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祖父の大きい背中│回想記5

続いてます、自分語り。前回は、祖父がやっていた仕事をまったく知らない自分に愕然とした……というような話でした。

今回は、わたし自身はまったく知らなかった「甲陽書房山梨県では有名なはず」という父の言葉をうけて、山梨県古書籍商業組合へ加盟しにいく……という話です。

まぁ、実際のところ、創業者の祖父は他界してしまいましたし、父も大病を患い、開店休業状態ですので、有名“だった”という感じではあります。

ところで、甲陽書房の名前の由来ですが……

信州のことを信陽、甲州のことを甲陽といいます。創業者は山梨県上野原出身で、ルーツは戦国時代まで遡ります。

甲斐の守護武田信玄の時代、信玄公の旗本武者奉行を務めた上野原城主・加藤駿河守虎景、その嫡男・丹後守景忠が武士団「上野原七騎」(富田、安藤、野崎、中島、上条、石井、市川)を率い相模との国境上野原一帯を守っていました。

その中に見られる石井五郎右衛門を祖とし、甲斐武田氏とは先祖以来の深い縁から商標は武田菱を用い、郷土甲州の甲陽そして『甲陽軍鑑』の甲陽をして甲陽書房と相成った次第です。

http://tokyo.koyoshobo.jp/aboutus.html

……と、父の言葉を借りるとこんな感じですね。いや、なんとなく、幼いころに武田信玄の家来に関係がある……くらいのことは聞いていましたが。

わたしは、生まれた瞬間から、祖父と父が「甲陽書房」って名乗っているわけで、そもそも「甲陽」って何……なんて考えたこともなかったですね(無知すぎる)。

祖父のことは「信州のおじいちゃん」みたいな呼び方だったので、山梨にルーツがあるとは知らなかったんですね……。核家族化の影響でしょうか、おそろしい限りです。(恥晒し……)

……で。

どうやら、祖父は山梨の文壇との繋がりもかなり強かった様子で、たしかに山梨に関する本の出版も多かったように思います。

そんな話を父から聞きつつ、山梨県の古書店の中心である「風雪堂(甲府市丸の内)」さんへ、父とともに伺ったのでした。

いかにも古書店という佇まい……。

2022年現在のGoogle Mapsから引用

素人が入って、怒られないだろうか……くらいの勢いのわたし。懐かしい……と言い出す父。お店に入ると、優しそうなおじさんが出てきて、ちょっとホッとしました(笑)。

店主の秋山さんは2代目で、山梨県古書籍商業組合の理事長をされております。「風雪堂」で検索をすると「風雪堂支店」と出てくるのですが、これは初代のお店と2代目のお店を区別するためだったようです。(初代はすでにご逝去されております……)

もう10年前なので、どういうやり取りをしたかハッキリは覚えていないのですが(おいおい)、やっぱり「甲陽書房」のことはよくご存知でいてくださり、古書籍商業組合に加盟したいというと、喜んで迎えてくださいました。

どうやら、父は初代の店主とお話したことがあったようで、当時の話をしていたように思います。(甲陽軍鑑でやり取りがあった模様……)

いずれにしても、(話としてはぜんぜん面白くないですが)無事に古書籍商業組合に加盟することができました。

あとは、資料を整理しつつ、どんどん出品していく作業かな……というところまでたどり着いた感じですね。

ところで、風雪堂さんからの帰り道、父が「あれ、このあたり(旧県立図書館あたり)の道、じいちゃんが名前を付けたかもなー」というのです。

えぇ、じいちゃん、そんなに影響力あったの……。

その後、調べてみましたが真相はわからぬまま。でも、わたしの知らなかった、現役時代のじいちゃんが、そこかしこに現れたように感じたんですね。

ごめんね、じいちゃん。何も知らなかったけど、「甲陽書房」の名前を遺せるようにがんばろう……と思い始めたのでした。

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