フジロックがない夏が、終わった。
初めてフジロックに行ったのは、2010年の夏。当時の僕は大学3年生。まだ心のどこかで、音楽ライターになることを夢見ていた頃だった。
今はなきオレンジコートで、泥だらけになりながら踊り狂った、ダーティー・プロジェクターズ。
トライバルでフリーキーなビートの上で縦横無尽に展開する、緻密なコーラスワークと混沌フレーズ満彩のきらびやかなギターサウンド。
頭も体も、文字通り全部が全部、あのステージに持っていかれた。
最終日のホワイトステージで、「多幸感」が明確な形を伴って押し寄