アンティークカップとヴィンテージカップ
アンティークという言葉とヴィンテージという言葉。
大まかなニュアンスとしては、アンティークはとても古い。ヴィンテージはまぁまぁ古いといった感じだと捉えていますが、カップはもちろん、家具や時計、ジュエリーなどいろいろな業界で使用されていて、業界ごとに少しずつ違いがあるようです。
ヴィンテージという言葉はもともとワインの製造年代を意味する言葉です。カップについてもある程度年代を経ていて、なおかつ質が良く、鑑賞に値するものに対して使用されています。
25年以上であったり50年以上といった目安をもって語られる場面が見られますが、具体的な定義はありません。
アンティークという言葉の語源は、ラテン語のアンティクウス(Antiquus、古い)で、フランス語のアンティークという言葉に至るまでに古くて美しい品を指す意味を含むようになりました。
そしてアメリカの通商関税法では100年を経過した工芸品に対してのみアンティークとする定義がなされているため、カップについてもそれに基づいて語られる場面も多いですが、カップに対しての正式な定義ではありません。
つまりアンティークカップとヴィンテージカップの定義も境界も非常に曖昧であるということになります。もちろん明確な正解、不正解はありません。
上記を踏まえて、ここからは私見を述べていきます。
画像は250年を経過したマイセンの染付のカップです。紛れも無いアンティークカップだと捉えています。
こちらは40年ほど経過したマイセンの上絵付けのカップです。巧みな手仕事が楽しめる素晴らしいヴィンテージカップだと思います。
こちらは(2021年現在)95年ほど経過したロイヤルドルトンのカップです。薄手の磁胎には手仕事によるエナメル彩色が施されています。暗黙の定義になりつつある100年という数字には達していないものの、アンティークカップとしての魅力を備えた本品について、私はアンティークカップとして捉えています。
アンティークだから素晴らしい。ヴィンテージだから味わいに欠ける。
などと短絡的に捉えることなく、カップそのものを見つめて、曖昧だからこそ相応しい言葉を選んでいきたいと思っています。
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