)

実際僕はクラスを盛り上げるためボイスパーカッションの真似事し、しこたま怒られた経験がある。

それぐらい合唱が好きだった。

ちなみに金賞は一度も取ったことがなかった。

それには理由がある。

2年生の時に転任してきたユーモアたっぷりで生徒を引っ張る系の先生が自由曲であるゆずの「友達のうた」をなんと、前後左右に揺れる動き付きでやりやがったのだ。

毎年毎年マンネリ化してしまい生徒の居眠り行事となっている合唱コンクールでは前衛的なものであったらしく、金賞をかっさらわれてしまった。

3年生の時もまさしく同じ先生にしてやられた。

自由曲は大体人気曲が決まっておりその中から選ばれるのが暗黙の了解化しているのだがまたもやこの先生がどっかから拾ってきたかわからない超無名な曲をやらせ、毎年毎年マンネリ化してしまい生徒の居眠り行事と〜〜〜、金賞をかっさらわれてしまった。


この「ピエタ」は愛されていた「先生」の死後、その生徒たちと関わりがあった人たちの間にある絆と奇跡の物語である。

ラストの伏線回収で読後はなんとも言えない素敵な爽快感が、ちょっとだけ哀しい。

「より良く生きよ」というのがこの小説のテーマなら、ちょっとはより良く生きてみっかー、となってもいいかな。

僕の前で金賞2回も掻っ攫った先生、こういう気持ちだったのかな。


2020:09

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