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仕事でアメリカへ戻ることの意味

様々な状況もあり、今は日本へ帰国していますが何故アメリカで働くことを決断したのかについて綴ってみたいと思います。どうしてもNBAの舞台で働けるという「夢だけ追っている」という風に捉え方をされがちです。その中でえとみほさんの24時間限定で無料公開しているnoteは共感できる考え方が詰まっていました。

アメリカに留学し、そのままインターンをして就職する。これはよくあるパターンであり、その場にいるからこそ実力やタイミングや運などで引き寄せることは十分可能です。さらには学生ビザ(OPT)を1年延長させて、現地で働くスタートを切ることも通常よりは楽なのです。

ですが一度日本に帰国してしまうと、再びアメリカに戻るということは非常にハードルが高くなります。それは都会から地方へ行く場合の考えと似ているかもしれませんが、生活拠点がその場で確立していて重い腰を上げるパワーが何倍も必要になります。それと同時に「ビザ」というのが大きな壁となります。

アメリカのスポーツ界で働くぞ!とどれだけ意気込んで、能力と経験が認められてもその”権利”を得るのが困難。

英語でいうと、Uncontrollableな要素が多い。自分の力ではどうにもならないことが数多く潜んでいます。トランプ政権以降はこのビザ取得が更に困難となり、制限も出てきている事からスポーツ球団もこれを提供することに少なからず躊躇が増しているかと思います。

結局はこの「ビザ」がないことには何も始まらないのです。よくアメリカで働くためには何が必要?と聞かれますが現実的な話をするとこの権利を得ることです。もちろんその中にはこれまでの経験、コミュニケーション力などビザ申請をするに値すると思ってもらうことが第一です。

このビザを出してもらえるというのはそれだけ有り難いことであり、挑まない理由はないと思わせてくれます。

常に歩み続ける「不安定の中の安定」**

メジャーリーグの世界で通訳をしていた頃から常に不安定の中の安定を歩んできました。自分ではどうしようもない状況で仕事を失うこともあり、何度か「無職」な状態にもなりました。それでも翌年には運やご縁のおかげで繋がってきました。そして日本でもフリーランスという働き方を選択しましたが、いずれこの働き方が「守り」となってしまっていたのです。

いつまで過去の遺産で食っていけるのか。その不安は常に付き纏いました。通訳はあくまでも通訳としてしか見られない。そんな経験も多々ありました。その中で外資企業のローカライゼーションであったり、ライターという書く仕事をしたり、「脱通訳」の経験も重ねてきました。それでもまだ足りない。今でもウィザーズでは通訳しているの?と聞かれることがあります(まだまだ道は遠い)。

そのため今回の渡米というのは、不安定の中の安定を得るためのものでもあると思っています。もちろんバスケットボールは大好きです。NBAで働くというのは夢としても掲げていました。でもそんなシンプルな決断ではありません。この5年間日本で積み重ねてきたものを一度白紙にする必要もありました。結婚もしています。東京に車も家もあります。

それでも短期的な安定を捨て、再びアメリカへ戻るという不安定を追いかけることは自分が成長するために必要な決断でした。客観的に自分の「価値」を考えたときに間違いなく、これは必要なことだと。

常に自分のキャリアを長期的な視点で見る。目先の利益ではなく、将来の財産になるかどうか。もちろんこんなチャンスは人生に一度あるかないか。その夢の部分もあります。その仕事を選ぶことは面白いと思えるかどうか。自分の中でもそこに行く?と驚きの要素を持てるかどうか。どんな条件であっても、そういった選択をしていけるのであれば、改めて不安定の中の安定が最高に面白いのではないかなと思っています。


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