マテリアル・パズルについてちょっと語る2

 『マテリアル・パズル』シリーズ全巻を読破してみて、最終巻で主人公ティトォを通して土塚理弘先生が伝えたかったのは、このことじゃないかなと考えている。
 巧く表現できているとは思えないのだけれども、ティトォと煌めきの少年の対話を読んでいると、16巻でさりげなく描かれていたこの一節を想起してしまった。
ラスボスの二人のうち、一人が本当の生に執着していたことも、もう一人が「心をひとつに戻す」ことに主眼を置いていたことにも、当てはまるような気がする。
 作中に登場するあらゆる魔法マテリアル・パズルの中で、「存在魔法」が最上位に位置すること、「存在を司る力」を至高のものだと捉えられていることは何度か言及されているので、これが土塚先生が訴えたかったことだと思われる。

 哲学を思わせる思想的なものが表現されているわけではないため、土塚先生が「存在論」をかじったとは考えにくいが、何らかの点で間接的にインスピレーションを得たのではないだろうか。

土塚理弘『マテリアル・パズル』第16巻 p.9(講談社.2018 電子版(スクエアエニックス.2006))

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