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誰かのお役に立つ情報を提供するための「文章構成」|サポートメモ(PDF)付き

スティーブ・ジョブズの名言に「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ」というのがありますね。確かに、今の時代、自他問わず情報発信をしていなければ、魅力を伝えるチャンスを逸してしまいそうです。

……とはいえ、やみくもに情報発信をしていれば良いかというと、情報過多なところへ突っ込んで行くのも無謀とも言えますし、そもそも、誰かのお役に立てなければ、嬉しくないですよね。

お役に立つということは、相手をおもんぱかることだと思いますので、自分の思い浮かんだ考えを、そのまま無加工・無添加で提供するというのは、思いやりに欠けるのかもしれません。情報発信という言葉にとらわれず、情報提供の精神で取り組むのが良いのではないでしょうか。

今回は、誰かのお役に立つ情報提供の方法について、(1)まず価値とは何かをハッキリさせ、(2)それをどう加工して(組み立てて)いけば伝わりやすくなるのかをまとめていきます。

自分の思い浮かんだ考えを、誰かのお役に立てる情報へと組み立て直し、ご提供するということですね。

最後に、文章の構成をまとめやすくするメモ(PDFファイル)をご用意しております。印刷してご活用いただければと思います。ぜひ、最後までお読みいただければと思います。


価値のある情報とは読み手が行動でき、変化すること

情報そのものには価値がない
インターネット上には、様々な情報が生い茂っていますね。無料で読める情報なかには、「有料級」なんて表現をされている、価値のありそうなものも数多く散らばっています。

これから誰かのお役に立つ情報提供を目指すとき、「価値のある情報」とは何かをハッキリさせなければなりません。そこがハッキリしないと、目指すべきところがボヤけてしまいますからね。

では、誰かのお役に立つ、価値のある情報とは、どういうものでしょうか。

おもしろい文章や、感動を呼ぶ文章にも価値があるでしょう。ただ、今回は、情報提供という観点から、価値とは何かを考えていきたいと思います。

そうなると、価値の出る情報とは、自分の知らなかった内容でしょうか?

もちろん、そういうものにも、価値があるとは思います。そうは思うのですが、様々な情報があふれたこの時代において、Google検索やYouTube、SNSでの情報で、探そうと思えば、見つかるものも多いと思うのです。

「自分の知らなかった内容」に価値を見出すとすれば、極端な話、その内容を知った後は価値が薄れてしまうことになってしまいます。ですから、この場合は、「自分の知らなかった内容」そのものに価値があるのではなくて、そのタイミングにその内容へと出会わせてくれたことに価値を見出すべきですね。

そう考えると、内容そのもの(情報単品)に価値を付与するのは難しいことになってしまいます。昨今、情報そのものに価値は無くなったと言われるのはこういうことだと思っています。


価値とは変化が起こること
では、あらためて、価値とは何か考えてみましょう。

価値を考えるとき、目で見て、手で触れられる、いわゆる物質的なものだと、原料や製作工程が比較的イメージしやすいので、価値を判断しやすいと思います。

一方、文章や情報に限らず、講座やセラピーのような、物質的ではない“無形のもの”というのは、パッと見て触って…ということができないことから、自ずと価値を明確に判断しづらくなります。

なので、目に見えない「情報そのもの」を可視化することを考えていきます。可視化の代表格といえば、数値化ですね。

ここでは、具体的な数値にすること、そのものに意味を見出すのではなく、なぜ数値化するのかということを考えます。当然、可視化のために数値化したので、理由は見えるようにするためですが、何が見えるようになるかというと、「差」なんですね。

差とは何かというと、変化量のことです。

ところで、何を数値化するのか…ということが抜けていますが、情報そのものに価値がないとすれば、情報自体を数値化してもあまり意味がありません(たとえば文字数とか)。

ですから、情報ではなくて、それを見た(読んだ)読み手の「何か」を数値化します。ここでの「何か」というのは、時間やお金など、その内容によります。

たとえば、時短料理の情報を読んで、いままでの料理時間が2時間から30分に減ったのであれば、それが「差」であり、変化量です。

ここまでを踏まえると、情報を読んだことによる、「読み手」の「変化量」が価値になっていくと考えられます。

上記の時短料理の例を見てみます。Aさんは2時間から30分に(変化量=1時間半)、Bさんは、もともと30分で読んでも30分(変化量=0)だったとすれば、同じ時短料理の情報であっても、Aさんには価値があり、Bさんには価値が感じられないという判断ができますよね。

ですから、情報そのものに価値を見出すというより、読み手の変化量に価値を見出した方が、理にかなっていると思いませんか?

逆に言うと、どんなに優れた情報であっても、読み取れなかったり、変化(理解)できなかったりした場合は、価値がないということになってしまいます。

もっと踏み込んで考えると、「読み手が変化できた=行動できた」ということになるので、その情報によって、読み手がどれだけ行動できるかが価値になると言えます。

以上を踏まえ、この記事では

「誰かのお役に立てる価値ある情報」
とは
「相手が行動し変化を起こせるもの」

…と定義します。


価値ある情報提供をするためには、読み手がこちらの意図する行動を起こす文章でなければならないことがわかりました。では、次に、相手に行動を起こさせる文章をどう伝えていくかについて書いていきます。


読み手を阻む3つの壁を越えていく

価値のある情報提供にあたっては、相手に行動をしてもらう必要があります。そのために、まず乗り越えなければならない3つの壁があります。マクスウェル・サックハイムの三原則のことで、「3つのNot」とも呼ばれます。

読まない(Not Read)
信じない(Not Believe)
行動しない(Not Act)

文章を書いているのに「読まない」とか、書き手からすると、身も蓋もないような壁ですが、読み手の気持ちを配慮することからスタートですね。ひとつずつ、乗り越えていきましょう。


読まない

読めないんじゃなくて、読まないんですね。この記事も、ここまで読み続けていただいたことに、本当に心から感謝です(笑)。ぺこり。

さて、「読まない」の真意ですが、一言でいうと、関心がないということです。よく、「人は文字を読まないから、文章は短くする!」なんて言われますが、それ以前の問題です。

関心がないのであれば、興味関心を持っていただきましょう……というのが第一段階です。そのための4つの手段をご紹介していきます。

「読まない」壁を乗り越える4つの手段

(a) ターゲットを定める
「カクテルパーティー効果」をご存知でしょうか? パーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる脳の働きのことです。(詳しくはWikipediaへ

この働きを利用する、つまり「わたしのこと?」と思ってもらうキッカケをつくるということです。極端な話、「○○さん、あなたに向けて書いています」というところまで特定すれば、興味関心を持ってもらえる可能性が高いということですね。

実際に文章を書くときに、○○さんと書くかどうかは別ですが、〇〇さんに対して書いているという意識が働けば、自ずと内容もその人に関心を持ってもらえることになるでしょう。

特定の人を想定できない場合でも、どういうシチュエーションの人に対してお役に立ちたいのかということを、まずハッキリさせることです。それは、どういう行動をしてもらいたいのか…ということを決めることでもあります。


(b) 読み手に恩恵があることを示す
価値=読み手の変化量だとすれば、どのくらい変化できるのかを先に示せれば、価値があると判断しやすくなりますよね。ただ、変化量は、どれだけ読み手が行動できたかによる場合が多いので、定量的に示すことが難しい場合もあります。

ですから、変化量の数値そのものを示すのではなく、変化した結果、どのような恩恵が得られるのかということを提示できれば、変化量問わず、価値を予測しやすくなります。

たとえば、ダイエットに関する情報だとして、「5kg痩せる」じゃなくて「好きな洋服が着られるようになる」という言い方でしょうか。

理想の未来を示すとも言い換えられると思います。


(c) 常識の否定をする
誰しも、いままで正しいと思っていた価値観を否定されると、「えっ?」「それ本当?」という風に、心がザワつくに違いありません。

この違和感を利用することによって、関心を持ってもらうのもひとつの方法です。なんだか、煽っているようにも思いますが、意外と専門家からすると世間の常識が間違っているということも多いので、常識とは何かということを意識しておくことは大切ですね。


(d) 緊急性を用意する
人には「損失回避の法則」という、無意識に得することよりも損することを避けようという行動心理があります。上記(b)の逆で、これを読まないと損をするという状況を作り出すということですね。

冷静なつもりでも、人の価値判断は、いつでも一定ではなく、目の前に提示されたものの損失の度合いによって変わってしまうものです。

たとえば、24時間後には消してしまう情報というように、緊急性を用意すると、何かを失うわけではないのに、本来、得られるはずだったものが得られないかもしれないという感覚によって損した気分になり、気になってしまいます。


ここまでの「(a) ターゲットを決める」「(b) 読み手に恩恵があることを示す」「(c) 常識の否定をする」「(d) 緊急性を用意する」を使って、「読まない」壁を突破します。次は「信じない」壁へ突撃します。


信じない

関心を抱いていただいて、読み進めていただいたものの、「それって本当なの?」と信じてもらえないという壁にぶつかります。情報を信じていただくための3つの手段をご紹介していきます。

「信じない」壁を乗り越える3つの手段

(a) 主張を述べたら、根拠(理由)も述べる
単純に「それって本当なの?」という疑問に対して、根拠を示すということですね。その主張に至った背景(特に自分の経験談などのストーリー)を添えられれば、説得力も増します。

順序としては、主張(意見)→その根拠(特に経験談を語る)というのが良いですね。まず、主張を述べなければ、何が言いたいのかわからなくなってしまうので。


(b) 社会的証明を活用する
社会的証明とは、自分の判断より周囲の人たちの判断を頼りにしてしまうという心理的原理のことです。他の人の行為や大々的に報じられた情報などによって、自分の行動や判断に影響を受けるということですね。

楽天市場などでよく見かける「売れ筋ランキングNo.1」とか、「おかげさまで100万個突破」みたいな、“他のみんなも選んでいます”という宣伝も、社会的証明を活用したものだと思われます。

このほか、権威のある人からの意見大学の研究結果書籍からの引用なども社会的証明を活用した事例ですね。お客さまの体験談レビューなども該当します。

個人的には、情報そのものの信頼度より、権威のある人などが信頼できるかどうか……という、別の問題にすり替わってしまうので、自分が読み手のときは、特に気をつけたいところではあります。ですが、それだけ、効果的だとも言えます。

(c) 自分の信頼度を上げる
同じことを言っていても、誰が言うかによって信じてもらえる場合ともらえない場合がありますよね。「誰が言っているか」ということが、かなり重要になってきていることは、体感的に感じている方も多いのではないでしょうか。

状況によりますが、社会的証明を活用しなければならないということは、それだけ自分自身の信用が薄いということでもあるので、自分自身の信頼度を上げようという、なんともそもそも論的なところであります。

すぐにできることではないですが、情報提供をするためには、人間関係もしっかり作っていく必要がありますね。(自戒)


上記「(a) 主張を述べたら、理由も述べる」「(b) 社会的証明を活用する」「(c) 自分の信頼度を上げる」を駆使して、「信じない」壁を崩します。そして、「行動しない」壁へと向かいます。

行動しない

「誰かのお役に立てる価値ある情報」とは「相手が行動し変化を起こせるもの」と定義しました。最後の最後で、まさかの「行動しない」壁が出現し、一気に無価値へと脱落させないためにも、ここはなんとか乗り越えたいところです。

行動してほしいあまりに、「行動させる」という発想になりがちですが、自然と行動したくなる、行動していただく工夫をするということですね。行動をしていただくための4つの手段をご紹介していきます。


「行動しない」壁を乗り越える4つの手段

(a) あらためて、メリットや恩恵を伝える
ここに至るまで、(1)興味を持っていただき、(2)主張を信じていただくということをしてきました。

原則として、読み手の方の興味関心を常に引き付けていることが好ましいわけで、「信じない」壁を乗り越えるあたりで、読み手が「あれ? 書き手はこの話を何のためにしているんだっけ?」と感じてしまうような事態は避けなければなりません。

とはいえ、常に興味関心が読み始めたときと同じテンションかというと、そうでもない場合も多いので、あらためて、「しっかりと行動すること」によって得られる恩恵を提示します。そうすることによって、行動することによって価値が得られるということを“読み手”が認識することができます。


(b) 希少性と緊急性を活用する
恩恵が得られることを頭で理解していても、行動が伴わない場合もあります。「あとでも良いかな」という気持ちに対して、そっと背中を押す意味合いで、希少性(数を限定するとか)、緊急性(締め切りを設けるとか)を用意する場合もあります。


(c) 行動できない要因を取り除く
「あとで良いかな」という気持ちに続いて、行動することに対する「恐怖や不安、罪悪感」が足枷になる場合も多いですよね。自分にできるのだろうか、失敗したらどうしよう、騙されないだろうか……など、いくらでも不安要素は出てきます。

なので、想定できる不安を先回りして、大丈夫であることを示すことは重要です。

初心者でも大丈夫かな? → 初めての方でも、簡単にお使いいただいております。

購入する価値があるのかな? → リピート率96%! 多くの方にご好評いただいております。

……という感じでしょうか。

たとえば、観光ツアーに参加するのに、ご本人の不安というより、ご家族に迷惑にならないだろうか…というような罪悪感が足枷になる場合もあると思うので、そこは読み手の気持ちを推し量る努力が必要だと思います。


(d) 行動を促す言葉を入れる
書き手からすると、当たり前過ぎて、意外と盲点ですが、行動してほしいことを、しっかり言葉として明記することが必要です。

最終的に何か商品を購入していただきたい場合は、「ご購入をご希望の方はこちらをクリックしてください」と具体的に書く。

記事を最後まで読んでいただきたいなら、「最後までお読みください」と書く。

講座にお申し込みいただきたいなら、「お申し込みはこちらの登録フォームへご記入をお願い致します」と書く。

冗談みたいな話ですが、こういうことを書いていない場合も多いですし、おそらく書き手が想定している以上に、読み手は読んでいるその瞬間に何をしたら良いのか分からないんですね。言葉にしないと伝わらないのです。


まとめ

「誰かのお役に立てる価値ある情報」とは「相手が行動し変化を起こせるもの」であり、文章を通じて行動していただくためには「読まない」「信じない」「行動しない」という3つの壁を乗り越える必要があることを述べてきました。

まとめると、

価値ある情報=相手が行動し変化を起こせるもの

…であり、人が行動するための情報の順序としては、

(1) 得たい未来を提示して、興味関心を持ってもらい、(Not Read)
(2) その内容を主張して、(自分の言いたいこと)
(3) その根拠を示し、(Not Believe)
(4) 具体的な行動を促す。(Not Act)

…ということになります。

まとめると、「あー、なるほどねー」と分かった感じになりますが、いざ、実際に文章を書いてみようと思うと「はにゃ?」という感じで、いきなり止まってしまうことが往々にしてあります。

それはなぜかというと、「誰かのお役に立てる価値ある情報」とは「相手行動し変化を起こせるもの」と定義した時点で、文章を書き始める前に、相手と行動内容を決めておかなければならないからです。

ですから、上記の手順(順序)の前に、手順(0)として

どういう人に=どういうシチュエーションで何に困っているかor何を知りたいのか、できれば特定できる個人
どういう行動を取ってもらうか or 価値提供するか

…ということを決めておくことが必要です。

このことを踏まえ、これまでの手順をひと通りまとめ、メモができる用紙をご用意しました。


特典:「文章構成」作成サポートメモ(PDF)

ここまで長々と記事をお読みいただいたお礼も兼ねて、文章構成を作成するための用紙をご用意いたしました。ここまでの内容をA4サイズ1枚にまとめてますので、それを見ながらメモをしつつ、文章を構成することができるかと思います。

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2020.09.07現在で、まずはVer.01を公開します。必要に応じて、随時更新していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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