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6月定例会一般質問〜投票率の話〜

昨日に続いて6月定例会で行った一般質問について描きます。
実際の質問の様子は下記のリンクからご覧いただけます。

今日は年代別投票率の公表についてです。
質疑の相手は町選挙管理委員会となります。
質問以外にも、もうちょっと大枠で投票率のことについても書きたいと思います。

質問:「年代別投票率の公表、啓発活動について」

真鶴町では選挙が行われるたびに投票率を公開しています。
投票率と言えば全国的に「低い」ことが問題視されるイメージがあります。
ただ、真鶴町においては2020年から見てみると、2023年の統一地方選挙(投票率37.55%)を除き、選挙にまつわるさまざまな問題が起きたにも関わらず、59%を下回ったことがありません。

投票率を結果として公表ことは絶対ではない

一般質問を調べていく中で、投票率の結果を公表することは別に法で定められていないことを知りました。
実際に、町選管からの回答も「任意である」とのことでした。
逆に言うとその様式もまちまちですがもっとも一般的なのは古くから使えわれている男女別になっているものです。

選挙の啓発活動、三つのポイント

この質問では選挙に対しどんな啓発活動を行なっているかも同時に聞いています。
啓発活動と言えば、「選挙に行こう」というテレビコマーシャルなんかが思い浮かぶかもしれません。
総務省の資料を確認すると「明るい選挙の推進」というページがあります。

ここで、明るい選挙というのは何かといえば、上記の資料を読んだ私なりの意訳になりますが下記のようにみっつの要点に絞れます。

1.クリーンな選挙であること(買収など犯罪がない、公平公正である)
2.私たちの一票が正しく投票されること(有権者の棄権がない=高投票率)
3.政治に対する関心、意義を深める(政治が身近であること)

ただ、町選管の回答でいただいた啓発運動の具体例は、
「18歳で有権者になったら啓発冊子の送付などを行なっている」というのを除いてはほとんどが選挙時に上記の2番に相当する投票率にまつわる啓発でした。

59%を超える投票率と実際に行なっている啓発の必然性

ここで、投票率に関わる啓発を行うのであれば、
59%をほとんど下回らない状態を「低い」と思って啓発をしているのか。
それとも低いと思わないなら、啓発があってこそこの投票率を維持できている、と考えて行なっているのかを問いました。
町選管からは「啓発活動ではなく町民の方が関心を持っていただいているから」という回答でした。
そして続けて「総務省からは若年層の投票率の低さは指摘されているので、平時においても啓発をしていきたい」と回答がありました。
まさにここなんです、聞きたかったのは。

啓発活動のターゲットがずれているのではないか

実際に国、地方問わず選挙の年代別投票率を眺めてみると
18歳、19歳以上に20代の投票率が最も全年代の中で低い投票率になる傾向にあります。
ただ、真鶴町では防災広報車(スピーカー付きの車)で選挙期間中の平日の日中に町内を回りながら投票を呼びかけます。
しかし、最近作られた「真鶴データブック」によれば、
真鶴町の昼間の通勤・通学による他自治体への人口流出は全人口の三割です。
ターゲットにしたいはずの若者がいない時間帯に啓発が行われているわけです。


なぜ、年代別投票率の公表を求めるのか

そしてそもそもなぜここを公表することを求めるか、というところです。
先ほど書いた通り、「総務省から若年層の投票率が低いことを指摘されている」と町選管からの回答がありました。
しかし、我が町では実際にその数値を出していません。
そしてその中で全体の投票率は他よりも高い傾向にある。
こういう状況であれば、ましてや若い世代には、
危機感がわかりにくく、公的な団体が行う啓発は効果が薄いはずです。
若い世代には同世代の近い立場の方が行ってくれる啓発がもっとも効果的です。
それを誘発するためには危機感の見える化が必要です。
つまり、年代別の投票率の見える化です。

私が他自治体で見た小さな奇跡

他自治体の先輩議員を訪ねてその方のタウンミーティングに参加させていただいた際、その地域で若い世代の投票率を上げたいと活動をされている方と出会いました。
別に誰かの支持者というわけでも、それまで熱心に政治活動をされていたわけでもありません。
話してみると何か政治色を感じるわけでもなく、
普通のお子さん思いな親御さんでした。
自分が住む街の将来の姿を考えて、自治体が人口減へと進む中で
このまま投票率が低い=関心の低い状態でいいのかというところから
投票率を上げたい、とのことでした。
私も子どもが産まれてから自治体の将来の話を聞くと自然とその中に子どもの姿を投影するようになったのが地方政治に関心を持つきっかけでしたから、すごい気持ちはわかりました。

実際にその自治体の議員選挙が行われました。
入手できる限りの候補者のパンフレットを手に入れてみたい人が閲覧できるようにしたり、
期日前投票所が設置された商業施設のフードコートで、投票を呼びかけてみたりしたそうです。
他にもSNSなどでも呼びかけていらっしゃいました。
先にも書いた通り別段政治活動をしていたわけでもないだけに、かなり勇気も必要で、大変だったと思います。

そんな中、結果としては全体の投票率は下がってしまいました。
しかし、その他の年代の投票率全てが綺麗に下がる中、30代だけは投票率が前回よりも上がっていました。

全体の投票率が下がってしまったと、活動をされた方は残念がっていらっしゃいましたが、
実際に子育て世代の多い30代だけが上がっているというのは、私は活動の大きな効果だったと信じていますし、本当に奇跡のような出来事だと思っています。
若者が共感しやすい新人候補者も多数出馬したと言った要因もありましたが、それでも少なからず投票率を上げよう!という市民活動の効果はあったはずです。

普通の市民がやってくれる意味の大きさ

そんなの、お前がやれよと言われるかもしれません。
しかし、私含め議員や候補者がやったところで被選挙人である限り誰がみても平等であると感じてもらうのは限界があります。

選挙に行こうという人間に少しでも政治色を感じれば、
政治不信の若い人からすれば「それはあなたの利益になるんでしょ」となってしまいがちです。

自分自身もトークセッションを開いたり、カジュアルに政治について身近に感じてもらう活動はしていますが、特定の政治的背景がない普通の市民の方が自発的に啓発活動をしてくれるというのは、信頼度が違います。
もっとも大きな効果を生む啓発活動になります。

真鶴町でもそういった目線を持つ人たちがいる

真鶴町でも選挙カフェを開きたいと試みている人や選挙の際に候補者全員のパンフレットを手に取れるようにする人もいます。
ただ問題は、同世代の中でも選挙に関心がある人と、ない人が分断されていることです。
共通の認識を持つ一つの材料としても「私たちの年代の投票率は幾ばくか」というものが公表される意味は大きいと考えています。
全体の投票率が高いという情報しか見えなければ「自分が行かなくても誰かが言ってくれている」となってしまいます。

小さな町で年代別投票率を公表する上でのデメリット

さて、ここまで自分が考える「年代別投票率公表の意義」を書いてきましたが、
逆に公表する上での障壁があります。
ひとつは、実際に質疑の中で町長より指摘がありましたが「小さな自治体だとサンプル数が少ない場合に個人が特定される恐れがあることに注意しないといけない」ということです。
実際にこれは統計的なものを利用する際にいつも頭をよぎることではありますが、私は今回の場合には特定には当たらないだろうと考えていました。
しかし、実際に特定の恐れがあるかはもう少し慎重に調査・検討をしないといけないと改めて思いました。

もう一つが作業量の負担です。
真鶴町では投票有無の管理を投票所ごとにペーパーで行っています。
全体の投票率を出すとなると、手作業でカウントを行う必要が出てきます。
この事務作業量もひとつの障壁であると回答をいただきました。

総括

何かの非常事態がなければしばらく選挙はありません。
DXが進み真鶴町でもペーパーでの管理を行わなくなれば投票率のデータ寄せなどはより簡便になります。

正直、議会に身を置いていても、
若い世代の、特に今あまり政治に関心を持てない人たちの、
政治に対するエネルギーがあれば、町の政治課題の多くが解決すると感じる瞬間が多々あります。

また、投票率っていうのは本当に難しいです。
何%ならいいのか。
南米では罰則付き義務投票制が多く採用されていますが、それでも100%ではありません。

その昔、ドラッグストアのマツモトキヨシ創業者、松本清氏が松戸市長時代に選挙に来ればカラーテレビが当たるというキャンペーンを行っても1.7%しか上がりませんでした。

それ以上に、なるべく細かいデータで出て、自分の属性が当てはまるところを見て「この投票率でいいのか」と有権者自身が考えてくれることこそに、
どんな政策も勝てないと思っています。

自分にできる活動も続けつつ、また別のところから風が吹くように、
年代別の投票率の公表をはじめ手を打っていければと思います。

残りの一題についても随時更新していきます。
お読みいただきありがとうございました。

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