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土星の衛星タイタンの湖は、2°Cの変化で大きく変わる

こんばんは、りょーです。

今週も始まりました、「日刊天文マガジン」。毎日更新される最新の論文をピックアップして、天文学の最先端をお届けしております。

今日は土星の周りを回る衛星タイタンにある湖の話。10年ほど前に安定的に存在する湖の存在が明らかにされましたが、今回はその湖が温度によってどう変わるかを明らかにした研究を紹介します!

今回も英語の概要を載せておきましょう!今回は個人的にもわからない単語をいくつか検索しないといけなかったり、少し予備知識が必要そうな感じがするので、★★★ですかね。ちょっと他の論文に比べてら読むのに手こずりそうな雰囲気があるかと。

チャレンジしがいのある論文だと思うので、英語の勉強がてら取り組むのもありです!興味がなければスルーーーーーーーー。

Saturn's moon Titan is the only extraterrestrial body known to host stable lakes and a hydrological cycle. Titan's lakes predominantly contain liquid methane, ethane, and nitrogen, with methane evaporation driving its hydrological cycle. Molecular interactions between these three species lead to non-ideal behavior that causes Titan's lakes to behave differently than Earth's lakes. Here, we numerically investigate how methane evaporation and non-ideal interactions affect the physical properties, structure, dynamics, and evolution of shallow lakes on Titan. We find that, under certain temperature regimes, methane-rich mixtures are denser than relatively ethane-rich mixtures. This allows methane evaporation to stratify Titan's lakes into ethane-rich upper layers and methane-rich lower layers, separated by a strong compositional gradient. At temperatures above 86K, lakes remain well-mixed and unstratified. Between 84 and 86K, lakes can stratify episodically. Below 84K, lakes permanently stratify, and develop very methane-depleted epilimnia. Despite small seasonal and diurnal deviations (<5K) from typical surface temperatures, Titan's rain-filled ephemeral lakes and "phantom lakes" may nevertheless experience significantly larger temperature fluctuations, resulting in polymictic or even meromictic stratification, which may trigger ethane ice precipitation.

"Stratification Dynamics of Titan's Lakes via Methane Evaporation" Jordan et al. 2020

さて、それでは本編スタート!!

今日は土星の周りを回る衛星「タイタン」についての研究です。
ニュースとかで聞いたことがある人も多いかと思います。

こんな感じの姿。

画像1

なんもないように見えますよね笑

タイタンは土星の周りを回る衛星の中で、最も大きい衛星です。太陽系の中の衛星では2番目の大きさだそう。

1655年に望遠鏡で発見されたこの衛星は、これまで注目を集めてきました。1997年には土星探査機カッシーニがアメリカとヨーロッパの合同で打ち上げられ、そのミッションの中で、急接近を数十回と試みてその表面の研究が一気に進みました!

そのときの取られた写真がこちら。

画像2

さっきののっぺりした写真とは異なり、凹凸があることがわかります。

そしてこの画像にも映っている青い部分が、タイタンの表面にあることが明らかになった湖です。しかも一時的に存在しているわけではなく、地球にある湖同様に、安定的に存在しているというから驚き!!

しかし、地球の湖が水である一方で、タイタンにある湖は違います。その主成分はメタンやエタンといった炭化水素です。あまりピントこないかもしれないこいつら。地球上で取れる天然ガスの大部分がこいつらです。可燃性ガスですね。

燃えそうだし、くさそうだし、人間にとってはお世辞にも快適そうな衛星とは言えませんね笑

可燃性ガスという認識でいてもらっていいのですが、土星表面がマイナス180度程度と非常に寒いため、液体で存在することができるわけです。そしてそいつらが安定して一箇所に存在しているので湖となっているんですね。

一部では、この湖は地球の湖と同様に考えられるとする研究者がいるそうで、地球でいう水の役割を果たし、生命誕生の要因になる可能性も考えられています。

詳しい理由は省きますが、メタン・エタンというのは炭化水素といって炭素も含まれています。つまりこの炭素が生命誕生に重要な役割を働くのではないか、ということですね。

今回はこのメタンやエタンでできた湖が、温度によってどのように形態を変化させているかを調査した研究です。

研究の結果、-187.15度と、-189.15度のわずか2度の差でこの湖は大きく変化することがわかりました。具体的にはメタンとエタンの配合が変化するということです。

-189.15度より低い状態では、湖を形成しているメタンとエタンが湖中で完全にそうになって別れる状態を作ります。一方で-187.15度以上(2度上がる)と、この2種類が綺麗に混ざり合うようになるそう。

タイタンの表面はこの2度の差を跨ぐように、だいたい5度程度の変動を繰り返しているそうです。つまり、この湖は温度によってメタンとエタンの層を形成したり、混ざったりを繰り返しているのだとか。

ちょっと前に書いたように、一部の研究者はこの湖が地球の水でできた湖と同じように、タイタンでの生命活動を助長する可能性が考えられています。しかしあくまで可能性で、もしかしたらこの湖の層の変化というのが、何かのトリガーになるのかもしれませんね。

しかしこれまでにメタン、エタンによって生命が誕生したことを発見したり、その起源が明らかになったことはないので、なんとも言えませんね。もしかしたら、後々すごい発見になるかもね!!という研究でした!


いかがでしたでしょうか?他の惑星や衛星の話は、今後地球外生命体が見つかったりしたらすごく発展していきそうな分野なので、こういった細かい研究もしっかりと追っておきたいな、と思わされましたね。

話は変わって部分日食、どのくらいの人が見えたのかな?東京は雲でみれませんでした。。。見れたら感想とかも聞かせて欲しいです!

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それではまた明日!!

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