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10年以内に他の惑星で海が見つかるよ(予言)

こんばんは、りょーです。

今日の「日刊天文マガジン」は、太陽系に非常に似た惑星系を持っていることで話題になった TRAPPIST-1(トラピスト-ワン)について!この惑星に海があり、生命圏が形成されているか、の研究を紹介します。

今回も英語論文にある概要(アブストラクト)を載せておきます。今回のアブストラクトの難易度は★★☆といったところでしょうか。

少し長いけど中身は割とシンプルだと思うので、是非チャレンジしてみてください。興味がない方は完全スルーで大丈夫です!

The nearby TRAPPIST-1 planetary system is an exciting target for characterizing the atmospheres of terrestrial planets. The planets e, f and g lie in the circumstellar habitable zone and could sustain liquid water on their surfaces. During the extended pre-main sequence phase of TRAPPIST-1, however, the planets may have experienced extreme water loss, leading to a desiccated mantle. The presence or absence of an ocean is challenging to determine with current and next generation telescopes. Therefore, we investigate whether indirect evidence of an ocean and/or a biosphere can be inferred from observations of the planetary atmosphere. We introduce a newly developed photochemical model for planetary atmospheres, coupled to a radiative-convective model and validate it against modern Earth, Venus and Mars. The coupled model is applied to the TRAPPIST-1 planets e and f, assuming different surface conditions and varying amounts of CO2 in the atmosphere. As input for the model we use a constructed spectrum of TRAPPIST-1, based on near-simultaneous data from X-ray to optical wavelengths. We compute cloud-free transmission spectra of the planetary atmospheres and determine the detectability of molecular features using the Extremely Large Telescope (ELT) and the James Webb Space Telescope (JWST). We find that under certain conditions, the existence or non-existence of a biosphere and/or an ocean can be inferred by combining 30 transit observations with ELT and JWST within the K-band. A non-detection of CO could suggest the existence of an ocean, whereas significant CH4 hints at the presence of a biosphere.

"Distinguishing between wet and dry atmospheres of TRAPPIST-1 e and f" Fabian et al. 2020

今回研究の対象になったのは、2016年に「太陽系に非常に似ている惑星系がある!」として話題になったTRAPPIST-1のわまりを回る惑星です。

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画像で見ると非常にわかりやすい!中心に太陽のような恒星TRAPPIST-1があり、その周りを7つの惑星が回っている、というのがこの惑星系の特徴。

惑星の周回距離には「ハビタブルゾーン」と呼ばれる領域があります。
これは字のごとく、ハビタブル、つまり生存可能であるかどうかの一つの指標ということです。

太陽から見た地球、火星のように生命が住んでいけるであろう距離感のところにあるかどうかを、ハビタブルゾーンに惑星があるかどうか、といった感じで判断します。
詳しく言えば、ある程度の大気があり、水が表面に存在できる可能性があるかどうか、という指標です。

このTRAPPIST-1におけるハビタブルゾーンに属する惑星は、e, f, gの3つです。つまりこの3つの星には、水が存在する可能性があり、地球に似た環境を形成している可能性が考えられているわけです。
大量の水が存在していて、海がある可能性まで考えられています。

そしてその惑星にある海を見つけてあげることが、次世代の天文学の研究の大きな目標の一つであるわけです!なので、どうやったらこの海を見つけることができるのか、その方法を今から画策しています。

今回はTRAPPIST-1の惑星の中で、ハビタブルゾーンにいる惑星e, fについて、海を見つけられる可能性が将来的にあるのかを調査した研究です!

その目標として観測が望まれるのが2つの観測機器です。

一つは2025年に稼働開始を目指しているヨーロッパの、Extreme Large Telescope (意訳:半端なく大きい望遠鏡w)です。

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左下にちっちゃく人が書いてあることからわかるように、相当大きいです。大きさは39mで、チリに作り上げる予定。

この望遠鏡の主目的は、地球に似た惑星の大気を調査すること!つまり、このTRAPPIST-1の衛星たちはこいつのメインターゲットなわけですね。

そしてもう一つが James Webb Space Telescope(ジェームス・ウェッブ望遠鏡)です。

スクリーンショット 2020-06-23 18.54.04

この写真のところ、私行ったことあります!自分がいたNASAの研究所の中にあるおっきい倉庫です。ただ自分がいった時には、もうこの望遠鏡は搬出されちゃってましたけど。。。見たかった。。。

これは土台に乗せて、宇宙に飛ばす宇宙望遠鏡です!!こいつが宇宙を漂いながら、星を観測していくわけですね。打ち上げ予定は2021年3月です。こいつも系外惑星を詳細に観測することを主目的とした望遠鏡。

こいつらの性能を生かして、果たして今後10年でTRAPPIST-1eとTRAPPIST-1fに海があるかどうかを、どう調査すればいいのかが、今回の研究で明らかになりました。

そのために、地球、火星、金星をモデリングして、TRAPPIST-1の惑星たちにその計算を適応させてあげました。

その結果、これら2つで30回観測してデータを合算させてあげれば、TRAPPIST-1e, fに海(大規模な水)があるかどうかが明らかになることがわかりました!!

つまり、今後10年以内に、他の惑星に地球のような豊かな海があるかどうかが明らかになるわけです!そしてこの2つの惑星は、今現在最も海がありそうな惑星の一部。これはワクワクしますね!!

また、昨日の記事でも紹介したように、これらの惑星にもメタンが存在する可能性が十分あります。

メタンは炭素と水素がくっついた天然ガスの一部。生命を構成するにも炭素と水素は重要な要素。水は水素と酸素の結合。つまり、これらの惑星には酸素、炭素、水素が揃っている可能性があり、これは生命がいそうな予感がプンプンしますね!

今後10年、次の天文学の世代はまたすごい発展が待っているようです。楽しみですね!!


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